2016年3月23日水曜日

クルーグマン教授の発言の意味はなにか。

クルーグマンさんが、真っ当な発言をしている。
 クルーグマン教授も年をとって、かってのテカテカしていた「名誉欲」「権勢欲」のようなものが、薄らいできたようだ。

 普通にしゃべって、こう衒いがない。

 いや、クルーグマン教授の発言の内容は至って真っ当で、筆者などなにも言うことはないのだけれど、なぜ、この時点でクルーグマン教授に発言させたか—というところに興味がある。

 はっきり言えば、これは財務省幹部への「牽制」だろうな。
 財務相幹部は例によって、1000兆円以上の「借金」があるとか、負担を孫や子供に残すつもりか—てな理屈を並べ立てるのだろう。

 これに対して、うまく反論できないし、野党および国民を納得させるためには、クルーグマン教授という大物に、「消費税増税の先送り」を言ってもらって(いや、日本が意図的に—という意味ではない)いるのだろう。

 してみると。
 安倍さんは、もう、来年の「消費税の増税先送り」を決断しているということなのだな。
 仮に選挙で論争となっても、「増税の先送り」に反対すれば、人気がなくなるのが当然だからだ。

 以下、新聞から抜粋。

 政府は、首相官邸で国際金融経済分析会合を開き、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン・米ニューヨーク市立大教授が来年4月の消費増税に疑問を呈した。
 安倍首相は景気を見極めつつ、衆院解散も含めてフリーハンドを握る構えだが、政府・与党で増税への賛否の声が交錯し始めた。

 一方、17日にはジョルゲンソン米ハーバード大教授が首相から「税制改革の具体策」を問われ、「法人税から消費税への移行が必要だ」と述べた。
 増税論者で知られる同氏に首相が提言を求めたことで、財務省では「予定通り増税する選択肢も残っている」との期待が広がった。

 ただ、方向性をあいまいにした議論に、2012年に消費増税を決めた自公民の3党合意の当事者から異論も出ている。

 自民党の谷垣禎一幹事長は消費増税を「既定方針だ」と強調。
 公明党の山口那津男代表も「経済情勢を理由に先送りする判断には、今のところならないだろう」と語った。

 対照的に、首相の経済ブレーンはアベノミクスの先行きに懸念が強い。
 浜田宏一内閣官房参与は記者団に「増税で産業の元気がなくなる。首相の英断が必要だ。本当に上げたら選挙には勝てないだろう」とも発言した。

 野党は政局と連動させた消費税論議に反発を強めている。
 民主党の細野豪志政調会長は、「さらに先延ばしするならばアベノミクスの失敗にとどまらず、安倍政権の敗北だ。退陣するのが筋だ」と批判した。

補足、感想など

 麻生さん、谷垣さん、山口さんは、今夏の選挙が終わるまで「敵役」をやるつもりなのだな。
 そうでないと、従来、どうでも消費税を上げる・上げると言い続けた意味を失われるからだ。

 選挙が終わり、自民党の大勝に終われば、その時は、「はっは、安倍さんのいう通りにします」と恭順の態度をとればいいこと。

 最後は、安倍さんの意志が通るし、周囲から安倍さんを持ち上げた形で終わる。
 いや、メデタシ、メデタシ。
 終わり良ければ、すべて良し---ということで。