2017年10月22日日曜日

中国人民銀行・周小川総裁が、中国経済のミンスキー・モーメントを警告

う~ん。
 中国の周小川総裁という人は、有能でまともなのだな。
 必要な情報を、国民に正しく伝えようとしているということだ。

 ミンスキー・モーメントというのは、「バブル崩壊」の「具体的な現象」が顕在化する瞬間のことをいう。
 これから、バブル崩壊に伴う様々な現象が起きますよ—と警告したということだ。
 中国人民元の「大暴落」の発生の危険性を公表した—ととってもいいのかもしれないな。

 以下、中国の新聞から抜粋。

 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、中国経済について、過剰な楽観主義によって株や不動産などの資産価格が急落すると警告。
 退任するとみられる周総裁は、「ミンスキー・モーメント」という異例な文言で中国金融危機発生への懸念を示した。

 フィナンシャルタイムズなど海外メディアによると、周総裁は、開催中の党大会に合わせて行われたイベントで発言。
 周総裁は「経済の中の正循環的な要因が多ければ、後に循環的な調整が現れる」「すべてが問題なく進んでいるとき、過剰に楽観的になることで(資金の)ひっ迫が増すため、急激な調整につながる『ミンスキー・モーメント』に直面する可能性がある。われわれはこれを防ぐ必要がある」と述べた。

 「ミンスキー・モーメント」とは経済に隠れているリスクが急に現れることによって、資産価格が急落し、大規模な債務不履行が起きる瞬間をさす。
 米経済学者のハイマン・ミンスキー氏にちなんで命名された。
 ミンスキー氏は、景気拡大で投資家や企業の過剰な楽観的心理から過剰に融資を受け、投資・投機活動を行うことによって、金融市場に不安定要因が増加すると説く。

 記憶に新しい「ミンスキー・モーメント」は、2008年米サブプライムローン問題が引き金となって起きたリーマンショック。
 中国当局の発表によると、79月期中国の国内総生産(GDP)増長率は前年比で6.8%となった。政府の目標である6.5%前後を上回った。

 周総裁は、また中国企業の債務規模が「非常に高い」、家計債務の規模も拡大していると指摘した。
 一方、報道によると、周総裁は、まもなく退任すると述べた一方で、次期総裁候補について明言を避けた。周氏は中央銀行の長として15年間も中国の金融政策決定や実施に関わってきた。
 海外各メディアは、次期総裁候補について、銀行業監督管理委員会の郭樹清・主席、証券監督管理委員会の劉士余・主席、湖北省党委員会書記の蒋超良氏、人民銀の易綱・副総裁の4人を有力視している。

 4人の中で蒋超良氏が人民銀次期総裁に就任する可能性が最も高いと、米ニューヨークタイムズなどが予測。
 蒋氏は90年代後半に人民銀の深セン支店長として、当時広東省副省長だった王岐山・中央規律検査委員会氏書記とともに、1998年アジア通貨危機による経済危機に対応した。

 中国人民元 国際決済通貨ランク6位に後退、国際化は足踏み
 ベルギー調査会社の国際銀行間通信協会(SWIFT)が発表した最新調査報告によると、貿易や対外投資の決済に使われる通貨として、9月中国人民元の世界全体の決済に占めるシェアは1.85%で、国際決済通貨としてのランクは6位に後退した。

 8月のシェアは1.94%で、5位だった。
 専門家は、人民元国際化計画の停滞原因は、中国当局の資本流出規制にあるとの見方を示した。

 人民元は、国際化が進まないため、ユーロや英ポンドと比べて国際決済通貨としての使用頻度は低い。
 「人民元がドルやユーロのような国際主要通貨になるまで、まだ数年かかる」とSWIFTが指摘した。
 人民元は20158月に、国際決済通貨のランクで日本円を抜いて、世界4位に躍進した。
 しかし、対ドルでの人民元の急落に伴い、その順位も落ち込んだ。

 SWIFTは、国の経済規模とその通貨の国際決済に占める割合は、関係性が低いとも指摘。
 例えば、米国の経済規模は世界のGDP(国内総生産)の25%を占め、米ドルの国際決済に占めるシェアは39.73%。
 中国の経済規模が世界のGDP15%を占める一方で、人民元の国際決済に占めるシェアは2%未満となっている。

 中国問題専門家の文小剛氏は、人民元国際化が進まない主因はこれを主導してきた中国当局にあると指摘。
 「対ドルでの元安に伴い、中国国内から莫大な資本が海外に流出した。資本流出を食い止めるため、中国当局は近年様々な規制を実施し、規制強化も行った。
 結果、人民元の国際化を阻んだうえ、昨年の国際通貨基金(IMF)のSDR(特別引き出し権)構成通貨に採用された際、中国当局が主張した『金融市場の自由化』との約束も破られた」と批判された。

補足、感想など

 要するに、ヤクザ商法の中国にも、人民元にも、他者からの・他国からの「信用」がないということ。
 だから。
 決済にも利用されず、順位を落としたのだ。

 中国は、このブログで何度もふれているように、3700兆円もの債務に追いまくられているのだ。
 上の記事でふれているミンスキー・モーメントとは、中国人民銀行総裁が「バブル崩壊の具体的な現象がもうすぐ発生する」と予告したと取るべきだろうな。

 おそらく、「近い将来の人民元の大暴落の発生(宮崎さんの本によると 現在の1人民元=16円 → 1人民元=10円 くらいになりそうだ)」を「予告」して、警戒しろ---と言っているのだ。
 有能な金融マンとしての「矜持」を感じる発言ではある。