2018年3月18日日曜日

この電気自動車に関する日経の社説って、なにを言っているのだろうか


▲要するに、と思う。
 ガソリン車 → 電気自動車へ完全移行するのは、20年先だということを理解して、ものごとを判断しているのか—と問うているのだろうな。

 そのことは、アメリカのテスラ社の頓挫を意味しているし、VWの未来も明るくはない—といっているのだろう。
 また、中国あたりにハイブリッドの技術を渡したらどうだ?てなことを暗に含んでいるのかもしれないな。

 そうだな、まず、ホンダの将来において、どのような車が売れるか—という見込をみてみよう。

 --ここから--

 ホンダの17年の電動車販売は約26万台と全体の5%にとどまるが、30年までに世界販売の65%を電動車にする計画。このうち全体の50%をHVやPHVとし、残る15%をEVや燃料電池車(FCV)とする方針だ。

 英調査会社IHSマークイットの予測では、30年の世界販売に占めるHVは全体の33%で、EVの7%を上回る。

 --ここまで--

 上の記事は微妙に分かりづらいが、電動車という意味は、電気自動車プラスハイブリッド車,燃料電池車(モーターで駆動する自動車)を意味している。今から12年後において、ホンダはガソリン車を35%、50%をハイブリッド車、15%を電気自動車プラス燃料電池車 とすると言っているのだ。
 同様に、英国の調査会社の予測において、12年後にハイブリッド車が是界全体の33%、電気自動車は7%に過ぎないということだ。

 では、ガソリン車 → 電気自動車(ev)とスムースに移行できない理由はなにかというとそれは電池だ。トヨタの副社長の言いをみてみよう。

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 小林耕士副社長は「電池が一番の課題になる」と指摘する。
 同社の主力HV「プリウス」では1台当たり6万円だった電池のコストがEVでは140万円に達するといい、「売価に反映できるかどうかを含めて、非常に答えがたい問題だ」と話す。

 EV用電池のコストを大幅に引き下げる技術として、トヨタなど自動車各社は「全固体電池」と呼ぶ次世代電池の開発にも力を入れている。ただ、電極部分を精密に加工する技術の難しさなどから量産化のハードルは高く、今のところ普及の道筋は立っていない。

 --ここまで--

 以上のことを踏まえて、日経の社説をみてみよう。

 社説2018/3/17
 インド政府が2030年にすべての新車を電気自動車(EV)とする目標を事実上、撤回した。
 販売台数の30%以上をEVにすることを視野に、充電設備などの整備を進める方針に転換する。
 インドの自動車市場は17年にドイツを抜いて世界4位になり、さらに拡大を続けている。
 主要な市場の環境政策は日本の自動車産業にも大きな影響を及ぼすが、短期的な動きに一喜一憂せず、ハイブリッド車などを含む「電動化」を着実に進めるべきだ。

 EVは走行中に二酸化炭素(CO2)を出さず、大気汚染の対策として有効だ。
 だが普及に向けた課題も多い。
 重要な部品のひとつである電池はコストを下げ、充電時間を短縮する必要がある。
 充電設備や、電力の供給体制を整えることも課題だ。
 米テスラがEVの量産で苦戦しており、大量供給に適した生産技術の確立が急務といえる。

 インドは乗用車の7割以上を安価な小型車が占めており、EVにして価格が上がると顧客がそっぽを向く懸念があった。
 路上駐車が多く、家庭に充電設備を普及させるのが難しいとの指摘もある。
 前のめりな姿勢を修正し、現実的な路線にかじを切ったといえる。
 とはいえCO2の排出を抑え大気汚染を緩和することが各国で求められている。
 環境対応車の普及は避けて通れない。
 EVに加え、当面はハイブリッド車など技術が成熟しコストも下がってきた電動車を組み合わせるのが有効だ。

 地域の実情に応じて多様な電動車を普及させるにはまず、政策の後押しを受ける必要がある。 
 少量のEVより多くのハイブリッド車を売る方が環境への負荷を下げられるとの指摘もある。官民が客観的な情報の提供を強め、各国の政策に反映させるべきだ。
 ハイブリッド車など普及が先行した電動車をさらに買いやすくすることも大切だ。
 自動車や部品をつくる日本のメーカーはコストをさらに下げるとともに、各国のメーカーと協力して品ぞろえを増やす必要がある。

 当面は多くの電動車がエンジンを搭載するため、CO2や大気汚染物質を減らすにはエンジンの技術を磨くことも重要だ。ただすべての技術を1社が開発するのは難しい。基礎研究は共同で手がけ、提携により得意技術を相互に供給する。こうした取り組みを広げて研究開発の効率を高めるべきだ。

補足、感想など

 なにか歯切れの悪い表現ではある。
 冒頭でふれた。
 ガソリン車 → 電気自動車 への移行は、20年位かかりそうだ。
 できるだけ、急ごうね—くらいを言っているのだろう。
 でも。
 冒頭でふれたように、おそらくアメリカ、テスラ社の頓挫を意味しており、ドイツのVWの頓挫を予測しているのではあるまいか。

 視点を変えて、中国の記事をみてみよう。

 --ここから--

2018-03-17
 中国は自動車の生産台数および販売台数の双方で世界一となっており、世界一の自動車大国と言えるが、中国市場で大きな存在感を示しているのはドイツ車や日系車などの外資ブランドだ。 
 中国メーカーも近年は品質の向上が見られるが、技術力では世界の有力メーカーと大きな差があるのが現状だ。
 中国メディアは、中国は世界最大の自動車大国であるというのに、「なぜ他国のメーカーより優れた自動車用のガソリンエンジンを作ることができないのか」と疑問を投げかける記事を掲載。

 記事は、中国自動車メーカーの技術力はまだ世界の大手メーカーと「大きな差があるのが現状」であると伝え、中国はロケットも空母も作れるというのに、なぜ優れた自動車のエンジンを作れないのかと主張。
 これについて国外メーカーとそっくりのエンジンを模倣して作るだけならば決して難しいことではないとする一方、中国が優れたエンジンを自主開発できない要因は「基礎工業の遅れ」にあるとした。
 また、ロケットや空母は量産する必要のないものだが、自動車のエンジンは非常に多くの部品と多岐にわたる技術が求められると同時に、「量産」が必要な製品だと指摘する一方、中国には精密な部品を生産できるメーカーが少ないと指摘。
 さらに、中国が生産する部品は日本やドイツの製品に比べて精度が劣るのも事実であるとし、だからこそ中国はエンジンのように精密な部品を大量に使用する製品を大量生産できず、優れたガソリンエンジンを自主開発できないのだと論じた。

 中国はガソリン自動車の分野では他国に大きな遅れを取っているのは事実だが、将来的に大きな成長が見込める電気自動車(EV)の分野で巻き返しを狙っている。
 EVはガソリン車に比べて構造が簡単だと言われており、中国メーカーはすでにEVへの取り組みを強化し、東南アジア市場にも積極的に進出を始めている。
 中国メーカーが優れたガソリンエンジンを作れないと言うよりも、各国のEV市場の拡大を見越したうえで当初からガソリンエンジンを「捨てていた」という見方もできそうだ

 --ここまで--

 さすがに、識字率30%の民族、英国の産業革命に200年も遅れる大ノロマ民族のいうセリフだ。
 どこまでもどこまでも感情というか情緒を混じえたコメントとなっていて、大笑いではある。

 逆に言えば、こういうコメントを言う感覚だから、いつまでも「技術」というものが、進歩しないのだ。
 あぁ、アメリカ人も同じか。

 アメリカ、テスラ社の現状をみよう。

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2017/11/02()
米電気自動車テスラ、過去最大の赤字に 7~9月期、700億円

米電気自動車メーカーのテスラが1日発表した2017年7~9月期決算は、販売費用や研究開発費が膨らみ、純損益が6億1937万ドル(約700億円)の赤字となった。
 ロイター通信によると、四半期決算で過去最大の赤字額という。

 売上高は前年同期比29・9%増の29億8467万ドル。新車の納車台数は5・3%増の2万6137台だった。
 メーカーに一定比率の排ガスゼロ車の販売を義務づけるカリフォルニア州の「ZEV規制」に基づいて販売した排出権は57万ドルにとどまり、前年同期の1億3854万ドルから大きく落ち込んだ。
 一方、同社は7月に納車を開始した新型セダン「モデル3」の生産が遅れる見通しも示した。
 1週間当たりの生産台数が5千台に達する時期を、従来の今年12月から「18年1~3月期の後半」に変更した。(共同)

 --ここまで--

 また。

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2017/09/17()
 電気自動車(EV)への期待が高まっている。人気を牽引するのは米テスラだ。
 イーロン・マスク社長は「水素はバカだ」と公言し、未来のクルマといわれた燃料電池車(FCV)を攻撃する。
 しかしモータージャーナリストの清水和夫氏は「攻撃するのはテスラにとって一番厄介な敵だから」という。
 清水氏と安井孝之氏の「EV対談」。

【安井】最近の電気自動車(EV)への傾斜は欧州での排気ガス問題が一つのきっかけでしたが、もう一つの要素として、イーロン・マスクのテスラの動きが自動車業界に刺激を与えていますね。

【清水】テスラは恐竜を絶滅させた隕石のような存在です。それほど衝撃を与えています。

テスラにとって一番厄介な敵は水素
【安井】ZEV規制がテスラの業績を下支えしているわけですね。

【清水】この規制でホンダやトヨタは年間数十億円のお金をテスラに払っているわけです。それがテスラの大きな収益源になっている。このことが実は、イーロン・マスクが「水素はバカだ」と言い、燃料電池車(FCV、フューエルセル車)を「フール・セル」と揶揄している理由だと思っています。

【安井】なぜですか。
【清水】テスラにとって一番厄介な敵は水素だからです。
 ZEV規制は「水素」に移る可能性がある

【清水】カリフォルニアの2018年モデルイヤー以降のZEV規制で、例えばEV1台販売した際に得られるクレジットが1だとしたら、FC2.5ぐらいのクレジットもらえるようになる。
 カリフォルニア州の考え方として、EVはもう普及期に入ってきたから、クレジットを減らすよと言い始めた。次の高みを狙い、FCVにインセンティブを乗せるよということなのです。
 2018年からFCV、つまり水素のほうにカリフォルニア州は力を入れようとしている。

【安井】イーロン・マスクにとっては、今のうちにFCVを潰しておかないとクレジットがこれまでのように売れなくなるということですね。だから水素を敵にしているという見立てですか。

【清水】そうだと思います。イーロン・マスクほどの頭脳があればわかるはずです。
 あらゆるロビーイングで水素を潰すのが、今のイーロンの仕事だと見ています。

【安井】市場関係者やメディアでは、「もうFCVは終わりだ、次はEVだ」という見方がありますが、そうではないという見方ですか。

ドイツも2025年頃にFCV実用化へ
【清水】アメリカの場合はシェールガスが出てきたので、輸入石油に頼らないでもエネルギー自給率は100%の国になりそうなので、どうしても水素が必要だというわけではないですが……。
 でも大気汚染の原因となる排ガスをゼロにして、長距離をドライブできるのはFCVだけです。
 さらに日本の場合は水素しかないと考えています。僕はエネルギーの自給率を高めるためにも、日本は水素をあきらめてはいけないと思います。

【安井】なんとなく今、FCVはもう終わったみたいな感じになっていて、しかもイーロン・マスクが、EVが主流になると言うものだから、市場もそう受け止めている。
 でもこの8月、ロイヤル・ダッチ・シェルとホンダ、トヨタが米カリフォルニア州北部で水素ステーションを拡充することを決め、そのプロジェクトに同州のカリフォルニア・エネルギー委員会が約1600万ドル(約18億円)の補助金を出します。カリフォルニア州はFCVの普及にも熱心ですね。

【清水】今年9月のモーターショーでは、ついにドイツメーカーもFCV2025年頃までに実用化すると言い出した。
 もはや水素は脱原発と脱化石を実行するなら、不可欠なエネルギーシステムだと思います。

 --ここまで--

 おそらく、アメリカのテスラ社は頓挫する。
 冒頭でふれたように、電気自動車の普及は、20年後だ。