2018年3月7日水曜日

中国を見誤った—と、西側諸国


見誤ったか。
 西欧諸国に言えるのではないのかな。ドイツとかフランスなんかそうか。
 長谷川さんが書いていたな。
 日本人が中国の悪口をいうのは、もと、戦争をした過去があるから、敢えて悪しざまにいうのだ—とドイツなんかは思っているとか。

 そもそもと思う。
 ジニ係数が0.7を越えるような国家が長くもつ訳があるまい。
 どんな暴動が発生したってちっともおかしくないし、また、事実、習近平さんは10度に近く、暗殺未遂の状況に陥っている。
 昨年か、日本の麻生さんがいっているように、「もうすぐ、中国はダメになる」のだ。
 そのタイミングが、刻々と迫っていると考える方が妥当だ。

 以下、新聞から抜粋。

 中国は2月25日、独裁制から専制政治へと転じた。
 世界で最も権力のある習近平氏が望む限り、国家主席の座に残ることを可能にするよう改憲する方針を明らかにした。
 中国の指導者がこれほど権力を振りかざすのは初めて。
 これは中国にとって変化を意味するだけでなく、西側諸国の中国に対する賭けが失敗したことを示す証拠でもある。
 ソ連崩壊後、西側諸国は共産主義国だった中国を世界経済に迎え入れた。
 中国を世界貿易機関(WTO)などの機構に参画させれば、第2次大戦後に成立した規則に基づくシステムで縛れると考えた。

 市場経済への転換が促され、国民は豊かになるにつれ民主主義的な自由や権利、法の支配を渇望するようになると期待した。これは立派な構想であり、本誌も同じ考えだった。
 中国を締め出すよりも優れた戦略だった。
 そして中国は、豊かになった。胡錦濤政権時代は、この賭けが報われると期待できた。
 習氏が権力を握った時も、中国は憲法に基づく統治へと移行すると予想した。
 だが、その幻想は砕け散った。
 現実には、彼は政治と経済において抑圧と国家統制、対立を進めた。

 まず政治から見てみよう。
 習氏は権力を使い、共産党の支配力と党内の自分の地位を固めた。
 腐敗撲滅の名の下、対立し得る勢力を追放した。
 人民解放軍の全面的再編も進めた。同軍の共産党と自身への忠誠を確かなものにするためだ。
 自由な思想を持つ弁護士を投獄し、共産党や政府を批判するメディアやインターネット上の情報も根絶してきた。
 国民生活はある程度は自由が維持されているが、習氏は、不満や逸脱行為を見張る監視国家を築きつつある。
 中国は以前、自分たちを放置するなら他国の国政に口を出すつもりはないと表明していた。
 だが最近は自分たちの独裁制を自由民主主義の対抗馬と位置づけている。

 習氏は昨秋の共産党第19回党大会で、「他国にとっての新たな選択肢」として、「人類が直面する問題を解決するための中国の知恵と中国式手法」を伝授するとした。
 習氏は後日、自国モデルを輸出するつもりはないと説明したが、今や米国は経済的競合であるばかりか、イデオロギー上の競合でもあることを感じさせた。

 中国の市場を世界に組み込む努力の方は多少成功している。
 今や世界経済に統合された中国は、世界最大の輸出国であり、全体の13%強を占める。
 中国企業は、世界で最も時価総額の高い上場企業100社のうち12社を占める。
 そして、自分たちと取引相手に、驚くべき豊かさをもたらしている。
 とはいえ中国は市場経済国ではなく、今のままいけばそうなることは永遠にない。
 むしろ企業を国家権力の歯車ととらえ、支配を強めている。
 あらゆる産業は戦略の一部という位置づけだ。
 例えば中国の産業振興構想「中国製造2025」は、航空や技術、エネルギーなど10の主要産業で、補助金や保護政策を使い世界的企業を育てようとしている。

 産業スパイ活動は以前ほどあからさまではないが、いまだに欧米企業は自社の知的財産が国家的スパイ活動にさらされていると訴えている。
 一方、中国に進出した外国企業は常に中国側の条件での商売を余儀なくされるため、もうかっても無残だ。
 例えば、米カード会社は、携帯電話での決済が主流になってから進出を認められた。
 中国は、西側のルールも部分的に導入しているが、独自のシステムを並行して築いているようだ。
 例えば、広域経済圏構想「一帯一路」では、国外市場に1兆ドル(約106兆円)以上を投じると約束、いずれその規模は、欧州の戦後復興を支えたマーシャループランをしのぐだろう。

 これは、問題を抱えた中国西部を発展させる構想でもあるが、参画する気があるどの国にも中国資本の影響力の網をかける徂いがある。
 同構想は、中国主導の紛争解決を受け入れることを各国に求めている。
 つまり、中国の野心を西側のルールが阻む場合には、中国は自国のやり方で開発を進めるだろう。

 中国はビジネスにも敵対関係を持ち込む。
 独ダイムラーのメルセデス・ベンツは最近、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の言葉をウェブ上で不用意に引用したことで屈辱的謝罪を余儀なくされた。
 中国が主張する南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権にフィリピンが異議を唱えた時は、健康へのリスクを理由に同国からのバナナの輸入を止めた。

 こうした「シャープパワー」は、軍事力や経済力などの「ハードパワー」を補完する。
 中国は、米国を東アジアから駆逐すべく域内の超大国として振る舞っている。
 スカボロー礁だけでなく多くの岩礁や小島を占領し埋め立てているし、急速に軍事力を近代化し、軍事投資を進めているため、東アジアで優位を維持してきた米国の長年の決意は揺らぐのではないかとの見方が出ている。
 人民解放軍は、戦争で米国を負かすことはまだできないが、国力とは武力だけでなく決意の問題でもある。
 中国の挑戦はあからさまだが、米国にはそれを止める意思も能力もなさそうだ。

 では、どうすればよいのか。
 西側諸国は中国への賭けに負けたばかりか、自国の民主主義が信頼の危機に陥っている。
 トランプ米大統領は、中国の脅威に言及してきたが、問題視しているのは対中貿易赤字だ。
 だが、それ自体は脅威ではない。
 貿易戦争になれば、トランプ氏自身が守るべきルールの効力が失われ、中国の横暴さを前に連帯しなければならない米国の同盟国が痛めつけられることになる。

 さらに同氏がどれだけ否定しようと、「米国を再び偉大な国にする」約束は、一国主義への後退に聞こえる。
 それは、中国を利するだけだ。
 むしろトランプ氏は、対中政策をもっと大きな視点で捉え直す必要がある。
 中国と西側諸国は、互いの違いに慣れるしかない。
 将来的に良い国家になるとの期待から、今の不作法を容認するのは筋が通らない。
 中国の不正行為に西側が耐え続ければ、後に異議を申し立てるのは一層危険になる。

 西側は自分たちの価値観が普遍的だと主張してきたが、それを貫きつつも、あらゆる面で妥協しない姿勢を見せる必要がある。
 中国のシャープパワーに対抗するには、西側社会は、学生団体であっても、そうした独立系機関と中国政府とのつながりを明らかにすべきだ。
 中国の経済力悪用に対抗するには、国有企業の投資を精査し、機密技術についてもあらゆる種類の中国企業の投資を調べる必要がある。西側の秩序を守るための機関も支援すべきだ。

 だが米国は何力月もWTOの新委員の選出を阻止している。
 トランプ氏は、米国の同盟国への忠誠を示すために、環太平洋経済連携協定 (TPP)復帰を再検討すべきだ。
 米国は最新兵器システムにも投資すべきだ。
 同盟国は中国の決意を目の当たりにして米国を頼りにするはずなので、同盟国との関係を密にすることも必要だ。
 君臨する大国と台頭している大国の競合関係は、戦争になるとは限らないが、習氏の権力欲が致命的な不安定をもたらす可能性はある。
 台湾をいずれ奪回することで栄光を得ようとするかもしれない。

 中国が国家主席の任期を限定したのは、毛沢東の独裁が招いた混乱と犯罪を繰り返さないためだったことを思い出してほしい。
 こうなるはずではなかったが、西側の中国に対する賭けは、強力でありながら脆弱な専制政治に行きついてしまった。

補足、感想など

 中国の西欧諸国からの債務3700兆円は大きい。
 中国自体、その債務にあっぷあっぷしているようだ。

 この記事、エコノミスト紙のものだろう。
 イギリスから中国をみたとき、どうも、遠距離で中国がよく見えていないのではないか、と思える。
 中国の実情を垣間見せる記事があった。ご紹介したい。

 --ここから--

2016-10-11
 中国経済は日本経済が経験したバブル崩壊から教訓を得て経済政策に反映させるべきだという考え方があるが、中国メディアは、中国経済には日本のバブル崩壊から学びたくても学べない理由があると説明。

 その理由を説明するに際し、まず「石油バブル崩壊」を経験したベネズエラの事例を取り上げ、「多くのベネズエラ国民が石油収入に頼っていたため、人びとは苦労して富を創造することを嫌がった」と指摘。

 また「楽なやり方で富を得ることに慣れると、人の貪欲さはあっという間に大きくなる」とも説明した。
 記事はこの危険な状態は中国にも生じているという見方を示しており、中国が日本のバブル崩壊から教訓を学ぼうとしないのは「中国は現在の不動産バブルに強力に依存しているからだ」と指摘した。

 つまり中国人は現在のバブルの狂乱のなかで楽しい夢を見ており、「バブル崩壊の危険性」を見て見ぬふりをしている――。これが中国には日本のバブル崩壊という非常に貴重な教訓がありながらも、そこから学びたくても学べない理由だということになる。

 いま中国経済のバブルが崩壊するなら、まだ先進国へと発展を遂げていない中国にとってはかなり大きなダメージとなることは間違いない。
 中国は現在、学校教育やイノベーションの質を向上させる努力を払っているが、「苦労して富を創造する」という気質を国民が培えるように中国政府はさらにいっそう力を尽くすべきだ。

 一般的に、中国人はいかに早く大きく儲けるかを考えると言われる。
 こうした考え方は決して悪くはないが、記事が用いた「苦労して富を創造する」というフレーズの「富」がもし金銭的な価値だけを指すのであれば、バブル崩壊などの逆境に直面したときに持ちこたえることはできないかもしれない。

 --ここまで--

 日本は、バブル景気というものを、公定歩合を強引に引き上げることで潰した。
 上の記事でいう、楽しい夢をムリヤリ潰したのだ。
 ところが、習近平さんは、中国人の「楽しい夢」をムリヤリ潰す勇気がないのだ。

 で。
 中国国民も習近平さんも、「楽しい夢」を見ながら、トコトン、行ってしまおう—と決心しているということだ。
 行けるところまで、夢をみつつ、いってしまえ—これが、中国人の生き様だ。

 まぁ、アメリカ辺りの「ハゲタカ」がどっちゃり、中国大陸の上空を周回しているということだろうなぁ。