▲妙な表題となった。
でも。
これは核心の部分なのだ。
今、日本ではウナギ—正確には稚魚であるシラス(ニホンウナギ)の資源枯渇に直面している。
理由はカンタンで、要するに獲り過ぎなのだ。
ところが、インドネシア・ジャワ島の南側では、このシラスが豊富に捕れるのだという。
価格も日本の10分の1以下だという。
つまり、これが「ウナギの新鉱脈」なのだ。
では、なぜ日本ではシラスの資源が枯渇し、ジャワ島では資源が豊富なのか。
これは、ウナギの産卵場所が違うためだ。
ジャワ島のシラス(ジャワウナギとかいうらしい)の産卵場所はおそらくインド洋のどこかにあるのだろう。
日本のニホンウナギの産卵場所は、マリアナ諸島付近の海山らしい—とほぼ突き止められている。
さて、
ウナギは古代より神秘な魚として知られていた。それは幼年期というものが不明だったからだ。
近年になって(おそらく20世紀に入って)、幼年期を海で過ごす動物だと分かってきた。
上で、ニホンウナギの産卵地はマリアナ諸島付近の海山で、このジャワウナギはインド洋のどこかだろう—と書いた。
これは、大陸移動というものと関係しているらしい。
元々、パンゲアという大きな大陸から、マントル対流を原因として、プレートにのっかって大陸は分裂し、広がっていった。
大陸間の割れ目が小さい時、浅瀬を産卵場所として進化してきたウナギは、大陸が動き離れていっても元々の浅瀬の産卵場所に帰っていくのだという。<ニホンウナギも今では数千キロという大航海となってしまった>
産卵場所が違うという意味は、上のようなことだ。
だから。
このジャワウナギは「新鉱脈」なのだ。
以下、新聞から抜粋。
インドネシアが新たなウナギの産地として台頭してきた。
丸紅などがジャワ島で稚魚の採取、養殖、かば焼き加工にのりだし、対日輸出を始めた。
現地品種の供給が増えれば需給が緩み、ウナギ料理の値段も下がりそうだ。
丸紅が4割、現地の水産飼料会社が6割出資する合弁会社は、ジャワ島東部バニュワンギで養殖とかば焼き加工を始めた。
2013年度に120トンを出荷し、14年度は今年の2~3倍にする。
今年は3分の2をイオン向けなど日本へ輸出、残りを現地で販売する。
ジャワ島南西部プラプハンラトゥでは、熊本県の水産会社等が設立したジャワ水産インダが養殖と加工を始めた。
13年度の出荷予定は100トン。日本に7割、米国に3割を輸出する。14年度も増産する。
両社が養殖するのは、ニホンウナギとは異なるピカーラ種で、通称ジャワウナギと呼ばれる。
体長はニホンウナギより短い。稚魚の取引価格はニホンウナギの10分の1以下とされ、プラプハンタトゥなどジャワ島南岸の河口で採取できる。
丸紅の合弁会社では近隣の島でも調達している。
両社のかば焼き加工能力はそれぞれ年1000トン前後。
日本の年間消費量の数万トンに比べるとまだ少量だがジュワ水産は「主要市場の日本の需要は多く、供給量は、まだ伸びる」とみる。
ジャワ島には韓国の水産大手もすでに進出した。中国など他の東アジア諸国も追随の構えを見せている。
うなぎ資源の新鉱脈は早くも争奪戦の様相で、丸紅など日本勢を追いかける展開をなりそうだ。
釜山市に本社を構える韓国の水産大手はジャワ水産と同じプラプハンラトゥで養殖場を建設中だ。
設備投資には韓国政府の資金も入っているといい、加工能力は年2000トン程度を確保する。
ほとんどを韓国へ輸出すると見られる。
中国や台湾など他の需要国・地域の関係者もジャワ島を視察しており、試験水産を始める動きもある。
▲補足、感想など
ウナギの食べ方ってそんなに種類はない。
おそらく、日本式の蒲焼きという食べ方が一番おいしい料理方法であろう。<ニコルさんは、イギリスのウナギのゼリー寄せだっけ、美味しいとか書いていたなぁ>
かば焼きは、日本の醤油ダレがあってのものだ。
だから、醤油の普及している東アジアを中心に、後、アメリカなどで食べられるものだろうな。
たぶん、このジャワウナギ(ピカーラ種)の産卵場所は突き止められまい。
それでも、ニホンウナギのような資源の枯渇という轍を踏まないように、用心が必要だろう。
特に、韓国・中国の会社は抑制はしないだろう。
インドネシアからすれば、降って湧いたような新産業か。
中国・韓国の会社へ制限を加えることが難しいかもしれないな。
そういえば、中国のマツタケがとれる産地では、トコトンとりすぎて駄目になったとか聞いたなぁ。
マツタケといい、ウナギといい、日本人の食欲がいろんなところに、影響をおよぼすものだ。
この夏、インドネシアがシラスウナギの密輸に規制を加えているいう記事があった。ご紹介したい。
--ここから--
土用の丑の日を前に東アジア一帯でウナギの稚魚シラスウナギの深刻な不漁が続く中、中国や日本の養殖業者向けの稚魚の密輸がインドネシアで横行、同国政府が規制強化に乗り出すことが20日、海洋・水産省や漁業関係者の話で分かった。
インドネシアは、ウナギ属7種が生息することなどから「ウナギ発祥の地」とされる。
日本で一般的なニホンウナギに味やサイズが近いビカーラ種などが密輸の標的になっている。
通関・検疫体制が貧弱で規制の緩いインドネシアに狙いをつけ、密輸業者が安価な稚魚を国外に売りさばいている実態が明らかになった。
--ここまで--