▲ミスドがどうやら、危うくなってきたようだ。
コンビニでドーナツを売っているが、この製品と差別化できないようだ。
ミスド自体、新製品といってもこれっというものがない。
まず、昨年夏頃の記事から見てみよう。
--ここから--
2016/08/04(木)
ミスタードーナツ(ミスド)が凋落の一途をたどっています。
今春、クリスピー・クリーム・ドーナツ(クリスピー)が閉店したことが話題になりました。
クリスピーは行列ができるドーナツ店としてもてはやされていました。
しかし、2015年11月時点では全国に64店舗を展開していましたが、執筆時点では47店舗にまで激減。
ミスドにとっても対岸の火事ではありません。ミスドの経営状態も危機的状況だからです。
ミスドを運営するダスキンの17年3月期第1四半期の連結決算は、売上高が前年同期比1.0%減、営業利益が61.6%減と減収減益。フードグループが深刻で、売上高が4.3%減、営業利益が4億円の赤字(前年同期は6700万円の赤字)。
ミスドの不振は一時的なものではありません。全店売上高は下降線をたどっています。直近5年では、12年3月期が1147億円、13年が1111億円、14年が1030億円、15年が1020億円、16年が915億円と一貫して減少。フードグループの営業利益は3期連続で赤字です。
店舗数(営業拠点数)も激減しています。12年3月末には1373店ありましたが、16年3月末には1271店に減っています。4年間で102店もの減少です。ミスドもハイペースで閉店している。
外食産業の市場規模は、1997年の29兆円をピークに下降線をたどっています。コンビニエンスストアなどの中食産業の台頭で外食産業は脅威にさらされています。
コンビニのレジ横におけるドーナツの本格的な販売の開始がミスドに追い打ちをかけました。
「ドーナツ戦争」により大きな打撃を受けた格好となりました。
店舗数を減らしているとはいえ、ミスドはドーナツチェーンでは圧倒的です。しかし、ドーナツを販売しているセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ主要3社だけでも店舗数は4万店を超えています。
規模の面では太刀打ちできません。ミスドの周りには、“コンビニ連合による包囲網”が敷かれており、四面楚歌の状態といえます。
●コンビニにない武器を持つミスド
厳しい状況に置かれているミスドですが、ミスドにはコンビニドーナツにはない差別化された武器が存在します。「品揃え」「できたて」「熱烈なファン」の3つ。
品揃えに関しては、ミスドの代名詞といえる「ポン・デ・リング」や定番の「オールドファッション」、クリーミーな味わいが売りの「エンゼルクリーム」といったドーナツを数多く取り揃えていることが特長となっています。品揃えの豊富さは、コンビニドーナツを圧倒。
ミスドは、多くの店舗で店内調理を行っています。これは現状のコンビニではできないことです。
ミスドならではといえるでしょう。できたてのドーナツを提供するために、一店一店でドーナツを手づくりしています。
できたてを強調するために、店の外からドーナツを調理している様子が見えるよう店舗の大規模改装も進めています。
ミスドには熱烈なファンが存在します。
71年に1号店がオープンし、75年にオールドファッション、03年にポン・デ・リングを販売開始しています。
その後、長きにわたって親しまれてきました。
また、ミスドの人気キャラクター「ポン・デ・ライオン」がミスドのイメージアップに一役買っています。
確固たるブランドを築いているといえます。
経営環境は厳しさを増していることに変わりありません。
コンビニドーナツに対抗できる新機軸を打ち出していく必要があります。
ドーナツの食べ放題「ドーナツビュッフェ」のような、コンビニではできないことを行っていく必要があります。
キャンペーンを継続していくことが必要不可欠といえるでしょう。
コンビニが仕掛けたドーナツ戦争、コンビニもミスドの客を奪うには至っていませんが、ミスドも経営が逼迫しています。ミスドは生き残ることができるのでしょうか。
今、ミスドは試練に立たされているといえそうです。
--ここまで--
上が昨年8月時点の記事。
その後どうなったか。以下、記事から抜粋。
2017/03/14(火)
ミスド、大規模構造改革でキッチンなしの店舗も
ドーナツ専門店の「ミスタードーナツ」が大規模な構造改革を進めています。
消費市場の低迷と慢性的な人手不足に対応するため、キッチンのない店舗の比率を高めます。
最近ではコンビニも参入するなど競争環境が厳しくなっています。
ミスタードーナツを運営するダスキンの2016年3月期決算における外食部門の業績は、約15億円の営業損失。2017年3月期についても、部門業績は赤字を見込んでいます。
こうした状況を受けて、同社はミスタードーナツの店舗運営の方針を大きく転換することを決定しました。
これまで同社は基本的に各店にキッチンを備えていましたが、今後はキッチンなしの店舗を増やし、キッチンありとキッチンなしの店舗を複合的に近隣に出店していく予定です。
キッチンのない店舗にはキッチンありの店舗から品物を配送、
加えて持ち帰り専門店を増やすことでさらに店舗コストを削減します。
キッチンなしの店舗には、未経験の店員でも配置が可能となりますから、人手不足にも柔軟に対応できます。
▲補足、感想など
上の記事にもあるごとく、各店舗にキッチンがあることこそが、コンビニのドーナツとの差別化できる理由であった。
その差別化できる手段を手放そうとしているということは、それだけ、ミスドが追い詰められているのだ。
数年前のコンビニがドーナツを売り始めた頃の記事もみてみよう。
その時は、ミスドもコンビニのドーナツ販売に賛成していたのだ。
--ここから--
●ミスドもクリスピーも歓迎モード
日本のミスドがセブンを訴える可能性があるのかというと、それもない。
ミスドの“そっくりさん”がコンビニエンスストアの店頭に並ぶのは今回が初めてではないからだ。
日本上陸当初もしくは上陸から数年内に販売を開始し、現在も売られ続けているハニーディップやオールドファッション、フレンチクルーラーといった人気メニューは、ダンキンでもそっくりなものが売られていたが、それが問題になったことはない。
コンビニの菓子パンコーナーなどに置いてある袋詰めのドーナツでは、かなり前からミスドの酷似商品が売られている。
商標登録は商品名のほか、形状や製法でも取得することが可能だが、ミスドは「商品名での登録は一部あるが、形状や製法では登録をしていない」という。
「類似しているドーナツの形状や名称がミスド特有のもので、そのドーナツを見ればミスドのドーナツであることが想起できる程度の周知性が認められれば、不正競争防止法に抵触するおそれがある」(弁護士)のだが、長期間酷似商品の流通を放置してきた以上、その主張も難しい。
そもそもマネされたミスド自身がまったく問題視していない。それどころか、今回のセブン参入に対してはむしろ歓迎モード。
「(ミスドは)専門店として40種類の製品を常時店舗に置いており、店内で調理して揚げたてを提供している。
店内での居心地も追求しており、テイクアウトメインのセブンとは対象にしている市場が違うから、競合はしない。
(セブンの)参入によってドーナツへの関心が高まることを期待している」(ミスド広報)
確かに、スターバックスコーヒーにもハニーディップと形も大きさもよく似た「シュガードーナツ」があるが、こちらは210円もする。
それでも居心地の良さを求めてスタバにやってくる顧客は、値段の高さを気にせず買う。
それではクリスピー・クリーム・ドーナツはどうか。同社の製品は知らずに不用意に持つと、ぐしゃりと潰れてしまうほど生地がふわふわしていて柔らかい。ミスドにはこの食感のメニューはない。
トッピングも派手で、こちらはテイクアウトが中心。
専用ボックスはそのカラフルで派手なドーナツを平置きできるようになっており、「ふたを開けたときのサプライズ感がセールスポイント」(クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン広報)。
基本の「オリジナル・グレーズド」という揚げた生地にシュガーソースをまぶしたドーナツが160円と、ミスドと比較してもだいぶ高い。
写真で見る限り、セブンのもっちリングドーナツが近い食感である可能性があるが、こちらも「ドーナツに関心を持ってもらえる可能性があるので歓迎」(同)だそうだ。
●すでに始まっているコンビニ・ドーナツ戦争
以上のようにドーナツ専門各社が余裕の姿勢をみせる中、現時点で対セブン戦闘モード全開なのは同業のコンビニ大手だ。
ローソンは一部の店舗で菓子パンコーナー付近に大々的に袋入りのドーナツコーナーの設置を開始している。
全部で7種類揃えているが、このうち5種類が“ミスドそっくりさん”で6種類が税込みで100円。
チョコレートがけした「オールドファッション」や「シュガードーナツ」など、ミスドの人気メニューにフォーカスしたような品揃えだ。
「モッチリングいちご」はミスドのポン・デ・ストロベリーと同じ8個連結という点でセブンよりも似ている一方、トッピングはなし。
ファミリーマートもローソンほど熱心ではないが、菓子パンコーナーにチョコレートがけした「オールドファッション」「フレンチクルーラー」「モッチリングドーナツ(ストロベリー)」を置いている。
こちらは税込みで108円~120円。モッチリングは、ミスドのポン・デ・ストロベリーによく似ている。
トッピングはポン・デ・リースストロベリーと、ポン・デ・ストリベリーの中間くらいの派手さ。
一番控えめなのはサークルKサンクスで、ここはチョコレートがけのオールドファッションのみで、値段は税込み108円。
ちなみに以上のコンビニの袋入りドーナツ商品の製造元はすべて山崎製パンだが、なぜか同社が運営するデイリーヤマザキでは見かけない。セブンでもこれまで、袋入りでは継続してミスドの酷似商品を提供してきたが、「製造、配送、店頭での品質管理によって、袋入りでは実現できなかった品質レベルを実現できる」点がセブンカフェドーナツのウリだという。
レジ横に置いて、ついで買いを誘引することが主要目的ではないということらしい。
ドーナツは食事にはなりえず、小腹がすいた時に買うおやつの類は350kcalを超えてくると引いてしまう。
いまどきは男性でもカロリーを気にして、きちんとコントロールをしている。
コンビニ同士の勝敗もさることながら、顧客に安定的に受け入れられるのかどうか。
カギを握るのは「間食への罪悪感をいかに緩和するか」ということではないだろうか。
--ここまで--
結局、コンビニの数というものに、ミスドの味等では対抗できなかったということだろう。
恐るべし、コンビニの店舗数による「勢い」。