2017年3月16日木曜日

日本政府として東芝の支援を検討している事実はない---と菅さん

官房長官としてはこう言わざるをえまい。
 だって、東芝は一私企業にすぎないから。

 しかし。
 一番、肝心なことがある。
 1.現在時点で原発に代替するだけのエネルギー源は見つかっていない。代替するエネルギー源が見つかったとしても、実用化するまでに数十年かかる。
 2.日本人が通常の生活を維持するためには、ある絶対量のエネルギーが必要だ。それを供給するためには、原発の再稼働がどうしても必要だ。また、通常の生活を維持しなければ、原発に代替するエネルギー源を開発研究するという作業もできないことを理解して欲しい。
 3.福島原発の事故処理を継続して廃炉までいきつかなければならない。
 4.日本は外国にエネルギー源を頼るということは安全上できない。

 こう並べると、日本はおそらく10年以内位に、原発の新設をしなければならなくなる。
 そのためには、どうしても原発の建築・製造会社を生存させておかなければならないのだ。

 まず、菅官房長官の記事から。

 菅義偉官房長官は14日のl会見で、2016年度第3・四半期決算の発表を再延期した東芝(6502.T) について、政府として支援策を検討している事実はないと述べた。
 菅官房長官は東芝の決算発表延期に関して「上場企業の経営に関する事案であり、政府としてコメントは控えたい」としたうえで「速やかに市場に対し、正確な情報が開示できるよう、しっかり対応して欲しい」と述べた。

 稲田朋美防衛相が大阪の学校法人「森友学園」の裁判に出廷していたのに、参議院予算委員会で事実と異なる答弁をしていたことについては、「本日、昨日の答弁を訂正し、謝罪した。今後とも誠実に職務にあたっていただきたい」と語った。

▲補足、感想など

 wh のアメリカでの債務などの行方が不透明であるため、日本側が一方的に支援するというようなことが発言できないのだろう。
 全体を俯瞰したような記事があった。それをご紹介する。

 --ここから--

 日立製作所、東芝、三菱重工業の国内原子力「御三家」が原子力事業の存続に向けた岐路に立たされている。福島第1原子力発電所の事故を契機に国内は先細りし、頼みの綱の海外も東芝が米国の原発事業で数千億円規模の減損損失を出すなど不確実性を強め、出口は遠退くばかりだ。

 3社は原発の燃料事業の統合で打開策を探るものの、さらに踏み込んだ原子力事業全体の統合への足並みは揃わない。
 昨年12月、海外原子力事業で3社は慌ただしい動きをみせた。三菱重工は、提携先で実質経営破綻に陥ったフランス原子力大手アレバの出資要請に応じた。
 日立、東芝がそれぞれ英国で手掛ける新規原発建設については、日英両政府は、資金支援などを含めて原子力分野での包括協力で覚え書きを交わした。

 さらに、27日には、東芝が米原発事業で数千億円もの巨額な減損損失が発生する可能性があると発表し、原子力関係者や株式市場に「東芝ショック」が走った。
 明暗の分かれる事案とはいえ、3社が今後の原子力事業を託す海外の厳しい環境が背景にあった点は共通する。

 三菱重工の場合、フランス政府の強い要請を受け、日本原燃(青森県六ヶ所村)とともにアレバに5億ユーロの出資を提案したとされる。出資規模からして、大型客船事業での巨額損失や米原発をめぐる賠償問題など難問を抱える三菱重工にとって、「沈みかけた船」に相乗りするようなアレバへの出資は苦渋の選択だったはずだ。

 三菱重工、日立、東芝、それぞれの難題
 三菱重工の宮永俊一社長は「アレバとの緊密な関係維持」を大義名分に社内の反対を押し切ったとみられる。確かに、両社の協業関係は、ベトナム政府が11月に白紙撤回したとはいえ、共同開発した新型炉で同国での原発受注をほぼ手中に収めるなど密接だ。
 海外事業を加速するうえで手を切るわけにはいかないとの判断が働いたことも容易に想像がつく。

 英原発建設に向けた日立、東芝に対する政府支援は、原発輸出を成長戦略に据える安倍政権による頓挫したベトナムの轍は踏まないとの強い意思表示に映る。
 同時に、英国で原発建設を受注した中国への警戒感も透けてみえ、新興国を中心に海外で中国勢と激しい受注合戦を繰り広げる日本勢には後ろ盾になる。

 一方、東芝の米原発事業で発生する巨額損失は、原子力事業に決定的な打撃になりかねない。 会計不祥事後、半導体事業と並び経営の柱に位置付けた原子力事業、しかも中核となる米子会社ウエスチングハウス(WH)による企業買収で生じる損失だけに、同事業にとどまらず、再出発途上の東芝に再び暗雲が立ち込める。

 このほか、3社の海外事業は、受注にこぎ着けたトルコ、インド、リトアニアなどで相次ぎ暗礁に乗り上げている。こうした内憂外患の逆風下で浮上した打開策が、原発で使用する燃料事業での統合構想だ。
 既に3社は交渉に入り、今年春の統合を目指す方向とされる。しかし、それは単なる延命策に過ぎない。経済産業省などはその先に原子力事業全体の統合も視野に入れているとの観測もある。

 ただ、ここに行き着くまでには3社それぞれが海外企業をパートナーに受注競争を繰り広げ、得意な原子炉形式も異なる事情もあり、二の足を踏む。
 原子力ビジネスは少なくとも計画から20年、30年先を見据えた超長期型であり、それに応じた経営判断が求められる。

 しかし、再建の危機に見舞われかねない東芝を挙げるまでもなく、3社は国内外で激変する事業環境に耐え、座して待てるだけの体力を維持できるか――。
 事業存続の岐路のなかで大きな決断を迫られている。

 --ここまで--

 冒頭でふれた。
 原発に代替するエネルギー源は現時点では見つかっていない。
 仮に、地熱発電などを代替エネルギー源としても、実用化というか、原発に代替するような規模になるには、数十年かかる。

 だから。
 原発を再稼働し、また、原発を新設して、次世代エネルギー源が実用化するまで、稼働しつづけるしかないのだ。
 そのことを日本の国民は直視してほしい。

 つまり。
 東芝にせよ、三菱重工にせよ、日本政府がなんらかの形で、支援しつづけ、原発製造・新設能力を生存させ続けなければならないのだ。