2016年7月13日水曜日

ホンダが、重希土類を使用しないモーターを開発

えっと。
 トウ小平さんが言ったとか言う、「中東に石油あり、中国に希土あり」てな話があったな。
 国家として重要な資源をもっていることの優位さを言ったものだろう。

 ただ。
 その「重要な資源」であっても、戦略を間違えれば、とんでもない目に会う—ということだ。
 温家宝さんだったかな。
 日本との間でトラブルが発生したとき、日本を脅す目的で、中国の希土類の輸出を禁止した。

 まぁ、中国人としては日本人が音をあげるとか思ったのだろうな。
 ところが、あっという間に、日本人は希土類の不要な磁石などを作り上げ、「希土類」の「希」の部分を消し去ってしまった。

 そして、今度、最後の「重希土類」である「ジスプロシウム」すらも不要な磁石・モーターを作ってしまい、最後の希土類—ジスプロシウムの価値を無いものとしてしまった。

 あ~ぁ。
 戦略物質がちっとも戦略物質とならず、単なるリスクの高い「土山」に変化したということだ。

 以下、新聞から抜粋。

 ホンダと大同特殊鋼は、レアアース(希土類)の一種である ジスプロシウムなどの重希土類を使わない熱間加工ネオジム磁石をハイブリッド車(HV)用駆動モーターに 世界で初めて実用化したと発表。
 ホンダは同モーターを今秋発表予定の新型ミニバン「フリード」に採用する。

 重希土類は大部分を中国からの輸入に頼っており、過去には政治的な問題で価格が上昇したり供給が停止するなどし、 生産に影響が出るおそれがあった。
 このため、使用量の削減が強く求められていた。

 両社によると、モーターに重希土類が使われていなくても、トルク、出力、耐熱性といった性能は 従来品と同じレベルを達成しており、コストも削減できるという。

補足、感想など

 ジスプロシウムか。

 ちょいと古い記事を紹介する。

 --ここから--

2012/10/25()

 中国のレアアース対日輸出停止、損失拡大の誤算

 中国のレアアース(希土類)最大手、内蒙古包鋼稀土高科技は24日までに一部工場の稼働を休止。
 1カ月間、停止する。
 2010年の尖閣諸島を巡る日中対立で中国当局がレアアースの対日輸出を止め、 日本企業が代替品の開発を進め、需要が急減した。
 中国のレアアース生産量はピーク時の06年に16万トンあったが、今年は半減する見通しだ。
 中国はカードを切って日本に譲歩を迫ったが、かえって損失を被った形だ。

 稼働停止は包鋼稀土の関係者が明らかにした。
 同社は中国江西省かんしゅうで製造子会社2社を運営。
 ハイブリッド車(HV)に組み込む高性能のモーターや電池に使うジスプロシウムやネオジムなどを精製し、加工していた。
 
 中国のレアアース会社は約300社にのぼる。
 業界関係者によると、精製・加工企業の約25%が稼働を停止し、 操業中の企業でも稼働率は3~4割に低迷。
 江西省の企業幹部は 「日本からの引き合いの激減と世界経済の低迷で需要が減り、経営破綻した企業も出た」と明かす。

 10年秋の日中対立で中国当局がレアアース輸出を停止し、レアアース価格は11年夏のピーク時に 10年夏の約10倍に高騰。
 世界貿易機関(WTO)でも中国のレアアースの輸出制限は問題になった。
 ただ日本企業が技術開発で使用量を減らし、調達先も広げたため、直近の価格はピーク時の約3割に急落。

 包鋼稀土の7~9月期の純利益は前年同期比9割減となり、レアアース関連の磁石メーカーの業績悪化も続く。

 --ここまで--

 日本人相手にケンカを売るとこうなる—ということだろう。
 とうとう、希土類の最後の砦であった「ジスプロシウム」まで、不要となったか。

 2010年の尖閣諸島をめぐる対立から、6年間か。
 これによって、「中国の希土類の輸出」という産業が一つ潰れたな。
 トウ小平さんまでが触れた戦略物質が、とうとう単なる土塊(つちくれ)となってしまった。