2016年7月25日月曜日

中国は新興国—と李首相

新興国ということは分かっている。
 なぜ、改めてこんな言葉が口から出たのだろうなぁ。

 人民元が下がり続けているからではあるまいか。
 人民元/円の相場のチャートをみていると、昨年秋が19円台(もう20円に近かった)それが、今14円台なのだ。

 ほぼ、10月くらいで5円程度下がっている。
 中国政府も介入しているようだが、おっつかない状況なのだろうな。

 このあたり、麻生さんが発言している。

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 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、中国・成都で開幕。
 英国の欧州連合(EU)離脱決定後初のG20となり、離脱問題が引き金となって世界経済が失速する事態を避けるため、各国が財政、金融や構造改革の政策を総動員して対処する方針を確認する。
 24日に共同声明を採択して閉幕する。

 麻生太郎財務相は、記者団に対して 「英国の国民投票以降、人民元が対ドルでさらに減価(元安)している中国経済に注視していきたい」と発言した。
 為替レートの過度な変動による金融市場への悪影響で、とりわけ影響力の大きい中国に対する懸念を表明した。
 初日の会議で世界経済について意見が交わされた。

 英国のEU離脱決定直後の金融市場の混乱はひとまず沈静化した。
 ただ、離脱の通知時期や英国とEU双方の離脱の条件ははっきりせず、通商や金融をめぐる英国の位置付けや世界経済に与える影響は見通しにくい状況が続いている。

 G20会合に先立ち、日銀の黒田総裁は記者団に対し「世界経済の成長率が上昇するシナリオに変更はないが、不確実性が続く」と述べた。
 一方、麻生財務相と米国のルー財務長官は会談を行い、ルー氏は通貨安競争を回避する重要性を指摘した。

 2カ月ぶりとなる日米財務相会合でルー氏が通貨の切り下げ回避に言及したのは、急激な円高には円売り介入を辞さない構えの日本政府を改めて牽制しただけでなく、中国の人民元安も念頭にあるとみられる。
 元は今春以降下落傾向をたどっており、背景には中国政府の元安容認への転換も指摘されている。

 また、麻生財務相は、英国のハモンド財務相とも会談し、英国のEU離脱問題の影響や、今後の道筋について意見交換した。
 
 --ここまで--

 中国の元安容認?
 そうじゃなくて、介入しても介入しても効果がないほど、人民元が信用を失っているという意味ではあるまいか。

 こういう事態となることはもう予想されていた。

 --ここから--

 2016/06/22()

 中国の債務に懸念が強まるなか、人民元の下落が続いている
 米ゴールドマン・サックスが、中国経済をメッタ切りした。
 中国が抱える債務の実態は、当局が公表する数字よりも大幅に悪化と分析。
 人民元の急落や資本流出危機の再燃を予測する。
 輸出や輸入など実体経済の低迷も深刻で、世界経済の重大なリスク要因となった。

 「中国の債務はずっと大きい」とするゴールドマンの分析が紹介。
 中国の債務問題については欧米の金融機関が分析を行っているが、影の銀行経由の融資など実態は不透明。
 中国当局は、影の銀行を含む資金供給の動向をとらえる指標として、「社会融資総量」という指標を公表、でもゴールドマンのアナリストはその信頼性に疑問を呈する。

 銀行から企業への融資がノンバンクを介して行われる結果、資金供給量が拡大。
 中国当局が発表した2015年の社会融資総量は前年比約300兆円増に対し、 ゴールドマンは、中国の国内総生産(GDP)の36%に相当する約388兆円が融資で資金供給されていると分析、大きな開きがある。

 アナリストは、中国の統計では捕捉できない巨大な影の融資が行われている可能性があると指摘、「中国の債務問題やリスクに関する懸念を増大させている」と結論。
 国際通貨基金(IMF)のナンバー2、リプトン筆頭副専務理事は、中国広東省で講演し、中国企業が抱える過剰債務を解消しなければ、経済成長が減速し、金融危機を招く恐れがあると。

 中国企業の債務はGDPの約145%に上るとの推計も示しリプトン氏は、「企業の巨額債務は深刻な問題だ」と述べ、問題解決に取り組むよう中国政府に求めた。
 中国企業の債務の約55%は政府系が抱えていると説明。
 「政府系企業は収益性が低い」と、統廃合を急ぐべきだとの認識を示した。

 実体経済も厳しい。
 輸出と輸入を合わせた貿易総額は今年1~5月累計のドルベースで前年同期比8・6%減少となるなか、鋼材の輸出は、数量ベースで6・4%増えたのに、 金額ベースでは22・4%と大幅減を記録、ダンピングを疑わせる数字となっている。
 週刊東洋経済元編集長の勝又氏は「5月の伊勢志摩サミットでは、のどまで出かかった“中国経済危機論”を封印しつつ、中国リスクを織り込んだ」とみる。

 一方、ゴールドマンのストラテジストは、リポートで人民元について「完全にネガティブな見方に転じている」と言い切った。
 「昨年8月や年明けに見られたのと同様の資本流出を再燃させるリスクがある」と懸念を示した。

 中国人民銀行によると、5月末の外貨準備高は3兆1917億ドル(約330兆円)と、前月末と比べ279億ドル減少し、4年5カ月ぶりの低水準となった。

 米国の利上げ観測を背景に中国からの資本流出が加速する恐れもある。
 防ぐため、外貨準備を取り崩して元買い介入をした可能性が高い。
 中国が約束している人民元改革が何ら進んでいないことがよくわかる。

 それでも人民元安は止まらない。
 人民元は対ドルで14年年初の1ドル=6・0元近辺だったが、今月15日には一時1ドル=6・6047元と、5年ぶりの安値を記録。
 前出の勝又氏は警告する。
 「中国経済は落ち着きを取り戻し、危機は生じないとみるエコノミストもいるようだが、1ドル=6・6元を超えた元安が定着する状況になれば、一気に楽観論は吹き飛ぶ」

 --ここまで--

 今日が1ドル=6.681元だ。
 なるほど、人民元が世界の金融界から信用を失っていることが分かる。
 外貨準備高をとりくずして、元を買っても買っても、ドンドン下がっているということなのだな。

 そして、その状況の下に、表題の「中国は新興国だ」というセリフが意味をもっているということだろう。

 以下、新聞から抜粋。

 世界経済を成長低迷から救う役割を中国に期待しないように-。
 これが世界第2位の経済大国、中国の李克強首相からのメッセージだ。
 成都で23、24日に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議を直前に控え、同首相は6つの国際機関トップと経済成長や貿易、金融をめぐる協議を行い、その後の会見で新興国としての中国の立場を強調。

 李首相は中国は引き続き世界に大きく貢献し、スタビライザー(安定剤)としての役割を果たすが、長期的な景気後退圧力にさらされており、「中国は新興国であり、世界経済で最も重い責任を負うことはできない」と言明。
 また、中国が実施しているような「予防的な」財政政策の実施を世界の国々に呼びかけた。

 同会見でIMFのラガルド専務理事は、世界は財政や金融、構造的な措置を講じる必要があると主張。
 英国の欧州連合(EU)離脱決定が成長見通しを押し下げた点を繰り返した。
 WTOの事務局長は貿易の伸びが30年来の低水準にあると警鐘を鳴らし、キム世界銀行総裁は西側諸国でグローバリゼーションを拒絶する動きが広がっていることに懸念を示した。

 李首相は、中国は決して通貨切り下げ競争に参戦せず、為替制度改革を継続しながら、元相場を妥当な水準に維持すると語った。
 また海外から一部分野における過剰供給能力の低減を求める声が高まる中で、鉄鋼と石炭の貿易では他国との交渉に進んで応じる構えだとしている。

 さらに中国は堅実な金融政策にこだわりながら、予防的な財政政策を実施し、減税を行う余裕がまだあると発言。
 中国経済は債務や投資に依存した旧来型のモデルから離脱して、消費とサービス業に成長エンジンがシフトする移行期間にあるとの見解を示し引き続き市場改革を推進していくと語った。

 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は「中国は高品質タイプの成長を追求している。 
 科学やハイテク、イノベーション、デジタル経済、知識集約型の資本や技能、これらは全て、新たな成長物語に不可欠だ」と述べた。

補足、感想など

 ふ~ん、李首相の方が頭がいいのだな。
 習近平国家主席は、どうやら、お役ご免となったということか。
 まぁ、あの顔ではなぁ。
 ここまで追い詰められれば、もうどうしていいのか—オロオロするばかりなのだろう。

 もう、毎日毎日が薄氷を踏んでいるようなものだろう。
 このブログで何度もふれた。

 人は脅せば口を閉ざす、邪魔者は殺してしまえばいなくなる、余計な口をきく国民は、「金盾」で愚民化してしまえば、なにも分からないアホとなる。

 でも。
 お金だけは、そんな中国人のもつ中華思想とか、はったりとか、メンツなんぞと全く無関係に、「合理的」に動く。

 中国人は、今、そんなお金のもつ「合理性」というものに、したたかに打ちのめされているのだ。
 如何に反日政策を強化・拡大したって、日本人を悪者にしたって、この状況から解放される訳はない。

 今こそ、中国人は、合理性・科学性というものを取戻さなければならないのだ。
 お金のもつ合理性に対抗するのは、中国首脳部の「頭脳の合理性・科学性」というものしかない。