2016年12月24日土曜日

日本が世界の外交をリードする

▲そうかもしれないな。
 トランプさんは、やはり、ちょいと柔軟性がない。

 そのあたり、安倍さんの柔軟性は本物だろう。
 外交という点では、安倍>>トランプではないのかな。

 以下、新聞から抜粋。

■民進・蓮舫代表の「お粗末な安倍批判」
 激動の2016年が終わる。大統領が交代する米国、議会に弾劾された韓国、訪日したロシア、そして欧州連合(EU)から脱退を決めた英国。
 その中で日本は来年、世界とりわけ東アジアで存在感を高めていく。

 まず1216日に終わった日ロ首脳会談に対する評価からだ。
 民進党の蓮舫代表は「結果としてわが国の経済援助で終わってしまったような印象。非常に残念だ。引き分けどころかプーチン氏に1本とられた形で終わったとすれば、国民の一人あるいは公党の代表として残念」と酷評。

 これに対して、安倍首相は「蓮舫氏は間違っている」と反論した。
 日ロが検討するのはロシアに対する「経済援助」ではない。
 経済援助とは、たとえば政府開発援助(ODA)のように、政府が公金で途上国に投融資や技術支援をする話だ。

 日ロが合意した中小企業支援など8項目は「経済協力」であり、主役はあくまで民間である。
 政府ではない。野党の立場として政府のやることを批判したい気持ちは分かるが、批判の仕方がお粗末すぎる。
 せめて援助と協力の原理的違いくらいは踏まえなければ、政権は痛くも痒くもないどころか、野党のピンぼけぶりが際立つだけだ。
 そう指摘したうえで経済協力をどうみるかといえば、私は領土交渉のスタートラインとして評価する。

 たとえば、日本の中小企業がロシアの中小企業と提携して新会社を作って北方4島で水産加工に乗り出すとする。
 加工水産物を日本に輸出すれば、新会社は利益を得る。
 それは日本とロシア双方にとってウィンウィン関係になる。

 事業が軌道に乗れば、日ロ双方の企業から「事業を壊さないように日ロ関係を円満に維持してくれ」という声が高まるだろう。
 それが日ロ友好の深化発展につながる。
 うまく行けば、その先に領土問題の解決を展望できるかもしれない。

■北方領土しか見ていない奇妙なマスコミ
 私がプーチン大統領の会見発言でもっとも注目したのは「重要なのは、この島の利益に関係する人々のことを考えることだ」と述べた点である。
 これは共同経済活動と平和条約の関係についての質問に対する返答だった。

 プーチン氏は国同士の問題を考えるうえで「島の利益に関する人々が重要」と言っている。
 外交は結局、国民同士の問題である点をしっかり理解しているのだ。
 この点を実は多くのマスコミが理解していない。

 マスコミは日ロ交渉といえば「北方領土を返してくれるかどうか」「平和条約がどうなるか」といったように、いわば雲の上の議論をして分かったつもりでいる。
 だが、真の問題は国民、とりわけ4島に直接関わる人々が何を望み、どう思っているかではないか。

 一言で言えば、政治を動かすのは抽象論ではない。人々の意思だ。
 そして、人々の意思を支える重要な要素が経済活動なのだ。
 加えて共同経済活動は、安倍首相の言葉を借りれば「特別な制度の下で」、共同声明の文面に従えば「国際約束の締結を含む、その(共同経済活動の)実施のための然るべき法的基盤」の下で実施される。
 これはロシア側から見れば大きな原則的な譲歩になる。

 ロシアは4島に「主権の問題は存在しない」と言っている。
 そんな原則的立場に固執するなら、日本と共同経済活動をするのに新たな取り決めをする必要はない。
 にもかかわらず声明で「国際約束の締結」に言及したのは「4島を特別扱いする」と認めた形になる。

 加えて、1956年の日ソ共同宣言は「歯舞、色丹」の2島引き渡しに言及していたが、今回の声明は歯舞、色丹に加えて国後、択捉の4島の名前を明記している。
 これもロシア側の譲歩と言える。
 日ソ間の議論は今後、4島が対象という有力な根拠になるからだ。

 共同経済活動が具体的にどう展開されるか、は今後の協議次第だが、少なくともスタートは切った。スタートを切らなければ、ゴールには絶対に届かない。

■中国は日ロ会談をどうみたか
 次に、東アジアの国際関係からみた評価も加えよう。
 私は12月コラムで「会談成功かどうかは『中国の反応』を見れば分かる」と指摘。
 その中国はどう評価したか。

 中国の新華社は「ロシアを引き込み、中国を包囲しようとの考えは希望的観測に基づく妄想だ」と批判。
 私に言わせれば、こういう批判こそが中国の焦りを示している。

 日本政府は口が裂けても言わないが、日本にとって日ロ関係の発展深化が中国けん制になる。
 領土返還はもちろん重要だが、同時に尖閣諸島を脅かす中国が現実的脅威である以上、ロシアと友好関係を深めて中国に対抗するのは当然の戦略的判断だ。

 中国はそんな日本の立場をよく分かっているからこそ「そんなことができると思うなよ。それはオマエの妄想だ」と言わずもがなの台詞を吐いてしまった。
 こういう外交ゲームは「本音を漏らしたほうが負け」と相場が決っている。
 たとえ建前に過ぎなくても、中国が日ロ関係の進展を歓迎するようなら、腹を見せない中国の不気味さを感じさせるが、こうあからさまに批判されると、かえって安心する。
 中国はその程度なのだ。
 今回の首脳会談は、見事に中国を焦らせた点で日本の勝利と言っていい。

補足感想など

 表題の「日本が外交をリードした」というのは、対ロシアではちょいと言い過ぎだろうなぁ。 
 日ロ間で、win-win の関係が作れるよう—努力したとでもいうのが、当面の言い方かな。

 日ロ間での交渉には、これから何度も山があるのだろうな。
 でも、70年間1ミリも動かなかったものが、今度のことで1ミリやそこらは充分に動いたとは言えそうだ。

 先日、このブログでふれた。
 日ロ間での北方領土問題は、安倍-プーチンという両国で高支持率を維持している国家指導者間でしか解決しない。

 安倍-プーチンという指導者が存在している内しか、解決へ近づく可能性もないし、また、この片方が欠ければ、もう、交渉自体がいつできるものか想像できない。

 今の時点では、日本人は、もう安倍さんに交渉を一任するしか選択肢はないのだ。
 だから。
 仮に安倍さんがプーチンさんに騙(だま)されるというなら、日本人全員でプーチンさんにだまされることを甘受しよう。