2021年7月17日土曜日

黒い雨裁判は、最高裁で争え

 

黒い雨裁判というものがある。この裁判は、随分長くかかっている。おそらくだが、この裁判の長く時間をかけている核心部分は、「言ったもの勝ち」「ごね得」を国が許すのか—という部分にあるものと思える高裁ではどうやら「ごね得」「言った者勝ち」を許容したようだ。どうも、筆者の常識というものがひっかかる。最高裁は、日本という国の、日本人の「常識」を形成するものだ。「言ったもの勝ち」を日本人の常識としていいのかどうか、最高裁で争え。以下、新聞から抜粋。

「黒い雨」二審も原告勝訴 広島高裁判決全員の被爆認定

広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を浴びたのに国の援護を受けられないのは違法として、住民84人(うち14人死亡)が広島県と広島市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁(西井和徒裁判長)は14日、全員を被爆者と認定した一審判決を支持、県や市、訴訟に参加する国側の控訴を棄却し交付を命じた。特例区域外でも対象に 昨年7月の広島地裁判決に続いて、被爆者援護法の救済理念に基づき、国の援護行政の見直しを迫る内容。一審判決後に厚生労働省は、援護の「特例区域」拡大を求める県と市の要望を受け、降雨域や健康への影響を検証する有識者検討会を設けて議論している。判決内容は検証に影響しそうだ。

 特例区域は爆心地周辺の援護区域の外側で、北西へ約19べ幅約11キロの楕円形の範囲。援護区域にいた人は手帳が交付されるが、特例区域にいた人は、無料の健康診断が受けられるものの手帳交付は11の特定の病気を発症した場合に限られる。7090代の原告らは特例区域のさらに外側にいたため交付されていない。判決は特例区域外にいた人でも、雨により健康被害が生じる可能性さえあれば被爆者だと判断した。実現すれば救済対象は大幅に拡大されることになる。控訴審での争点は、援護法の被爆者認定要件の一つ「放射能の影響を受けるような事情の下にあった」の解釈だった。国側は「科学的知見による高いレベルの証明が必要」と主張していた。

 判決理由で西井裁判長は「放射能による健康被害が否定できないことを立証すれば足りる」と指摘。原告らは雨に打たれた外部被ばくと、雨に含まれる放射性物質が混入した井戸水や野菜を摂取した内部被ばくにより健康被害を受けた可能性があるとして被爆者に該当すると結論付け、国側の主張を退けた。黒い雨は一審に続き、国が定めた特例区域より広い範囲に降ったとも判断、特例区域外にいた原告らも「黒い雨に遭った」と認めた。加藤勝信官房長官は4日の記者会見で「判決内容を精査し、県や市と協議して対応する」とした上で「関係者は高齢化し、科学的調査の糸口となる記憶も薄れつつある。厚労省はスピード感を持って取り組んでほしい」と語った。厚労省は「国側の主張が認められなかったと認識している。判決内容を精査している」とのコメントを出した。湯崎英彦県知事は「黒い雨体験者の切実な思いが認められ非常に大きな意義ある。上告したくないと思っており厚労省に考えを伝えたい」との意向を表明。松井一実市長は「心身に苦しみを抱えてきた体験者の長年の切なる思いが認知されたものと受け止める」とした。

被害訴え20年「早く決着を」 原告、国に求める 黒い雨訴訟の原告の一人、広島市の高東征二さん(80)は、約20年にわたって援護対象区域外の被害を社会に訴えてきた。胸中にあったのは、救われず苦しみながら亡くなった仲間や多くの人の無念さだ。「一日たりとも延ばしてほしくない」。国に早急な被爆者健康手帳の交付を求めた。1945年8月6日、爆心地から西に約9キロの自宅にいた。高校教諭を退職した後の2001年、爆心地から同距離の隣町に住む友人から相談を受け、2人で友人宅の周辺を訪ねた。この町の大半は援護の「特例区域」の外だが、かつて黒い雨を浴びた人たちが人知れず病に苦しんでいた。翌年、支援団体を結成。陳情を受けた県と市は08年、大規模住民調査を実施。降雨域は特例区域よりも広く、雨の体験者が被爆者と同様の健康問題を抱えていることが判明した。しかし、国は区域を見直さず、原告団は集団提訴に踏み切った。

 高東さんは2年前に脳梗塞を患い、昨年7月の広島地裁判決後も2度入院。判決を受け「原告以外にも多くの人が裁判を見守っている。その人らのためにも、早く決着してほしい」と切望した。

高裁、内部被ばくを考慮 14日の広島高裁判決は住民側全面勝訴の一審広島地裁判決からさらに踏み込み、被害救済の必要性を根拠づけた。高裁判決は被爆者援護法について、原爆の被害は他の戦争被害とは異なる特殊なものとして制定されたとし、同法には「戦争の主体だった国が自らの責任で救済を図る一面かある」と指摘した。そのため「被爆者の認定は科学的知見で裏付けられるべきだ」との被告側の主張に対し、最新の科学的知見は被害救済の拡大のため、新たに被爆者を認定する方向で用いられるべきだとして退けた。高裁判決は雨からの外部被ばくだけでなく、井戸水を飲むなど内部被ばくによる健康被害もあり得たとし、原告らが被爆者手帳の交付対象になると判断した。行政側が控訴後、黒い雨による住民の健康への影響を否定する形で大量の科学文献を提出した経緯にも言及。「原審で提出する機会が十分あったのは明らかであり、極めて不適切だったと言わざるを得ない」と批判した。

補足、感想など

実際に被害が証明されるなら、筆者もどうこう感じない。ただ、冒頭でふれた。「言ったもの勝ち」「ごね得」と国民にとられない明確な「区切り」が必要ではないかと思う。筆者でも上の裁判をみたら思う。あぁ、あの時、散歩していて、雨に会いました—ぐらい言えるなぁと思う。黒い雨の訴訟をした人を悪人扱いしている訳ではない。ただ、「お涙頂戴を絡めたごね得」、「言ったもの勝ち」が裁判で蔓延することを防ぐためのなんらかの措置をとるべきだ。そのためには、最高裁で争え。最高裁は、日本という国の、日本人の常識を形成する場所だ。ごね得、言ったもの勝ちというものが裁判で蔓延することを防げ。