2016年10月4日火曜日

身の丈五輪運営より、3兆円の仕事創出の方が大切だ

どうも、東京五輪運営の3兆円予算が叩かれているようだ。
 たかが、2週間のエベントに3兆円か—というセリフは、胸に刺さるセリフではある。

 でもと思う。
 3兆円という金額は、それだけの「仕事が存在する」という意味なのだ。それだけの仕事を創出するということだ。

 いま、アベノミクスがもたもたしている感じを受けるだろう。
 それは、マイナス金利を含めて、金融政策では、うまく経済を刺激することができないということなのだ。

 --ここから--

 九月の日銀短観は、企業が景気の停滞を感じていることを鮮明にした。
 円高が徐々に製造業の収益を圧迫し、個人消費の落ち込み懸念も強まった。
 かつての「アベノミクス」による上昇の気配はもはや感じられず、先行きの好材料も少ない。

 製造業が停滞している最大の要因が円高だ。
 企業側の想定を上回るスピードで進行しており、収益計画の下方修正を余儀なくされた。
 消費者が将来不安から財布のひもを締める傾向が強まり、大企業の小売業も景気の悪化を感じている。

 海外経済は英国の欧州連合(EU)離脱問題が一服したものの、米国の利上げの有無が見えず先行きが不透明だ。
 中国経済の先行きも不安が根強い。

 政策面では手詰まり感が明らかだ。かつて円高の修正を演出した日銀の大規模金融緩和は限界が近づき、九月に政策変更に追い込まれた。
 政府は大規模な経済対策をまとめたものの、巨額の借金を抱えた国の支出増は、将来不安を増す。

 中小企業の景気の見方はわずかに改善したとはいえ、大企業よりさらに低いレベルでの「低位安定」にすぎない。
 政府日銀による下支えはもはや期待できず、日本経済の真の実力が試される局面が近づいている。

 --ここまで--

 記事にある日本の巨額の借金なんて言葉にだまされるな。
 日本国民からすれば、国債って、日本という国へ貸し付けている金融資産だ。
 日本人が日本という国を信頼しつづけている限り、大丈夫な資産ではないか。

 2013年始めからの株高は、円が70円台くらいから →100円以上の円安となったことでの反応だった。
 それから、3年が経過すると、日本としては円安へもっていきたいが、中国の経済があぶないとか、ヨーロッパも難民問題を抱え、これから先が不安だとなると、世界の金融機関は、円に替えてしまおうとするのだ。世界一の安全な通貨だから。
 だから。
 日本国内の円安へもっていこうという努力が、世界中の金融機関の意図的ではないが、円高へもっていこうとする「大勢」により、相殺されてしまう。
 これが、今の日本経済の苦しさなのだ。

 だから、こういう場合、国として「仕事を創出」するしかない。
 総需要を大きくするしかない。

 その格好の名目が、「東京オリンピック」だ。
 積み上げてみると、3兆円となったという。
 身の丈に応じた金額かどうかは分からない。

 しかし、3兆円という数字は、日本の経済を刺激するには丁度いい、大きさであろう。
 ここに「3兆円分の仕事」が存在しているということだ。
 これを使わない手はない。

 このあたり、経済評論家の三橋さんの文章をご紹介しよう。

 --ここから--

 日本銀行はインフレ率の定義を、これまでのコアCPI(生鮮食品を除く総合消費者物価指数)から、「除く生鮮食品・エネルギー」に変更した。コアコアCPI(食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合消費者物価指数)に変更していた。

 「インフレ率をコアCPIから、コアコアCPIに変えろ」とは、以前から主張した話で、きちんと「説明」する必要があるはず。<筆者注:原油価格が乱高下していたので、これを外したということ>

 直近のデータでコアコアCPIは+0.3%、元々のインフレ率の定義であるコアCPIでは▲0.5%。三年半が経過し、インフレ目標2%の達成にはほど遠い状況。

 9月21日の日銀金融政策決定会合では、日銀当座預金残高の金利を▲0.1%、長期国債買入れも約80兆円で据え置き、現状維持となった。この判断は、正しいと思います。
 
 「玉虫色」の、分かりにくい総括になったが、日本銀行はインフレ目標を達成できなかった理由として、
 (1) 2014年夏以降の原油価格の下落と消費税率の引き上げ後の需要の弱さ
 (2) 2015年夏以降の新興経済の減速とそれを受けた世界的な金融市場の不安定化の逆風
 と、これまた微妙な言い回しで説明しています。<筆者注:新興経済って、中国等のこと>

 「消費税率引き上げ」という言葉が入っていることは評価できますが、日銀のレポートを見ると、日本の予想物価上昇率(期待インフレ率)が上昇しない理由として、
 『予想物価上昇率は、①「中央銀行の目標である2%に向かっていくだろう」という予想の要素と②「過去の物価状況が続くだろう」という予想の要素の2つで決まる。
 日本の場合、ほかの国に比べて、②の要素が強い、つまり過去の物価上昇率に引きずられやすいといわれています。
 レポートでは「財政」という言葉が出てきませんでした。

 もっとも、黒田総裁は会見で、
 「政府の財政運営、成長力強化の枠、取り組みとの相乗的な効果によって、日本経済をデフレからの脱却と、持続的な成長に導くもの」
 と、語っており、「問題」が何なのかは認識しているように見えます。

 要するに、デフレは「貨幣現象」とやらではない。「総需要の不足」であり、日銀の金融政策だけでは限界があり、政府の財政(需要創出)が必要であるということを認めたわけです。
 日本銀行は、今回の「総括」で、金融政策の目標を「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に変更した。

 何を言っているか分からないと思いますが、日銀のレポートから引用すると、

 『具体的には、物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、通貨供給量を増やし続けると約束する。これによって、「2%が実現する」ということに対する人々の信認を強めることを狙う。
 日本の通貨供給量は、経済規模対比で80%と欧米の4倍です。これがあと1年少し経つと100%を超えていきます。その位大規模な金融緩和を、実際に「2%超」の物価上昇を目にするまで続けるということ』

 とはいえ、
【日本国債所有者別内訳(総額は955兆円)】
 からも分かる通り、銀行(預金取扱機関)が保有する国債が、尽きつつあります。
 現在の年間純増80兆円の量的緩和(日銀の国債買取)は、二年間は継続できないでしょう。
 
 ポイントは、お分かりでしょう。日本がデフレから脱却できない主因は日本銀行の金融政策ではなく、政府の財政出動が「不十分」という点に尽きる。そもそも、安倍政権は今年の6月1日まで、財政を縮小する緊縮財政を強行してきました。
 問題は日銀ではなく、政府にあるのです。

 --ここまで--

 三橋さんの言葉を使えば、東京オリンピックへ3兆円というのは、総需要拡大にぴったんこなのだ。