2016年10月9日日曜日

三菱重工、造船部門を縮小か

今年の夏頃までやっていたヨーロッパからの船舶建造にうまく対応できず、大赤字となったことが応えたようだ。
 それにしても、最後の仕上げ時点で、何度、不審な放火事件があったことか。
 下請けの末端の作業員に韓国系とか中国系の人間が入り込み、ここぞとばかりに妨害工作をしていたのだろうな。

 まず、新聞から抜粋。

 三菱重工業は造船事業を見直す。巨額の損失を出した客船部門は大型客船の受注を凍結。
 商船部門では設計開発部署を分社し、長崎県などの造船所の他社との共同利用を検討する。

 今年に入り、日本の造船会社の合計受注量は前年比約8割減と急減。祖業である造船事業の生き残りに向け構造改革を進める。

補足、感想など

 まず、ことの発端から。

 --ここから--

平成25.7.1
 三菱重工業長崎造船所で30日、イタリアのクルーズ客船運航会社、コスタ・グループから受注した大型客船の起工式が行われた。
 総重量12万4500トン、全長約300メートル、客室数は1643室、収容人数約3300人で、三菱重工によると国内で建造される客船では過去最大。

 同社が客船を手掛けるのは9年ぶり。世界的に造船不況が厳しさを増す中、付加価値が高い客船などに特化し、生き残りを図る。
 今回の客船は、コスタ・グループから2011年に受注した2隻のうちの1隻、船底から泡を噴き出して水の抵抗を減らす最新技術を活用し、燃費を従来船より7%向上させる。

 --ここまで--

 この受注が、この後、様々な行き違いで、トラブルの種と化すのだ。
 長い記事なので、大幅に抜粋する。

 --ここから--

2016/03/28()
★非常な「難産」になってしまった大型クルーズ客船
 2016316日と22日、三菱重工業が掲載した広告が話題を呼ぶ。同社の製品を紹介したものだが、ドイツ・AIDAクルーズ社向け客船「AIDA Prima」を完成させ、第2船を進水(21日)させたタイミングだが、ラインナップには「船」がありませんでした。

 三菱重工は“客船建造をもう諦める”ということなのか。同社は、大型客船を建造できる日本で唯一の企業。「あきらめる」ということは、日本からその灯火が消えてしまうこと。

 建造中の火災、設計変更により1年遅れた「AIDA Prima」(125000総トン、乗客定員3300人)の引き渡し式は公開されないまま行われた。三菱は1枚のニュースリリースで、この「ヒペリオン(土星の惑星)クラス」と名付けられた「新生代の客船」をドイツへと送り出した。
 船上にはAIDAクルーズ社のクルーほか、造船所スタッフが乗り込み、“やり残した艤装”の仕事を続けながらの引き渡しでした。

 建造にあたりさまざまなトラブルに見舞われ、引き渡しが大きく遅れたこの船。
 三菱重工で、いったい何が起きていたのか。
 2011年夏の受注契約から、引き渡しまで4年半。完成が1年遅れた理由について、原因を説明。

 ひとつは2014年に説明された、「プロトタイプ(原型)建造に伴う困難」。
 「新シリーズ船を初めから設計し、取り組む」という経験のない仕事だったために、AIDAクルーズ社向け客船2隻の建造工程が守れないことを明らかにした。

 もうひとつは2015年に説明された、「クルーズ客船の船室とそのほかの区画に関連する設計作業量が莫大であり、重大な設計変更がなされ、資材調達や建造の遅延に繋がった」。
 損失は2013年以降、4度にわたって経理処理され、結局、赤字は1860億円に膨れ上がった。

 造船現場では、海外からの応援・未経験者を含めて4000人とも5000人ともいわれる下請け工を投入。さらに今年1月には3回にわたる不審火事件が発生。「現場の意識はずたずた」というなかで、苦闘が続いた。

★日本造船の雄、三菱重工がなぜ? 活かしようがなかった経験
 三菱重工は、「ダイヤモンドプリンセス」(2004年就航、116000総トン)という大型の輸出クルーズ客船を建造したことがある。ただ、その経験を活かすことは難しい状況。

 「ダイヤモンドプリンセス」は「AIDA Prima」と違い、すでに欧州で建造された原型(プロトタイプ)が存在。それを同社の長崎造船所・香焼工場の生産システムにあわせて設計しなおせばよかったため、「設計陣も完成船のイメージがしやすかった」。そして、建造中に火災が発生したこともありましたが、出来映えには高い評価が与えられた。

 しかし三菱はそれ以降、10年近く客船商談から撤退。このあいだに設計、建造経験のある現場要員が退職し、「『AIDA Prima』は事実上、“初めての客船”みたいなもの。
 さらに“プロトタイプを創る”という困難さ」に遭遇し。難産になってしまった。

 「AIDA Prima」の出来栄えにつき、AIDAクルーズ社のウェブサイトで公表、18階建てのテーマパークが洋上に出現したかのような、大型のアトラクション施設が満載されている。
 アトリウム、多目的劇場。12の食堂、18のバー。リラクゼーション施設は、3100平方メートルの「BodySoul」区画。ディスコ、カジノ、ビールの醸造所もある。

 さらに、最上階に大きなガラスドームを設け、内部にはウォーター・スライダー付きのプールや、アイススケートリンクも備えている。
 省エネ、環境対策も最先端を目指し、空気循環によって船体を泡で包み水の抵抗を減らす「MALS」と呼ばれる省エネ技術や、LNG燃料を使えるようにするといった革新的な仕様を装備。

 そうした運航性能に係わる部分について、造船所としては“手慣れた仕事の範囲”だったようです。工程が大混乱したのは、まさに“テーマパークを洋上に造る”かのような、アトラクション施設の設計や工作の困難さにあったといわれています。

 この「造船の仕事では経験したことのない大型のアトラクション」と、またこの10年間で急激に進歩したIT技術を用いる船内LAN環境の整備などが“想定外の困難さ”で、「AIDA Prima」建造の混乱に繋がってしまったとされています。

 しかし、そうした「テーマパークのような客船」は、欧州の造船所ではどんどん造られています。なぜ三菱重工では、上手く進まなかったのでしょうか。

 このことについては「10年間の空白」、つまり「ダイヤモンドプリンセス」の火災以降、「社内でも客船受注の話など出せるものでなかった」という雰囲気のなかで、世界の客船におけるトレンドを見失っていた。
 しっかりした建造準備体制を整えないまま、「過去の経験」をベースに最新トレンドへ取り組んだ結果だった、というわけ。
 また、このような準備不足を招いた原因について、かつて「事業部制の見直しなど、全社的な事業改革の号令」があったなか、「正確な市場調査や技術調査を行わずに、高付加価値船へシフトを」というムードで持ち上がって来た話だったという、反省も出ています。

★日本の大型客船建造、このままダメになる可能性
 三菱重工は大型客船を建造できる日本で唯一の企業です。しかし今回のような混乱のなか、同社は今後も客船建造に取り組むのか。

 現在、日本のクルーズ客船は郵船クルーズ、商船三井客船、日本クルーズ客船の3社が、3隻を運航しています。しかし船齢はどれも20年を超えており、新造されなければ「事業継続すら問われる」ところまで追い込まれている。

 そして日本のクルーズ会社からは、「日本の客船は、テーマパークのような大袈裟な工事にはならない」、「客船建造の仕事は継続すること以外に成功しない」など、「日本の造船所による客船建造の灯を消さないで欲しい」との声も出ている。

 三菱重工は今後の客船建造について、「エンジニリング事業として位置づける」という考え方を示している。
 海運界は、深い「不況の谷」へ差し掛かり、造船業界は深刻な受注難に見舞われている。しかし、ドイツのマイヤー造船所は2023年納期でディズニークルーズからの客船を受注したという情報もあり、受注残を積み上げ、活況に沸いている。さらに中国のクルーズ市場は昨年100万人を超え、伸び盛りにある。
 こんな時期に日本は、クルーズ客船の建造から尻尾を巻いて逃げ出そうというのか。

 --ここまで--

 まぁ、この記事でほぼ言いえているが、掲示板の書き込みから、詳細を補ってみよう。

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20160331

 これ艤装というか豪華客船的な装飾内装で大きくゴネられたのが失敗だったんだけだ
 国内基準の内装やったら突っ返されちまって内装資材は総とっかえだし、日本・アジア圏の内装工では扱えないからヨーロッパの作業員を高額かつ1000人単位で抑えざるを得なくなって破綻

 またそのヨーロッパ作業員のマネジメントにも失敗して仕事しない状況でも奴らだけは高額賃金がもらえるという待遇の違いから既存の工員のモラルも落ちて連続放火騒ぎなんかも起きるしな
 技術力云々より営業がバカだったって話にしかならん

 --ここまで--

 最後の頃は、放火事件が頻発した。

 --ここから--

2016/01/31()
 建造中の大型客船で火災=3回目、放火か?長崎
 31日午前1時50分ごろ、長崎市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場から「建造中の大型客船の船内から火が出た」と119番があった。

 長崎県警大浦署や同造船所によると、ドックで建造中の「アイーダ・プリマ」(約12万4500トン)の第7デッキ通路にあった段ボールや資材などが焼けたが、作業員に消し止められ、けが人はいなかった。

 同船で火災が起きたのは1月に入って3回目。いずれも火の気のない場所だったことから、同署は放火の可能性もあるとみて捜査している。
 同署などによると、今回出火した第7デッキは地上の建物の8階に当たる部分で、レストランなどが造られる予定だが、火が出た周囲で作業は行われていなかった。
 第7デッキでは1月11日夜にも天井や壁などを焼く火災が発生。同13日夜にも第5デッキで雑巾などを焼いたが、いずれも出火原因は特定されていない。 

 --ここまで--

 まさに踏んだり蹴ったりの惨状である。
 これが、三菱重工の現場か—と目を覆いたくなる。

 これを踏まえての、造船部門の縮小ということになったものであろう。


✦追記
 三菱重工は、造船部門で日の丸連合を組むという方向へ動きはじめた。

--ここから--
2016/10/12(水) 


 韓国の造船業界が過去最悪の受注状況や業績不振に頭を痛める中、日本の造船各社は「連合軍」を結成し、「打倒韓国」に乗り出す。
 日本の造船業は1970年代以降、世界の造船市場でトップの座を守ってきたが、2000年代に入ってからは韓国の造船会社に追い越された。

 業界によると、日本最大の造船会社の今治造船をはじめ、三菱重工業・大島造船所・名村造船所の4社が商船事業部門での提携を目指し交渉を行っている。
 売上高のほとんどを商船部門で上げているこの4社は、船舶の共同受注・部品の共同調達・先端技術開発などを通じ、韓国の造船会社に対抗して競争力を高めようという戦略。 

 この4社の昨年の船舶建造量合計は511万トンで、世界第1位の現代重工業(626万トン)に迫る勢いだ。韓国とは違い、日本の造船業界の構造改革は既に最終段階に入っている。
 安倍政権発足直後の2013年にIHIマリンユナイテッドとユニバーサル造船が合併してジャパンマリンユナイテッド(JMU)という大型造船会社が誕生したが、JMUは韓国3大造船会社の現代重工業・大宇造船海洋・サムスン重工業に次ぐ世界第4位の船舶建造量を確保している。 

 今年から全世界の船舶発注量は急減しているが、日本の造船会社は自国の海運会社から船舶受注を大量に受け、18年までの建造注文分を確保。
 韓国の造船会社は受注量における内需の割合が10%未満だが、日本の造船会社は50%前後に達する。

 さらに、韓国の3大造船会社が海洋プラント部門で昨年6兆ウォン(約5510億円)を上回る損失を出し、積極的な受注活動に乗り出せない状況にあることも、日本にとっては好材料として働いている。
 事実、11年に20%を下回っていた世界造船市場における日本のシェアは、今年上半期に20%半ばまで回復している。 

 日本の造船業界は、かつて主力船種がバルク船(ばら積み貨物船)だった。
 しかし、付加価値が低く、技術的な壁が低いバルク船建造では中国との激しい受注競争に限界があるということで、最近韓国は強い高付加価値船舶の大型タンカー・液化天然ガス(LNG)運搬船・大型コンテナ船などへの船種多様化を試みている。 

 だがその一方で、韓国の造船業界は受注状況が最悪の状況に陥っているのにもかかわらず、構造改革が遅々として進んでいない。
 ある国策研究所の博士は「受注がない状態が続いているのに、生産設備や人員を削減しなければ、韓国の造船業界全体が共倒れする可能性もある」と警告した。 

--ここまで--

日本の造船事業は、日本企業からの注文があるということか。