2012年7月6日金曜日

事故調査委員会黒川さんの姿勢。


▲筆者は、東電事故のずべてを知っているわけでない。
それでも、技術系の人間として、事故調査委員会の黒川さんの姿勢には疑問をもつ。
なお、付言するが、筆者は東電等となんの利害関係もない。
筆者が言いたいことは一つだ。
それは「人間の能力には限界がある」ということだ。
どれだけ、必死で考え行動しても、どこかに「もう手が届かない」という「限界線」がある。
そして、そのことは人間として「許容されるべき」ではないのか。
もっと、具体的に表現すれば、以下のようなことか。
もう、10年以上前かなぁ、インデペンデンス・ディとかいう映画があった。
ある日、突然に上空を殆ど覆うほどの巨大なufo が出現して、地球を攻撃しはじめるという話だ。
この東電の福島原発の事故とよく似ていると思う。
こういう現場に立ち会ったとき、人間は正常に判断し、行動できるものだろうか。
「そんなことが予想できなかったのか、それに準備できなったのか」と黒川さんは言うのか?
そりゃ、巨大Uho からの攻撃も可能性がないわけではない。1000-1200年に一度の大地震・大津波も予想できないわけではない。
そこらあたりだな。
もう人知を越えたそこらに「人間として予測できる限界線の存在」を感じないか。
人間は全能ではない。
その愚かしさをどこかで「許容」してあげるべきではないのか。
以下、新聞から抜粋。

「政府のストーリーは無理」「東電の被害者顔は違和感」-。
原発事故を「人災」と断じた国会の事故調査委員会(黒川清委員長)。
黒川委員長ら委員は、記者会見し政府と東電の姿勢を指弾した。
一方、被災地の福島県では「人災」とした報告内容をおおむね好意的に受け取ったようだった。
黒川委員長らとの主な一問一答は次の通り。 
--事故直後の東電の全面撤退問題について
n委員「東電のテレビ会議の録画などを精査した結果、官邸側には全面撤退のニュアンスで 伝わっていた。
東電側がはっきりと『何人を残す』と言っておらず、うやむやな言い方をしているから。
これは自分で決めず、相手に言わせる東電の経営体質のせいもある。
官邸側は東電に不信感を抱いていたから、そう理解をしたのは致し方ない。
一方、社長は官邸に呼ばれる前に、一部を残すことを決めていたので、総理が撤退を食い止 めて日本を救ったというストーリーは非現実的。
東電も被害者だという顔をして報告書をまとめているが、それも違和感がある」
--「人災」にカギカッコがついているのはなぜか

黒川委員長「全体を見てこれは人災だなと。
すーっと読み過ごされてはいけないので目立つようにした」
--政治の責任について言及が少ないのはなぜか
黒川委員長「歴史的な背景があり、1950年代に原子力を導入するときに米国から直輸入したも のが、日本に合うように手を付けられていないという話に戻ってくる。
一党政治で経済成長してきたことに問題があった。
特定の政治家と言うよりは、政治の体系と立法府という問題だから」
--国会事故調でなければ導き出せなかった結論は
黒川委員長「これだけ問題があり、日本の国民に問題意識があったか聞きたい。
日本メディアがどのくらい活動を普段からしていたのかも一つの問題だ。
ネットの時代に、責任ある人を呼んで国民、世界の前で、どういう反応をするか 見ていただいたことは一つの進歩だ」

▲補足、感想など
黒川さんって、結局なにがいいたいんだ?
東電が、総理が、自民党が、マスコミがアホだから、こういう事故になったのだ。だから、人災だと言いたいのか。
(いや、ついでながら、この調査報告書は、世界中の原発を所有する国へ送って、その国の原発技術者にとって原発事故阻止のテキストになるのかな。この福島の事故が、世界で同様の事故の再発防止に役立つ--そういうものとなっているのだろうか)
う~ん、人災--、人災ってか。
そりゃ、筆者も東電が無過失だと思っているのではない。
電源のバックアップを考えていなかったのは、東電内部で技術者が単なる保安要員としか見られていないためであろう。
東電の経営陣が「技術」を舐めてかかったことが、最大の原因だと思う。
それでもと冒頭の感想に戻る。
1000-1200年に一度の大地震なんて、宇宙人が攻めてきたら、小惑星が地球に落ちてきたらという出来事に匹敵するようなことだ。
そういう人知を越えたような出来事が発生した時、人間は正常には考えられない、正常には行動はできない。
 う~ん、このあたりだなぁ、筆者が黒川さんの説明を聞いて、違和感を感ずるのは。
 黒川さんの言葉には、この大震災・福島原発事故への「驚き」とか「恐怖」とかが感じられない。
 黒川さんは、福島の原発事故というものを「想定内の事故」だと考えていそうだなぁ。
 つまり、ちょっと大きめの災害であって、設備側が準備すれば災害など発生するはずもない--とか。
 でもなぁ。
 もっとハッキリ言わせてもらえば、
 技術者というものは、せいぜい100年に一度発生する位の災害までしか想定しない。
 それが実用的というか、費用対効果を考える上での、まぁ「常識」だろう。
 だからこそ、1000年に一度なんて、想定外なのだ。

だから、責任はないという訳ではないが、過失割合の中で考慮すべきことだと思える。