2012年7月23日月曜日

丹羽駐中国大使は不適任だ。


▲あるポストというものがある。
そのポストに就任するためには、そのポストの意味というか意義を充分に理解していないと(意義を理解してそれを体現化する資質をもっていないと)、任期の途中で、様々なトラブルを引き起こす。
数年前、起こった大阪地検の特捜部長の不祥事など、その最たるものであろう。
今の日本で、地検の特捜部長は、「正義の体現者」として、国民から絶対に疑われてはならないポストだ。比肩しうるのは、最高裁判事ぐらいか。
そもそも「法治主義」とは、法律が正しく運用されている(と、国民の多数が信じる)ことでかろうじて成り立っている。
法律が、検察庁というところで、正しく運用されていないとなれば、誰が法律を守るか。
それこそ、北斗の拳ばりの無法世界が現出するだけだ。
だから。
地検の特捜部長というポストに就任する限り、そこに就任している期間は、絶対に国民に疑われる言動をとらない・疑われる判断をしないそういう資質をもった人間を据えなければならない。
不祥事を起こした前特捜部長達は、現在、裁判中で、無罪を主張している。
判決は一審は有罪<末尾参照>だったが、控訴するであろうから結果は分からない。
しかし、判決が無罪であるか否かは、本質的な問題ではない。
この不祥事の核心は、大阪地検の特捜部長が、「正義の体現者」でなかったということを、世間にあからさまにしたという点にあるのだ。(そう、国民から疑惑の目で見られたということ)
「地検特捜部長」という「ポスト」の価値というか、信用というものを地に落としめたというところにあるのだ。
その意味で、この前特捜部長達は、国民からもっともっと糾弾されてしかるべきだ。
また、将来に向かって、司法の世界から追放されてしかるべき人達だと思える。
いや、話がそれた。
同様に、大使というポストも、日本という国を代表して、その国に着任しているのだ。
国を代表するということの分からぬ(意味を理解して、それを体言化できる資質をもっていない)人間を「大使」というポストにつけてはならない。
丹羽駐中国大使が更迭される。筆者は当然だと思う。
以下、新聞から抜粋。

政府が「政治主導」の象徴として民間から起用した丹羽駐中国大使の交代を決 めたのは、「野田首相自身の意向が大きい」とされる。
東京都による尖閣諸島購入計画を批判するなど、丹羽氏の姿勢と外交の素人ぶりは突出 していた。
「要するに、プロじゃないと駄目だということ。丹羽氏は領土問題、歴史問題の重みをあまりに認識していなかった」政府関係者はこう解説する。
初めから無理筋の人事だった。
首相はいったん廃止していた国会での内閣法制局長官の答弁を復活させた。

「過去の憲法問題を含め、長い法令解釈の歴史を知る人として法制局長官が望ましい」との現実的な理由から。
首相はこのところ、集団的自衛権の政府解釈の変更問題に意欲を示し、自衛隊の権限を拡充する国連平和維持活動協力法改正案の検討を 指示するなど、保守的な「野田カラー」を打ち出すことで、反転攻勢を狙っている。
そんなとき国民の大多数が賛成している尖閣諸島の購入計画を批判し、中国要人に「日本の国民 感情はおかしい」と言うような丹羽氏を留任させては、国民の支持は得られない。
足を引っ張られるという判断もあったのだろう。

▲補足、感想など
丹羽さんが、個人の資格で、または伊藤忠のobとしての発言ならば、別になにを言ってもいい。
しかし。
大使というポストは、日本という国を代表しているのだ。その視点で見た時、記事の発言は、まことに軽率というか、不穏当といわざるをえまい。
つまり、大阪地検の特捜部長と同じで、ポストの持つ意味・意義を理解できない、ないしは、理解していても、「一国を代表する」ということを体現化できない-そういう資質の人だということなのだ。
プロであるとかとは少し違おう。
これは、その資質を有していない人間をそのポストに就任させたという任命責任を問われよう。
こうしてみると、民主党の議員にせよ、その周辺にいる人間にせよ、人材不足ということが否めないなぁ。
こんな人間しか、周辺にいないのか。
年末までに解散・総選挙とかが噂されているが、ありうることかもしれない。


※追記
上記、大阪地検の元特捜部長達の一審の判決があった。2012.3月 それをご紹介したい。
--ここから--

 大阪地検特捜部の押収資料改竄事件に絡み、組織内部で隠蔽を図ったとして、 犯人隠避罪に問われた元特捜部長、大坪弘道被告(58)と元副部長、佐賀元明被告(51)の判決公判が、 大阪地裁で開かれ、岩倉広修裁判長は両被告にいずれも懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 
 両被告は無罪を主張するとともに、自身を逮捕・起訴した最高検を厳しく批判。 
 元特捜幹部と最高検とが法廷で全面対決した異例の公判は、検察の信頼回復に威信をかけた最高検が面目を保った形になった。 
 最大の争点は元主任検事、前田恒彦受刑者(44)=証拠隠滅罪で懲役1年6月の実刑確定=による 押収品のフロッピーディスクのデータ改竄を、両被告が故意によるものと認識していたか否か。 
 検察側は前田受刑者から電話で故意の改竄との告白を受けながら、両被告が保身を図ってもみ消したと主張。 
 前田受刑者をはじめ、両被告のかつての上司や部下計5人の証言を軸に立証を進めた。 
 一方の弁護側は、検察側が改竄を告白されたとする平成22年1月30日の電話の相手は前田受刑者ではなく別の検事だったと反論。 
 両被告はその後も「過失で書き換わってしまった」としか報告を受けておらず、 最高検は自己の責任軽減を図る前田受刑者らの虚偽のストーリーに乗って捜査の見立てを誤ったとした。 
 起訴状によると、両被告は前田受刑者がデータを故意に改竄したと認識しながら、 
22年2月、前田受刑者へ故意ではなく過失だと説明するよう指示。 
 また、上司の地検検事正らにも過失によるものと虚偽の報告をしたとしている。 
 両被告は任意聴取の段階から全面否認し、供述調書は1通も作成されなかった。 


--ここまで--