2012年7月30日月曜日

日本は世界で最も有望な市場に—と、白川日銀総裁。


▲白川日銀総裁が、近々の日本経済の見通しについてコメントした。
ヨーロッパ経済、アメリカ経済が不調な中、言わば、日本が一人勝ちの状態にあるのだが、民主党政権下ではそうおおっぴらにも言えず、言い方に随分苦労されているようだ。
消費税の増税論議ばかりが議論されて、いわば、加熱する前に前もって、水を掛けるような議論となっている。
まず、白川総裁の記事から抜粋。

日本銀行の白川総裁は講演し、「大きなチャンスと安定した金融システムを組み合わせることができるのであれば、日本は世界の中で最も有望な市場の1つになるかもしれない」 と述べた。
総裁は「日本の最近20年間の成長率の数字は低く、しばしば『失われた10年あるいは20年』といわれてきたが、1990年代のバブル崩壊の影響は、最近のグローバル金融危機の後に起きたことほど大きなものではなかった」と表明。
「少なくともバブルが崩壊して10年を過ぎたあたりからは、 低い成長率はある程度は人口動態の変化、 より正確にはそうした点への対応ができていないことによって説明できる」と。
その上で「日本の国民1人あたりの経済成長率はG7諸国並みであり、生産年齢人口1人当たりの経済成長率は G7諸国で最高である。
多くの先進国と比べ、日本の失業率の上昇は小幅だった」 と指摘。
さらに「金融をみても、ほとんどの日本の金融機関の競争力は強化されている。日本の金融機関のスプレッドは、世界の競争相手と比べ相対的に安定しており、ゆっくりと慎重にではあるが、欧州勢が撤退した穴を埋めるようになっている」 と述べた。

▲補足、感想など
なんとも、婉曲的な言い回しで。
日本の金融機関はノーダメージで---という部分が一番大きいのだろうなぁ。
ヨーロッパとかアメリカの金融機関は、担保にとった不動産の値下がりによる、不良債権処理に苦しんでいる。日本の1990年代の銀行などと同じだ。
日本の不動産について、1990年頃のバブル崩壊から地価が反転の兆しをみせたのは15年後であった。
ヨーロッパ・スペイン等の不動産の下落なども、反転までおそらく同じぐらいの期間が必要なのだろう。
すると、もう10年くらいは経済が低迷を続けそうだなぁ。
アメリカの地価はリーマンショック後、比較的速い段階で横ばい~緩い下落に転じた。これはアメリカ経済の強さ、<なにせ人口が増加している>-からだろうが、まぁ、もう5年というところか。
上で挙げた年数にさほどの根拠がある訳ではないが、まぁ、日本のバブル崩壊から現在時点までを見続けてきたのだから、当たらずといえども遠からじというところだろう。
それならばと筆者は思う。
アメリカ経済が回復するまでの約5年間は、日本の一人勝ち状態が続くということだ。
2017-2018頃までということか。
ここで記事に戻って、白川総裁は--日本は世界の中で最も有望な市場の1つとなるかもしれないと。
有望な市場って。ブランドものを買うとかの意味か。
なるほどなぁ。
今は、筆者が経験した時代の中で、1980年台後半のバブル経済の直前の頃に非常によく似ている。
1980年代後半のようにバブル経済が発生するのかどうかは分からない。(前回は、日本人が有頂天になって自分の身のほどを忘れたために発生したのだろう)
前回で懲りているから、賢く対応するものと思うが、それでも抑制された形で類似したことが起こるような気がする。
不動産についても、首都圏界隈では類似したことが起ころう。
また、円高を利用して、海外の不動産を買い漁るというようなことが起こるかもしれない。
今度、もしバブル経済が発生した時は、日本・日本人は賢く立ちまわって、前回の失敗の轍を踏まないようにしよう。


※追記
 アメリカの不動産価格の状況についての記事があった。ご紹介したい。
--ここから--

 住宅ローン担保証券(MBS)投資家の間では、 米住宅バブルの崩壊過程がなお続いている。
 JPモルガン・チェースの調査で 分かった。 
 JPモルガンがMBS投資家を対象に先週実施した調査によると、 「住宅価格が全米で底入れした」と考えている回答者は34%にとどまった。 
 一方、5%未満の値下がりを見込んでいる投資家は56%に達した。 
 11%はこの先5%以上値下がりするとみている。 
 同行アナリストが27日付のリポートで明らかにした。 
 指標利回りが今月に入って過去最低を更新する中で投資家は高いリターンを 求めており、政府支援がない住宅ローン証券は値上がりしている。 
 JPモルガンのジョン・シム氏らアナリストは、MBS投資家は不動産市場を 相対的に悲観視しており、住宅ローン証券はまだ上昇する余地があることを 示唆していると指摘する。
  シム氏らはリポートで 「当行の調査では住宅価格の安定化がまだ織り込まれていない可能性があることが 示された」と記述した。 
 バークレイズのデータによると、2005-07年に組成されたサブプライム (信用力の低い借り手向け)住宅ローン証券相場は今年に入り25%以上値上がり した。 


--ここまで--

 リスクが高いものほど、利率等を高くしないと売れない--ということを記事ではいっているようだ。
 上でふれたようにアメリカの不動産市況の底入れまで、まだ、時間がかかるようだ。