▲老舗(しにせ)という言葉があるが、このリーダーズ・ダイジェストぐらい、その言葉の似合う本もない。
アメリカが主だったが、日本でも日本語で昭和20-40年代ぐらいにあった記憶がある。
それが破産か---。
そういえば、話は違うが、pcのデルもなにか行き詰まっていたなぁ。
このアメリカの経営者に共通する、なんというか、保守性というか、新しいものへの「鈍さ」はどこにその原因があるのだろうか。
18世紀中頃、イギリスで産業革命が起こり、織物の世界が自動化された。
これに対して、古い手工業の職人達が、この新規の機械を打ち壊すという抗議行動にでた。
これをラダタイト運動という。
背景にあるのは、新規なものへの抵抗であるのだが、職人達の転職というか、他の手工業へ移動するということが難しい社会構造となっていたということであろう。
まぁ、上の運動も時代には抗しえず、消えていった訳だが。
いや、筆者が感じたのは、こういう技術革新があれば、いずれ見たこともないような機械がでてくる。
その新規な機械への対応が、アメリカ人と日本人とでは明らかに異なるということだ。
日本の例でいえば、富士フイルムか。
銀塩カメラがなくなっていけば、当然、フイルムは必要がなくなる。
ドイツのアグファは早々に潰れた。アメリカのコダックはこの間、潰れたのだったか。
結局、デジカメという新規な機械がでてきて、対応ができたのは、富士フイルム等の日本のメーカーだけだ。
その差の核心はなんだろうか。
以下、新聞から抜粋。
老舗雑誌「リーダーズ・ダイジェスト」を発行する
米RDAホールディングは18日までに、ニューヨーク州の連邦破産裁判所に
連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。
リーダーズの破産法申請は2009年以来2回目で、対象は米事業のみ。
デジタル化の進展に伴う紙媒体の雑誌の不振が続く中、過大な負債を圧縮し
再建を目指す。
▲補足、感想など
何年前だろう。
デルの創業者が「技術革新なんて不要だ」とかいう発言をしていた。
不要?
う~ん、ちょっとおかしいけれど、「技術革新」というものを馬鹿にしたようなコメントだった。
そんなものオレには関係がない。とにかく新規な部品をできるだけ安く入手して、pcを組み立てお客に届けるのか「オレのやり方だ」--とかではなかったかな。
自分のやり方にこだわる—といえば、かっこいいが、なにか「視野の狭さ」を感じないか。
一度、なにかのやり方で成功すると、その「成功したやり方」をトコトンやり続けようする—とでも表現すればいいのか。
冒頭でふれたリーダーズ・ダイジェスト社の経営のやり方もそうなのだろう。
あれは戦前からかな。一旦、成功したやり方で、ズーとやり続けたということだろう。
頑固といえば、頑固。
ただ、なんとも「視野が狭い」と感ぜずにはおられない。
デルの社長にせよ、このリーダーズ・ダイジェストの社長にせよ、きっと、「教養」というものを馬鹿にしているのだろうな。
教養? そんなもの、お金に結びつくのか、それで稼げるのか—。
確かに。
お金に結びつくかどうかは分からない。
でも、少なくとも、自分の「成功体験」にこだわって、じっと「倒産」を待つということにはならない。