2013年2月28日木曜日

運も実力のうち—と安倍さん。


▲確かに、長く生きていると、人間てやつは自分の能力とか営々とした努力などとは別に、「運」というものに大きく左右される—ということが分かる。

 安倍さんの自民党総裁選での立候補をふりかえってみよう。
 対抗馬は、まぁ、石破さんと北海道のミルク屋の社長だった。
 石破さんは、なんというかちょっと視野が狭すぎるし、もっとも強敵であるミルク屋さんは、選挙期間中に軽い脳梗塞の症状がでた。
 まぁ、病気持ちということでは安倍さんも同じだが、「潰瘍性大腸炎」にはまずまず効く薬がでて、日常の政治活動をするには支障がなくなった。

 古きを訪ねると、織田信長の本能寺の変が発生した時の、羽柴秀吉の状況に似ている。
 このタイミングで、秀吉は備中・高松城の水攻めの最中だった。
 秀吉には多くの先輩がいた訳だが、徳川家康は堺あたりへ旅行の最中だし、他の武将達は地方の前線で戦闘中で、手が離せなかった。
 そこで。
 軍師の黒田官兵衛は、秀吉に「天下をお取りなさい」と進言する。

 この状況、安倍さんの状況に似ていないか。
 本人の能力というものが当然必要なのだが、それを吹き飛ばすほどの、本人をトップへ押し上げる「状況」が作られているのだ。
 これを「運」といわずしてなんだろうか。

 確かに、織田信長を自殺に追いやった明智光秀にも「天下取り」のチャンスがあった。
 しかし、彼には大衆を説得できるだけの「天命」がなかった。そして「天命」を自分のものとするだけの「能力」がなかった。

 以下、新聞から抜粋。

 安倍晋三首相は27日夜、都内で開いた中小企業経営者らとの意見交換会で、 26日に成立した2012年度補正予算の参院本会議での可決が1票差だったことに触れ、 「安倍さんは運がいいと言われるが、運も実力のうちですから」と語った。

 「ねじれ国会」の 壁を一つ乗り越えたことで、安全運転に腐心している首相にも余裕が生まれたようだ。


▲補足、感想など
 冒頭で「天命」を自分のものにできない人間はトップになれない—と書いた。
 小沢さんなどを見ていると、そのことを実感する。
 第一次イラク紛争の際に、30億ドルをネコババしたことでお金は一杯もっているだろうが、日本の国民を説得できるだけの「能力」がない。
 そのことが、結局、彼を首相するだけの「天命」が生まれてこないのだ。宜なるかな。

 いや、話がとんだどころへ。
 上でもふれた。
 安倍さんという人を押し上げているのは、安倍さんの能力もさることながら、日本の状況とか世界の状況が「安倍さんを必要としている」ということなのだろうな。
 運といえば運。実力といえば実力。
 渾然として、分けることもできない。

 ※追記。
 このブログも今日で、丸九年を満了した。明日から十年目に入る。
 素人芸も十年続けると”本物ではないが、それなりに本物らしく”なるそうな。
 これからも、より本物らしくなるように精進したい。