▲大型客船の起工式の話など久しぶりだ。
特に、三菱の長崎造船所では、かって、大型客船の建造中(艤装中だったかな)に火災が発生して、現場の作業員の不手際のため、大規模なものとなった。
あの火災が発生した客船以来かな。
もう10年くらい前になるかな。
ただ、筆者がひっかかったのは、客船という点より、この12万トンを越える客船に、船底から細かい気泡を発生させて、海水と船体との間に気泡の膜をつくり、水の抵抗を減らすという方法を採用したことに興味をもった。
いや、気泡の膜を作って抵抗を減らす「方法」があるのだ—という話はかって聞いた。
ただ。
それが12万トンを越えるほどの客船に採用されるという点でびっくりした。
以下、新聞から抜粋。
三菱重工業長崎造船所で30日、イタリアのクルーズ客船運航会社、コスタ・グループから受注した大型客船の起工式が行われた。
総重量12万4500トン、全長約300メートル、客室数は1643室、収容人数約3300人で、三菱重工によると国内で建造される客船では過去最大。
同社が客船を手掛けるのは9年ぶり。
世界的に造船不況が厳しさを増す中、付加価値が高い客船などに特化し、生き残りを図る。
今回の客船は、コスタ・グループから2011年に受注した2隻のうちの1隻、船底から泡を噴き出して水の抵抗を減らす最新技術を活用し、燃費を従来船より7%向上させる。
▲補足、感想など
燃費を7パーセント減らせる—か。
なるほど、こういう大型客船に向いた技術かもしれないな。
約10年前、作業員の不手際(あれは天井に金具を溶接でひっつけていた時、その溶けた溶材が床の絨毯に引火した—とかいうミスだったかな)で大規模な火災を発生させるような造船所に普通は仕事を頼みはしないだろう。
<あぁ、と思い出した。火災が発生した時、現場の作業員は、まず上司に報告することを優先し、消防署へ連絡することが遅れた。(出火時の社内のマニュアルがそうなっていたらしい)
だから、作業員達は、報告しなければならない上司を探してウロウロし、消火までの時間が遅れ、火災が大規模なものとなった。この判断については、後で三菱社内で反省があり、マニュアルに振り回され、本質の部分がおろそかになった--と。>
<あぁ、と思い出した。火災が発生した時、現場の作業員は、まず上司に報告することを優先し、消防署へ連絡することが遅れた。(出火時の社内のマニュアルがそうなっていたらしい)
だから、作業員達は、報告しなければならない上司を探してウロウロし、消火までの時間が遅れ、火災が大規模なものとなった。この判断については、後で三菱社内で反省があり、マニュアルに振り回され、本質の部分がおろそかになった--と。>
上のミスを知っていても、なお、7パーセントも燃料費が節約できる—という技術がより魅力的だったということだろうなぁ。
それにしても。
船底から気泡を発生させて、船体と海水の間に気泡(空気だ)の膜をつくる—という発想は画期的だな。
(こんな話、沈黙の艦隊の中でなかったか。潜水艦なんかでもう使われていた技術なのかもしれないな)
造船はもう「枯れた技術」かと想像していた。もう、新しい技術の出てこないような--。そんな分野だと思っていた。
上のような話を聞くと、どんなに枯れたと思っていても、「掘り続ければ」、新しい技術の泉が湧いてくるのだなぁ。
改めてそう思った。