2013年7月25日木曜日

超電導ケーブル走行に成功。

▲まだ、30mほどだけど。

 この実験成功の記事を読んでいろいろ思う。
 まず、思うのは超電導物質の「不安定さ」だ。

 1980年代半ばだったか。
 Ibm のチューリッヒ研究所だったかな、研究員がマイナス273度以上で「超電導」となる物質があると発表した。
 この研究員は、数年後にはノーベル賞をもらった。

 そこから。2000年頃までかなぁ。
 高温物質(マイナス273度以上で超電導となる物質という意味。高温というところでなにか誤解するかもしれないが)の開発競争が盛んだった。

 確かに、高い温度で超電導となる物質が一杯でた。
 しかし、どれもこれもが「不安定」なのだ。最初は超電導現象を示していても、時間が経過すればその現象が消滅してしまう。

 で。
 そのわずかに残ったのが、住友電工が作った超電導電線だ。
 えっと、マイナス200度ぐらいで現象を安定的に発現する物質であった。
 この温度で満足している訳ではあるまいが、液体窒素(単価が安いらしい)で冷却できるということろで、やっと実用化に漕ぎ着けたものだ。

 上でふれた1980年代半ばからの「超電導騒動」の結果、実用化された数少ないの「商品」の一つであった。
 高温超電導が発見されて約30年か。
 画期的な発見がなされて30年を経過しても、実用化された商品がマイナス200度前後の「超電導電線」ぐらいであったというのは、「実用化というかものにするのがどれだけ難しいか」を表している。

 いや、話がとんだところへ。
 こうして生まれた超電導電線 → 超電導ケーブル として、電車を走らせよう—という実験が記事となったものだ。

 やっと、30mの走行に成功したということだが、日本としては 電車 プラス 超電導 で、独自性のある商品となる可能性が高い。

 頑張ってもらいたい。

 以下、新聞から抜粋。

 鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)は世界初の超電導ケーブルによる 電車の走行試験に成功し、公開した。
 電気抵抗がゼロになる超電導状態を液体窒素(マイナス196度)の温度で 実現する「高温超電導」現象の発見以来、同研究所は鉄道の省エネ化のための 課題を解消する研究開発を進めてきた。

 超電導ケーブルを適用することで、回生エネルギーや送電の際の電力損失を 抑制するだけでなく、変電所の削減、集約化などの効果も期待できる。
 研究開発推進室の富田優担当部長は「今回は31メートルの試験走行に 成功したが、今年度中には試験線を310メートルに延ばして実験し、 実用化に向けて取り組みたい」と語った。


▲補足、感想など

 超電導華やかなりし頃は、まるで「夢」のようなことが語られていた。
 今、記事を読むと、「変電所の削減・集約化」とか。

 地に足のついたような「夢」だなぁ、と思う。
 
 高温超電導現象が発見されて約30年。
 ここまできた—とも言えるし、ここまでしか来ていないのか--とも言える。

 どんな夢でも、こういう地道な一歩、一歩を積み上げていくしかないのだな--と改めて思う。