▲それを言うなら、中国の習近平国家主席にも言ってあげたらどうだ。ついてに、韓国の朴大統領にも。
なにか、「教養」という言葉を誤解しているような。
以下、新聞から抜粋。
北京でのAPECが閉幕した。
安倍首相の周辺は日中首脳会談が実現しカラ威張りしている。
APECでハッキリしたのが日本の存在感の低下だ。
一方、米中首脳は親密ぶりを印象づけた。
安倍首相は相手にされていないことが歴然となった。
■間違った歴史認識で世界から孤立
オバマ大統領と習国家主席による首脳会談は、2日間にわたって行われた。
中南海での夕食会や花火観賞を挟んで、記者会見も開かれ、ともに過ごした時間は延べ9時間に及ぶ。
2人は黒いコートにノーネクタイで散歩を楽しみ、親密さをアピールした。
25分間で終了し、日中首脳会談とは大違いだし、安倍首相とオバマ大統領の会談はなかった。
米から「眼中にない」と宣告されたようなものだ。
「今の日本は国際社会で孤立しています。原因のひとつが、安倍首相の間違った歴史認識で、きちんと歴史を学んでいないからか、歴史問題でも感情が先に立ってしまう。教養がないせいか、政治哲学も語らない。これじゃあ、大国の首脳が胸襟を開くわけが
ありません。
安倍外交というと、財界人を引き連れてのトップセールスとか、ODAのバラマキとか、カネの話ばかり。これでは国際社会で尊敬されるわけがないのです」(政治評論家・森田実氏)
■石原慎太郎からも「教養がない」
「オバマの戦争」によれば、オバマ大統領は、戦争や歴史の本を読みあさり、必死で知識を身に付けたという。オバマ大統領は文学にも造詣が深い。読書歴を見ると、シェークスピアの戯曲やメルビル、エマーソンの評論などを読んでいる。黒人差別と闘いながら、弁護士になった知識人だ。
習主席にも似たところがある。貧しい農村に「下放」された。父は名誉回復するが、その間に習主席は
清華大の化学工程部に入学し、79年に卒業した。
翻って、我が国の首相はどうか。
安倍首相の愛読書は「永遠の0」や「今日われ生きてあり」などの小説が有名だ。
最近では、ノンフィクション「狼の牙を折れ」を絶賛していた。
教養を感じさせる読書ではない。
「本棚を見れば、その人がわかる」というが、石原慎太郎氏でさえ、インタビューで「祖父の岸信介元首相のような教養はない」とコケにしていた。
これでは世界の首脳と渡り合えるわけがないのである。
■憲法学の大家も知らない安倍首相
「昔の政治家は本を読み、歴史を勉強していた。だから、言葉に重みがあった。宮沢喜一元首相の博識には各国首脳も舌を巻いたもの。橋本龍太郎元首相も、たいへんな読書家でした。
安倍首相は、耳学問だから、言葉に含蓄がなく、上滑りなのでしょう」(森田実氏)
昨年の参院予算委で、民主党議員に「芦部信喜さんという憲法学者をご存じですか」と聞かれ、「私は存じ上げておりません」
と答えた。
憲法改正を掲げる首相が、憲法の大御所を知らない。
ロシアのプーチン大統領はレニングラード大卒でKGB出身のエリートだし、ドイツのメルケル首相もライプチヒ大で物理学を専攻し、博士号まで取った才媛である。
彼らの知的レベルが政治指導者のグローバルスタンダードというものだ。
憲法学の大家の名前も知らない首相と、愛読書がマンガで漢字も読めない副総理がツートップの国では恥ずかしい。
▲補足、感想など
なんだ、この記事。
それにしても。
森田さんという評論家の言っていることも、なにかピント外れだなぁ。
先日の安倍-習近平会談でも、習近平国家主席は、日本と中国という視野でしか捉えていないように見えた。
しかし。
安倍さんは世界を俯瞰した視野をもち、東アジアで「武力紛争」の可能性あり—と見られる場合の不利益を回避しようとした。
東アジアで武力紛争の可能性ありと世界で評判となると、日本だけでなく台湾、フィリピンなどの観光客も減少するだろうし、また、東アジアの海域を航行する船舶などの保険料なども料率が上がろう。
そのあたりまで、視野にいれて、ここで中国と「握手」することの意味というか価値を重要視したのだ。
安倍さんにとって、日中間の会談が25分だったとか、習近平国家主席に重要視されていない—とかは、二次的三次的な問題だったのだ。
どうだろう。
これで、安倍さんの教養がどうたら、中国の習近平国家主席の教養がどうたら—いうのか。
なにか教養というものを思い違いをしていないか。
教養とは、広く・深い常識のことだ。確かに他者にひけらかすものではあるまい。
しかし、ここぞ—という時の「判断」を裏側から支えるものだ。
安倍-習近平国家主席との会談での「判断」の裏側には、安倍さんなりの視野の広いかつ深い常識があったことを窺わせる。
記事にあるようなチャラチャラした「教養もどき」では、正しい判断はできまい。