2014年11月3日月曜日

再生エネルギー買い取り停止。

先日か。
 九州電力が、太陽光からの電気の買い取りを停止した。
 まぁ、民主党政権時代の計画であり、そもそも、買い取り価格が異常に高くであやぶまれた計画であった。

 しかし、こんな話でどこかで見たことがあるような--
 数年前のドイツの買い取り制度の破綻にそっくりではあるまいか。
 もう、2年も前の話となるが、その記事をご紹介する。

 --ここから--

 ドイツの電力事情=再生可能エネルギー法の見直し 2012/08/14()
 再生可能エネルギー法の見直し

 再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度をスタートさせた日本に 衝撃的なニュースが飛び込んできた。
 ドイツが太陽光発電の買取制度を大幅に修正することが決定したという。
 6月27日に開催された上院と下院の両院協議会において、以下の政策変更が決まり、法案が成立した。

 ・太陽光発電の買い取り価格の20~30%の引き下げ。
 ・太陽光発電の累計設備容量が5200万kWに達した後は太陽光発電の買い取りを中止

 国民負担が非常に大きくなっていること(月間消費電力量が約300kWhの一般的需要家の負担額が 月1000円を超え、そのうち約半分は太陽光発電に起因したものとなっている)こと
 シュピーゲル誌は「太陽光はドイツ環境政策の歴史の中で最も高価な誤りになる可能性がある」と指摘。

 --ここまで--

 こうした先達さんがいるのだ。
 当然、考慮にいれるべきことだろう。

 以下、新聞より抜粋。

 2012年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度。
 電力会社に最長20年間の買い取りを義務付けたが、国が今年5月までに認定した設備容量は約 7000万キロワット(原発70基分)になった。うち9割を占める太陽光は、天候に左右され夜間は発電ゼロ。
 その割合が高まると電圧などを安定的に維持するのが困難になる。

 ため、九州電力など電力5社は、 再生エネの買い取り契約に関する事業者との交渉を10月以降止めてしまった。

太陽光発電への参入がそこまで増えたのには意外な理由がある。
 第一に、経産省と太陽光パネルメーカーとの癒着だ。
 日本の再生エネは異常に高い。これが増えるとそ の分電力料金に上乗せされる。
 現在の上乗せ額は年間2700円だ。
 日本は、 ドイツの水準(日本の半分のコスト)を目指すべきだったが、競争力のない日本のパネルが 売れず。

 そこで、経産省は異常に高い価格を設定し、た日本メーカーを守った。
 結果、事業者に大きな利幅が保証され、太陽光だけが伸びた。

 第二の理由は、再生エネを強力に推進して反原発の世論を鎮めようという思惑だ。
 原子力ムラが、ベストミックスは何か、という議論を封印するために、再生エネ推進を免罪符にしようとした。
 
 制度開始から1年経った頃には、太陽光が増えすぎだという議論があった。
 しかし、欧州では太陽光や 風力などの不安定なエネルギーが2割から3割にもなる国がある。
 下手に議論して、脱原発運動を勢いづかせないようにと議論は封印された。


▲補足、感想など

 これって、なにか歪んだ視点で書かれたような記事ではある。
 まぁ、民主党政権時代の計画で、数字ばかりが一人歩きしたものだったのだろう。
 買い取り価格が高すぎるし、また20年間—という数字は一体なんだ。

 買い取り価格も、年数も見直すしかあるまい。
 記事でベストミックスなる言葉があるが、原子力の外になにが実用的なエネルギー源なのか分からぬままに進んでいるのだ。
 混乱時にどさくさまぎれに決めた数字であり、言葉としか言いようがない。

 大震災から3年が経過した。
 今こそ、再生エネルギーの問題も、時間を掛けて丁寧な議論をし、また、様々なエネルギー源を試行的にやってみるべきだと思う。
 地熱発電とか、水力発電とか潮力発電とか様々に案はあるではないか。

 さて、2011年に原子力を放棄したドイツではどうなっているのだろう。
 ドイツは、結局、石炭をつかった火力発電を主とするようだ。

 --ここから--

 ドイツ政府は新発電所について、 脱原発政策とクリーンな発電への移行を後押しするものだと主張。 2012/08/21
 しかし、340万世帯に電力を供給可能なこの発電所は石炭を燃料とする。
 新発電所の出力は220万キロワット。

 ドイツが温暖化ガス排出量の多い石炭への依存を強めつつある状況が浮き彫りになった。
 福島第一原発事故を受けてドイツが脱原発を宣言して以来、石炭の消費は4.9%増えた。
 ドイツの電力大手、RWEとイーオンはクリーンな天然ガス発電の利用を控えている。
 一方、排出権価格は急落しており、石炭火力にしても不利益は生じない。

 脱原発と排出ガス抑制の切り札である風力・太陽光発電は24時間発電することができない。
 英オックスフォード大学の教授は 「独首相の脱原発政策は原子力を石炭に一部代替するもので、 石炭は、温暖化ガスの増加に最も責任がある燃料だ」 とし、 石炭火力発電所の新設について電力政策を「今後30年間拘束するものだ」と指摘した。

 石炭消費が増えているのはドイツだけではなく世界的な傾向となっている。
 他の燃料よりも安いからだ。
 英BPのデータによると、世界の石炭消費は昨年、5.4%増えエネルギー消費の30%を占めた。
 この割合は、1969年以来の高水準となっている。

 --ここまで--
 原子力を放棄したからといって、すぐに原発に代替するようなエネルギー源がある訳がないということが理解できるであろう。

 原発を再稼働させて、通常の生活を維持できるだけのエネルギーを確保しつつ、原発に代替するエネルギー源をさがし、実用化を図るという地道な努力をこれから数十年も継続するしかない。

 長い長い坂を重い荷物を背負いながら、登っていくのだ。
 短慮で簡単に判断すれば、たちまちへばってしまう。

 長い苦難な道を覚悟するしかない。