▲妙な表題かなぁ。
マツダという会社は、トコトン、マツダだなぁと感心した。
ガソリンエンジンの究極の姿が、なにか古臭く苔むした感のあるディーゼルエンジン型であるというのは、どこか皮肉っぽい。
こういう技術をみているといつも思う。
もう、枯れ果てたと見える古井戸の底を、丹念に掘っていたら、また、水が湧き出してきた—という感じに見える。
どんな古井戸であっても、数万回の「繰り返し」に耐える執念があれば、また、新たな水源に辿りつくものなのだな。
以下、新聞から抜粋。
マツダ・モーター(Mazda
Motor
Corp)は、「圧縮着火」と呼ばれる従来のガソリンエンジンよりも遥かに効率的な燃焼方式を使用した次世代ガソリンエンジンを世界で初めて2019年から商品化すると発表。
この技術はマツダよりも研究開発費が潤沢な独ダイムラー社や米ゼネラル・モーターズ社などの自動車メーカーが実用化を目指し長年取り組んできたものだがマツダが先んじて商品化することとなった。
新しい圧縮着火エンジンは日本の自動車メーカーの現行ガソリンエンジンよりも20〜30%も燃費が向上しており、EVへ傾倒する業界の流れに一石を投じることになりそうだ。(※ロイター日本語版によるとトルクも全域で10%以上、最大で30%に及ぶ向上)
このマツダの伝統的なエンジンを同社の戦略の中心に置くという発表は、マツダが
電気自動車(EV)の基本技術をトヨタと共同開発し16億米ドルを投じて米国に共同の組立工場を建設すると発表してから数日後の出来事だった。
「我々は理想的な内燃機関を追求することは不可欠かつ基本的な仕事だと考えている。電化も必要だ、だが内燃機関が最初に来るべきだ。」と研究開発を統括する藤原清志専務氏は語った。
HCCI(予混合圧縮着火)と呼ばれる技術を用いたこの次世代エンジンは従来のように点火プラグを使うのではなく、ガソリンをディーゼルエンジンのように圧縮することで着火させる。
これは両エンジンの利点を両立させた画期的なエンジンであり、ディーゼルエンジン並みの燃費を実現しつつNOxまたはスス微粒子の排出を抑えることができるという。
ただ実際にはこの技術の商業化を妨げてきた技術的なハードルを克服するために、通常のディーゼルとは違い点火プラグも装備され、低温などの特定の条件下では圧縮着火ではなく火花着火に切り替える仕組みになっている。
丸本明副社長はブランドのエンジン技術は「心臓」であると指摘し、この次世代エンジン「SKYACTIV-X」を提携先のトヨタ自動車を含めて他社に供給する予定はないと語った。
株式会社エイムスの宮下亮二社長はこのエンジンを画期的だと賞賛しつつ、新型エンジンが燃費性能だけでなく滑らかさと応答性の高さも両立できているかが問われると指摘する。
「もしそれが叶わないようならこの技術の商業化に大きな疑問が投げかけられてしまうでしょう。マツダが上手くやってくれることを願っています。」
と彼は語った。
マツダはまた2019年から電気自動車(EV)とEV技術を用いた車(※ロイター日本語版によると航続距離を伸ばすためにロータリーエンジンを発電用に搭載したレンジエクステンダーEV)を導入すると発表した。
これは大気汚染を抑制するために特定の車両の販売を制限する市場や、クリーンエネルギーを重視した市場に焦点を当てたものだ。
さらに2025年までに全てのモデルで自動運転技術を標準化することを目標としているという。
▲補足、感想など
このスカイアクティブエンジンの旧型の説明をしないと、もう一つピンとこないか。
--ここから--
2015/09/28(月)
◆自動車メーカーにあるまじきVWの背信行為
ディーゼルエンジンの排ガス規制に対し、独フォルクスワーゲンが自動車メーカーにあるまじき背信行為を行い、
世界に波紋を投じている。
日本ではマツダのSKYACTIV技術によるDE車が評価を得その復活が進んでいるだけに、
影響が懸念される。
だが、良くも悪しくもディーゼルへの注目が高まるので、同社の革新的なDE技術への認知が広まる機会ともなりそうだ。
マツダに問い合わせると、VWが不正を行った排ガス性能を制御するようなソフトは、当然のことなが
ら「搭載していない」。
さらに世界各国・地域での排ガスなどの審査についても適正な認証を得ていると強調する。
VW事件の震源地である米国でのマツダ車の販売は、1-6月で前年を2%上回り堅調に推移している。
また、北米へのDE車は「発売を検討している段階」と未投入なので、DEを巡る当局の調査などによる混乱は起こりようがない。
◆ディーゼル開発はNOxとの闘いの歴史
VWが蛮行に手を染めることになったNOx(窒素酸化物)は、大気中の濃度や気候によって人体に有害な光化学スモッグを起こす厄介なシロモノだ。
DEの排ガス技術開発は、主にNOxとの闘いであったといっても過言でない。
DEはガソリンエンジンよりも
高圧縮状態で、軽油と空気の混合気を自然着火させて燃やす。
燃焼室は高温、高圧になるため軽油と空気が十分に混ざる前に着火しやすく、
これがNOxやススなどのPM(粒子状物資)を増やすこととなる。
「クリーンディーゼル」と呼ばれ、各国・地域の最先端の排ガス規制をクリアするDEでは通常、NOxの低減には触媒、
あるいは排ガスと尿素水を反応させるなどの後処理を施している。
尿素水方式は大型トラック用のDEで実用化されているし、
トヨタ自動車も今年開発した2.5リットルと2.8リットルのSUVやピックアップトラック用の新世代DEに採用した。
マツダのSKYACTIV-Dと呼んでいるDEには、そもそもNOxの後処理装置がない。
DEでは常識外れともいえる
低圧縮比にしたエンジンでの燃焼により、NOxなどの抑制につなげているのだ。
つまり、DEでは通常18程度となっている
圧縮比を、『CX-5』などに搭載されている2.2リットルのSKYACTIV-D(2012年発売)では14.0とし、世界の自動車用DEでは最も低くした。
◆常識外の低圧縮燃焼でディーゼル復活をけん引
このような低圧縮比では、寒冷時や始動時などエンジンが温まっていない状態では混合気が着火できなくなる。
DEの低圧縮比は、まさに常識外だった。
しかし一方で、低圧縮比だと排ガスが飛躍的にクリーンになることも分かっていた
マツダは、吸気バルブを開けるタイミングを遅くし、1度閉じた排気バルブを吸気中に再び少し開けるといったバルブの
独自制御などにより、低圧縮比での燃焼技術を確立した。
低圧縮化によってエンジンは比較的コンパクトにでき、排ガス関連システムの簡素化によってコストの縮減や軽量化も実現できた。
マツダの国内販売は、14年に1.5リットルも加わったSKYACTIV-Dシリーズ搭載車が高い評価を得て快走している。
15年上期(1-6月)は国内市場全体が前年同期比11%減と低迷するなか、マツダ車は15%増の13万9100台と大きく伸ばしている。
このうち5車種を販売しているDE車が前年実績の約3倍に相当する6万2000台と、伸びをけん引している。
国内総市場の乗用車に占めるDE車比率は、足元で3%程度にとどまるが、00年代のほぼゼロ状態から
SKYACTIV-Dの投入を契機に復活が進んでいる。
DE車の力強い走りや燃費および排ガス性能が再評価され始めた矢先のVWショック。
しかし、販売店を含むマツダ陣営にはSKYACTIV-Dの特質をしっかりとユーザーに訴え、引き続きDE復活の先導役を担ってもらいたいものだ。
--ここまで--
上の記事で--- 吸気バルブを開けるタイミングを遅くし、1度閉じた排気バルブを吸気中に再び少し開けるといったバルブの
独自制御などにより ---と、実に簡単に書いてある。
しかし、これこそが、スカイアクティブエンジンの「核心部分」なのだ。
そして、実用化までに技術者達がどれほどの「繰り返し」と「徹夜」に耐えたことかと推定される。
同様に、上で書いてあるスカイアクティブエンジン-Xの誕生のためには、同じく「数万回の繰り返し」と多くの「徹夜」に耐えたものと思える。
この「数万回の繰り返し」に耐えたマツダの技術者を讃えたい。
最後にこの新型エンジンの燃費の良さが書いてあった。
転記したい。
現行モデル
SKYACTIVE-G 次世代エンジン
SKYACTIVE-X
デミオ(1.3Lガソリン) 24.6km/L 29.5~32.0km/L(予想)
アクセラ(1.5Lガソリン) 20.4km/L 24.5~26.5km/L(予想)
CX-5(2.0Lガソリン
) 16.0km/L 19.2~20.8km/L(予想)
なお、ヨーロッパのvwの技術者が、いかさまソフトに頼ったことと、マツダの技術者を比較してみてほしい。
ヨーロッパの自動車メーカーの技術者が「新しい技術」を開発できないでいるのは、「数万回の繰り返し」に、「幾多の徹夜」に耐えることができないためだ。
西欧のエリート主義と日本の「その他おおぜい主義」の勝負と言ってもいいかもしれない。
日本の「その他おおぜい主義」の強さを改めて確認する。
なお、ヨーロッパのvwの技術者が、いかさまソフトに頼ったことと、マツダの技術者を比較してみてほしい。
ヨーロッパの自動車メーカーの技術者が「新しい技術」を開発できないでいるのは、「数万回の繰り返し」に、「幾多の徹夜」に耐えることができないためだ。
西欧のエリート主義と日本の「その他おおぜい主義」の勝負と言ってもいいかもしれない。
日本の「その他おおぜい主義」の強さを改めて確認する。