2016年6月19日日曜日

裁判官がここまで技術的案件を判断していいのか

いや、素朴な疑問ではある。
 高浜原発という関電の原発がある。

 2011年の大震災以後、停止していた原発が、原子力規制委員会の審査をようやく通過して、いよいよ再稼働というとき、住民からの運転差し止めの訴訟をおこされ、裁判官が「差し止めの仮処分」を判断し、また、これに対する執行停止の申し立てを却下して、原発が運転できない状態にある。

 どこに疑問を持つかというと、裁判官がここまで技術的な案件に対して、判断するってことができるものなのか—ということだ。

 この高浜原発の再稼働についての流れを追っかけてみよう。
 時系列的に並べてみよう。

 --ここから--

2012/09/03()
 福井に最大8メートル超の津波 高浜、敦賀原発敷地浸水の恐れ
 福井県は、日本海側で発生した地震で県沿岸部に到達する津波の予測結果を公表 し、坂井市では最大津波高が従来予測の約3・5倍に当たる8・68メートルに達する と明らかにした。
 関西電力高浜原発で3・74メートル、日本原子力発電敦賀原発で3・48メートルで、原発の敷地の高さ3・5 メートルと3メートルを超えた。
 敷地浸水する可能性もあるが、各事業者は設備の安全性への影響はないと。

 再稼働した関電大飯原発3、4 号機には2・52メートル、高速増殖炉原型炉もんじゅには2・80メートルの津波が到達するという。関電美浜原発は1 ・84メートル。

2013/10/09()
 安全審査 関電2原発に対応の遅れ
 再開を目指す原子力発電所の安全審査を進めている原子力規制委員会が、 電力会社が資料を提出した項目についてまとめた結果、 審査中の6つの原発の中で関西電力の2つの原発の審査が自然災害への対応を中心に遅れていることが分かった。

 原子力規制委員会は審査中の6つの原発について 電力会社が資料を提出した項目をまとめ公表。
 それによると、関西電力の大飯原発と高浜原発は、
▽地震の想定の「地下の構造」や「想定する地震」の調査結果を一部しか提出していない
▽事故時の対策拠点となる「緊急時対策所」
▽使用済み燃料プールでの重大な事故対策について、資料を提出していない。
 規制委員会は2つの原発について「地震や津波の対策で時間がかかっている」としていて、 ほかの愛媛県の伊方原発、鹿児島県の川内原発などに比べ、 関西電力の2つの原発の審査が自然災害への対応を中心に遅れている。

 ただ、いずれの原発も、地震の規模の想定や敷地内の活断層の調査、 それに重大な事故が起きる確率の評価といった重要な項目の多くを提出しておらず、 審査終了の見通しは立っていない。

★:2014/01/09()
 福井県の高浜原発について、原子力規制委員会の委員が「夏の再稼働は不可能ではない」という見通しを示した。
 規制委員会の委員が、原発の再稼働時期に言及するのは初めて。
 原子力規制委員会・更田豊志委員:「(Q.夏の再稼働は可能?)『可能か可能でないか』を申し上げる立場にはないが、 印象でいえば不可能な目標ではない」

 原子力規制委員会は、審査中の高浜原発34号機を訪れ、重大事故に備えた設備の準備状況を調べた。
 終了後、更田委員は「今後の審査は大きな障害が無く進む」見方を示した。
 加えて、関西電力が夏までに再稼働を目指していることについて、「余程のことが無い限り、夏にまだ審査をしていることはない」として、 高浜原発が夏に再稼働できる可能性を示唆した。

2014/12/18()
 高浜原発、「安全」言及せず=「基準は最低限」強調-規制委員長
 原子力規制委員会が関西電力高浜原発3、4号機の審査書案を了承し、 規制委の田中俊一委員長は会見で「新しい規制基準に適合していると認めた。
 安全か、安全じゃないかという表現はしない」と述べ、先に審査書が完成した九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の時と同様、 安全性への言及を避けた。

 田中委員長は、申請から1年半近くかかったことについて「従来の安全対策で十分という意識から抜け切れないところがあり、 対応まで時間がかかった」と説明し、関電の姿勢に原因があると示した。
 その上で「規制はミニマム(最低限)であって、 事業者はより高い安全を目指すべきだ」と努力を促した。

2015/04/14()
 菅義偉官房長官は会見で、福井地裁が高浜原発3、4号機の再稼働を認めない仮処分を決定したことに関し「国は当事者ではない。あくまでも仮処分であり、事業者の対応を注視したい」と述べた。
 同時に「粛々と(再稼働を)進めていきたい」と強調し、原発再稼働方針に変更はないとの考えを示した。
 福井地裁が仮処分決定で、原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査は「合理性を欠く」と指摘したことについては「規制委が専門的な見地から十分に時間をかけて、世界で最も厳しいといわれる基準に適合するかどうかという判断をした」と説明。

2015.1224
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを命じた4月の福井地裁仮処分決定(樋口英明裁判長=当時)を巡る異議審で、同地裁(林潤裁判長)は関電が申し立てた異議を認め、仮処分を取り消す決定を出した。

 原発の運転を禁じた初の仮処分決定から8カ月余りで、司法判断が覆り、高浜3、4号機の再稼働が法的に可能となった。地元同意の手続きは完了しており、関電は25日にも核燃料を原子炉に装着する。
 福井地裁は4月14日の仮処分決定で、原子力規制委員会の新規制基準について「適合しても安全性は確保されておらず、合理性を欠く」などと判断、高浜3、4号機の再稼働を禁じた。

 関電側は仮処分決定を不服として、民事保全法に基づき同地裁に異議を申し立てた。
 異議審の担当裁判官は差し止めを命じた樋口裁判長の後任になった林裁判長が担当。
 5月以降、関電側と住民側の双方が意見陳述する審尋が4回、非公開で行われた。

 高浜3、4号機は新規制基準に基づく安全審査に合格し、再稼働準備の最終段階となる使用前検査まで進んでいる。
 野瀬豊・高浜町長が、西川一誠・福井県知事が再稼働に同意。今回の司法判断で事実上、ハードルがなくなったため、関電は来年1月下旬以降の再稼働を見込んでいる。
 一方、福井地裁は、関電大飯原発3、4号機の運転を差し止める仮処分を求めていた住民側の申し立ても却下。

2016224日 
 原子力規制委員会は会合で、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県)が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。
 事実上の審査合格で、運転開始から40年を超える老朽原発では初めて。
 規制委は意見公募などを経て、4月以降に正式な審査書をまとめる見通しだが、 再稼働のためには運転延長などの認可が必要で、法的な期限となる7月までに手続きが間に合わなければ廃炉になる可能性もある。

2016/03/09()
 菅官房長官は会見で、大津地裁が関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分を決定したことに関し、「政府としては原子力規制委員会の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりない」と述べた。
 同時に「当事者である関西電力の対応を注視したい」とも語った。

2016/03/09()
 福井県にある高浜原子力発電所3号機と4号機について、大津地方裁判所は「福島の原発事故を踏まえた事故対策や 緊急時の対応方法に危惧すべき点があるのに、関西電力は十分に説明していない」として運転の停止を命じる 仮処分の決定を出した。
稼働中の原発の運転の停止を命じる仮処分の決定は初めてで、関西電力は速やかに原子炉を止めなければならなくなった。
 福井県にある関西電力・高浜原発3号機と4号機について、滋賀県内の住民29人は、再稼働前の去年1月、 運転の停止を求める仮処分を申し立てていた。

 これについて大津地方裁判所は、3号機と4号機の運転の停止を命じる決定を出した。
 決定で大津地裁の山本善彦裁判長は「福島の原発事故を踏まえた事故対策や緊急時の対応方法、基準となる地震の揺れの策定についても危惧する点がある」と指摘。
 さらに、「想定される地震の最大の揺れを評価する方法のもととなるのは、 過去に起きた14の地震で、サンプルの少なさからすると科学的に異論のない方法と考えることはできない」と指摘。

 そのうえで、「津波対策や避難計画についても疑問が残り、住民の権利が損なわれるおそれが高いにもかかわらず、安全性について電力会社は説明を尽くしたとは言えない」として、3号機と4号機の運転の停止を命じる決定を出した。
 高浜原発は、ことし1月に3号機が、先月に4号機が、規制基準のもとで再稼働したが、4号機では、 再稼働の3日後に原子炉が自動停止するトラブルが起き、関西電力は、早期の運転の再開を目指している。

 関西電力は、決定の取り消しを求めて異議を申し立てる方針、仮処分は直ちに効力が生じるため、 稼働中の3号機の原子炉を速やかに止める。稼働中の原発の運転の停止を命じる仮処分の決定は初めて。
 高浜原発3号機と4号機を巡っては、福井地方裁判所が去年4月、再稼働を認めない仮処分の決定をしたが、 去年12月に福井地裁の別の裁判長がこの決定を取り消し、再稼働を認める判断をしていた。

 関西電力 原子炉停止手続きと異議申し立てへ
 福井県にある高浜原子力発電所3号機と4号機の運転の停止を命じる仮処分の決定を受けて、関西電力は、稼働中の3号機の原子炉を止める手続きに入る。
 3号機の原子炉に核分裂反応を抑える制御棒を入れて出力を落とし、 出力がゼロになるまでに、10時間かかる見込み。
 一方で、関西電力は大津地方裁判所に、決定の取り消しを求める異議の申し立てと、 仮処分の執行の停止を求める申し立てをする。申し立てがあった場合、大津地裁では別の裁判官が、改めて判断する。

関西電力「承服できない 速やかに不服申し立てる」
 仮処分の決定について関西電力はコメントを発表し「当社の主張を裁判所に理解いただけず極めて遺憾で、承服できない。決定にしたがい、安全を最優先に高浜原発3号機を停止するが、 今後速やかに不服申し立ての手続きを行い、早期に仮処分命令を取り消していただくよう、高浜原発3号機と4号機の安全性の主張と立証に力を尽くす」と。

2016/06/17()
 関西電力高浜原発34号機の運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定を不服として、関電が行った執行停止の申し立てについて、同地裁(山本善彦裁判長)は、却下する決定を出した。  
 関電は執行停止と同時に保全異議を申し立てており、大津地裁は7月末に結論を出す。
 仮処分決定が取り消されない限り、関電は再稼働できない。 

 --ここまで--

 なんというか。
 本当に日本人の裁判官なのか? 韓日二重国籍の韓国人裁判官ではないのか?
 同様のことが、川内原発でもなされた。その記事を抜粋。

 --ここから--

 九州電力川内原発1、2号機について、福岡高裁宮崎支部が出した判断は、「運転差し止めを認めず」だった。
 科学的な根拠もないまま、関西電力高浜原発を停止させた大津地裁のような「司法の暴走」は回避された。
 ただ、日本中の原発は同様の訴訟を抱え、司法リスクは、今後もわが国のエネルギー政策に付きまとう。 

 「予測を超える事象が発生する可能性は残り、建物や機器が損傷するリスクもゼロではない。しかし、施設の安全性を確保するための、極めて高度の合理性を有する体系となっている」
 福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)の決定は、非現実的な「ゼロリスク」を求めず、原発の安全性について科学的知見に照らした判断を下した。
 さらに「どの程度の危険性であれば容認するかという観点、すなわち社会通念を基準として判断するほかはない」とした。

 原発によるメリットとデメリット、そしてリスク発生確率を冷静に比較し、判断すべきだという、常識的な姿勢がにじむ。
 この視点は、3月9日に関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁(山本善彦裁判長)と対照的だ。
 大津地裁は決定理由で「この備えで十分であると社会一般の合意が形成されたといってよいか、躊躇せざるを得ない」として、自然災害に対してゼロリスクを求める姿勢があった。
 だが、ゼロリスクだけを追求すれば車は走れず、航空機は飛べない。

 さらに原発停止は電気料金値上げという形で日本を蝕む。
 大津地裁の決定は、テロ並みの打撃を日本の経済や社会に与える。
 “判決テロ”とさえ言われかねない。

 高裁宮崎支部の決定は、福島第1原発事故の反省を踏まえた新規制基準制定の経緯を詳述した。
 その上で「新規制基準に不合理な点はなく、規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理ということもできない」と結論付けた。

 今回の裁判で主な争点となった、基準地震動の妥当性や、火山の危険性についても、九電の主張が全面的に認められた。
 「安全性は確保されているとの当社の主張が裁判所に認められ、妥当な決定をいただいた」
 九電が発表したコメントからは、勝訴に対する安堵感がにじんだ。

 しかし、原発をめぐる訴訟はこれで終わりではない。今回の決定に対し、住民側は最高裁の判断を仰ぐため、特別抗告などを検討している。
 さらに再稼働を目指す玄海原発3、4号機でも、1万人超の原告が運転差し止めを求め、佐賀地裁で審理が続く。

 1人の裁判官によって日本のエネルギー政策の進展が左右されることに、電力事業者や経済界は懸念を強める。
 「原発に賛成の裁判官もいれば、反対の人もいる。反対の人に訴えれば原発を止められるということになれば、国のエネルギー政策は成立しない」
 九電首脳はこう語る。
 宮崎支部決定を前に、九電社内でも、裁判長の経歴や過去の決定を確認する動きもあった。

 確かに、「三権分立」の観点から、裁判所は議会や政府による圧力や干渉を受けない。
 近代国家の原則の一つだ。
 だからといって、選挙も経ていない裁判官の独善ですべてが決まってよいということではない。

 こうした「裁判官リスク」から脱却しない限り、国民生活の根幹であるエネルギー政策が左右される危険性をはらむ。

 --ここまで--

 先の大戦の開戦直後、日本軍が南進作戦を採用したのは、エネルギー源を求めたためであろう。
 石油の一滴は、血の一滴とかのスローガンがなかったか。

 エネルギーをどこに求めるか—というのは、国の命運すらも左右されるものだ。
 それを考えると、一裁判官によって、「国家の命運」が左右されるとはどういうことであろうか。

 安倍さんも性根を据えて、このことを考える時がきているのではないのか。