2018年5月17日木曜日

世耕経産相に能力がないからだ。現-次世代エネルギー源をめぐって


エネルギーをどこから確保するか—ということは国家の命運を左右するほどのことだ。
 先の大戦時、日本が早々に、南進作戦を採用した理由が分からないのか。

 今でも、エネルギーに関して日本をとりまく状況が改善している訳ではない。
 現~次世代のエネルギー源をどこに求めるか—という点で、いま、日本は混乱している。

 そもそもと思う。
 どこにエネルギー源を求めるか—ということは、純粋に技術的なことだ。
 技術の優劣とかコストとかを考えていけば、自ずと結論へ導かれる—そういう問題なのだ。
 ところが、日本の場合、福島で原発事故が発生して、どうしても政治が関与することになってしまった。
 政治が技術に関与して紛糾してしまうのだ。

 しかし。
 本来的に、まず、技術的な優劣を考えて、それを一般人でも理解てきるまで噛み砕いて、選択肢を絞っていくべきではあるまいか。
 とくに、原発についての扱いが、日本の場合、あつものにこりて、なますを吹く状態にあり、やりづらくて堪らない。

 以下、新聞から抜粋。

 経済産業省が審議会に示したエネルギー基本計画の素案は、原子力発電を中長期で活用していくための具体論を欠いた。
 多くの原発は2030年以降に廃炉を迫られるが、世論の反発を恐れた経産省は建て替え(リプレース)や新増設の議論を主導できなかった。
 使用済み核燃料の再処理方針などは現状維持で、原発の環境変化に向き合う議論は停滞した。
 「原子力を『脱炭素化の選択肢』というが、建て替えを考えないとあり得ない。はっきりと書かないのはおかしい」。
 16日の経産省の審議会では、委員の橘川武郎・東京理科大教授が経産省や会議の姿勢を批判した。

 同席した福井県の西川一誠知事も「核心に触れてほしい」と苦言を呈した。
 計画作りにかかわった関係者が不満を募らせたのが、原発を推進する方針を崩さないのに、具体論になると議論が深まらなかったことだ。
 経産省によると、今回の計画に盛り込まれた30年の原発比率(2022%)を達成するには、30基程度の再稼働が必要だ。
 これまでに再稼働済みの原発は8基。
 今のままでも目標を実現する再稼働数は危ぶまれているが、達成の道筋はつけられていない。
 東日本大震災後、原発の運転期間は原則40年と定められたが、原子力規制委員会が認めれば一度だけ延長し、最長60年まで動かすことができる。

 原発は投資と運転の計画を数十年単位の長期で考える事業だ。
 「寿命」を迎え廃炉を迫られる原発はこれから増えてくる。
 国が描く「50年にも原発は選択肢」という政策を踏まえるなら、50年以降の原発をどう維持するかを今から議論する必要がある。
 関西電力など大手電力会社や重電メーカーが建て替えや新増設の議論の加速や基本計画での明示を要求したのは「今から準備しておかないと間に合わない」 (大手電力幹部)との危機感を持つからだ。
 ただ、政府は建て替えや新増設を「現段階では全く想定していない」(世耕弘成経産相)との見解を崩していない。
 方針転換となれば、「選挙などで与野党対決の争点にされかねない」 (政府関係者)と危惧する声が多い。
 使用済み核燃料の再処理や放射性廃棄物の再処分場など議論すべき点は多い。
 しかし審議会は当初から「基本的に骨格は変えない」(世耕経産相)との方針が貫かれた。

 審議会で会長を務めたコマツの坂根正弘相談役は 「原子力でも(中長期的に)小型炉にチャレンジすべきなのか、基本スタンスくらい議論しないとまずい。これだけ言っても行政が突破できないことが分かった」と指摘した。

 再生可能エネルギーに関しても、導入の進捗状況からみて30年の目標比率を引き上げるべきだとの意見も出た。
 今夏の閣議決定に向けた与党での議論でも、エネルギーの将来像の策定に積極的に取り組む必要がある。


 再生エネ主力化残す3つの課題 再生可能エネルギーは主力電源にすると打ち出した。
 普及への課題を解決する政策には優先して取り組む必要がある。
●コスト
 一つはコストの問題だ。
 経産省によると、太陽光の発電コストはドイツが1キロワット時あたり9円なのに対し、日本は24円。
 風力は10円に対し、21円だ。
 日本は固定価格買い取り制度(FIT)を導入しており、コストは電力料金に上乗せされる。
 経産省は高効率の太陽光パネルの開発のほか、入札方式を導入してコスト低減を進める方針。
 高い買い取り価格が高コストの要因になっているとの指摘を踏まえ、FITの抜本見直しにも踏み切る考えだ。

●調整力
 もう一つは調整力の問題だ。再生エネは天候などの条件によって出力が変わり、発電量が少ない時に補うための調整電源が必要になる。
 足元では火力発電がその役割を担っている。
 それでも再生エネが大量に導入されると、火力発電の稼働率は下がり、保有する電力会社の収益が悪化する。
 火力発電は二酸化炭素(CO2)の排出が多いというデメリットもある。
 新しい調整力として期待されるのが、蓄電池や水素。
 経産省は高性能で低価格の蓄電池や、水素の低廉な活用の普及拡大に向け、政策支援と技術革新を拡充する考えだ。

●送配電の制約
 電力系統の制約も大きな課題だ。再生エネが大量に導入されると、送配電網の容量を超え、停電のリスクが高まる。
 経産省は電力業界と組んで送配電網を増強する一方、送電線の「隙間」を利用する「日本版コネクト&マネージ」を始め、既存の設備を活用する運用改善に乗り出した。
 再生エネを主力電源化するとした一方、30年の計画を変えなかったことには環境系の非政府組織(NGO)から「整合性がない」との批判もある。
 外務省幹部は「国際社会から批判されかねない」と懸念する。

補足、感想など

 日本の正しい方向性を示せるというのが、政治家の実力だ。
 政治家が言うではないか。千万人といえども我ゆかんとか。口だけか。
 その意味で、世耕経産相には、能力がないのだろうな。

 この政治家の姿勢を大学教授が批判していた。

 --ここから--

原発「建て替え」の戦略示せ

○約50年後に国内で稼働する原子炉皆無に
○政官の先送りで原発戦略と司令塔が不在
○もんじゅに代わる毒性軽減炉開発も保留

 エネルギー基本計画が4年ぶりに改定され、まもなく第5次計画が閣議決定される。
 エネルギー基本計画とは、2002年施行のエネルギー政策基本法に基づき策定され、国の中長期的なエネルギー政策の指針を示す役割をもつ。
 最初の計画は03年に策定され、それ以降、3~4年に1回のペースで改定されてきた。
 現行の第4次計画は、11年の東京電力・福島第1原子力発電所事故後初の改定を受け、14年に策定された。
 それを受けて翌15年に決定された長期エネルギー需給見通しは、30年の電源構成を原子力2022%、再生可能エネルギー2224%、火力56%とした。

 今回の改定においても、この電源構成見通しは維持されることになった。
 また、前回と同様に、第5次計画でも原子力発電のリプレース(建て替え)に関する記述は回避され、問題は先送りされることになった。
 今回の場合には、30年時点での状況について審議する経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会とは別に、50年時点での状況について審議するエネルギー情勢懇談会が設置され、国レベルでの議論は並行して行われた。

 情勢懇談会の提言は、再生エネに関して50年時点で 「主力電源化」。
 することをめざすと明記するとともに、原子力に関しても「実用段階にある脱炭素化の選択肢」として高い位置づけを与えた。
 50年に再生エネを主力電源化すると言いながら、30年の電源構成における再生エネの比率を上方修正せず、2224%に据え置いたままにしたことは辻つまが合わず、大いに問題である。
 ただし、ここではその問題には立ち入らず、もう一つの大きな問題を掘り下げることにする。
 それは、リプレースなしに原子力発電が脱炭素化の選択肢になりうるかという問題である。
 12年の原子炉等規制法の改正によって、日本の原子力発電所は運転開始から40年たった時点で廃炉にすることが原則とされ、特別な条件を満たした場合だけ1度に限ってプラス20年。つまり60年経過時点まで運転が認められることになっている。
 現在、わが国の原子力発電所には、39基の原子炉が存在する(建設中の中国電力・島根3号機と電源開発・大間は、運転開始時期が未定のため議論から除外する)。

 表が示すように、たとえこれらのすべてについて運転期間の60年間への延長が認められたにしても、50年末に稼働しているのは18基にとどまる。
 その後、短期間で稼働中の原子炉基数は急減する。
 60年末には5基(北海道電力・泊3号機、東北電力・東通/女川3号機、中部電力・浜岡5号機、北陸電力・志賀2号機)、65年末には2基(泊3号機、志賀2号機)となり、6912月に泊3号機が停止すると、皆無となる。
 これではとても、原子力を長期的に有効な「脱炭素化の選択肢」とみなすことはできない。
 原子力発電を何らかの形で使い続けるのであれば、危険性を最小化するため、最新鋭炉を新増設するとともに古い炉を思い切って廃棄するリプレースをするしかない。
 リプレースなしには原子力発電は、脱炭素化の選択肢になりえないのである。
 リプレースは、「原子力依存度を可能な限り低減させる」という政府方針とも矛盾しない。
 最新鋭炉を建設する一方で、古い炉についてはそれを上回るペースで廃棄すればよいからである。
 筆者は、リプレースによって、30年の電源構成に占める原子力の比率は15%程度に抑えることができると考えている。
 原子力を「脱炭素化の選択肢」にすると言いながら、情勢懇談会の提言も第5次エネルギー基本計画も、リプレースに関して言及を避ける方針をとった。
 リプレースには2030年の歳月を要するから、今、問題提起しなければ、30年はおろか50年にも間に合わない。

 にもかかわらず、リプレースヘの言及を回避した背景には、原子力についてはできる限りことを荒立てず、問題の「先送り」を決め込むという、政治家や官僚の思惑があると考える。
 日本の原子力開発は「国策民営」方式で進められてきた。
 福島第1原発事故のあと、事故の当事者である東電が福島の被災住民に深く謝罪し、ゼロベースで出直すのは当然のことである。
 ただし、それだけですまないはずである。
 国策として原発を推進してきた以上、関係する政治家や官僚も、同様にゼロベースで出直すべきである。
 しかし、彼らはそれを避けたかった。
 そこで思いついたのが、「たたかれる側からたたく側に回る」という作戦である。
 この作戦は、東電を「悪役」として存続させ、政治家や官僚は、その悪者をこらしめる 「正義の味方」となるという構図で成り立っている。うがった見方かもしれないが、その悪者の役回りは、やがて東電から電力業界全体、さらには都市ガス業界全体にまで広げられたようである。

 一方で、政治家や官僚は、火の粉を被るおそれがある原子力問題については、深入りせず先送りする姿勢に徹した。
 このように考えれば、福島第1原発事故後、政府が電力システム改革や都市ガスシステム改革には熱心に取り組みながら、原子力政策については明確な方針を打ち出してこなかった理由が理解できる。
 熱心に「たたく側」に回ることによって、「たたかれる側」になることを巧妙に回避しようとしたのである。
 誤解が生じないよう付言すれば、筆者は、電力や都市ガスの小売り全面自由化それ自体については、きわめて有意義な改革だと評価している。
 結果として、福島第1原発事故後7年余りが経過したにもかかわらず、原子力政策は漂流したままである。
 次の選挙・次のポストを最重要視する政治家・官僚の視界は、3年先にしか及ばない。
 しかし、原子力を含むエネルギー政策を的確に打ち出すためには、少なくとも30年先を見通す眼力が求められる。
 このギャップは埋めがたいものがあり、日本の原子力政策をめぐっては、戦略も司令塔も存在しないという不幸な状況が現出するに至ったのである。
 戦略も司令塔も不在であることのつけは、リプレース問題だけでなく、使用済み核燃料の処理問題にも及んでいる。
 使用済み核燃料の危険な期間か万年単位のままでは、いくら政府が前面に出ても、最終処分地が決まるはずはない。

 最終処分地の決定には危険な期間を数百年程度に短縮する「毒性軽減炉」の開発が必要不可欠であり、14年策定の第4次エネルギー基本計画は、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」をその開発のきっかけにすると位置づけていた。
 しかし、そのもんじゅは16年末に廃炉が決まった。
 今回の第5次計画の策定にあたっては、もんじゅに代わる毒性軽減炉開発のきっかけをどう明記するかが一つの焦点となったが、結局、抽象的な記述に終始し、ここでも問題は先送りされた。

 日本では12年末の総選挙以来、5年半にわたり与党の政権基盤が強い時期が続いてきた。
 しかし、結局その間にも原子力のリプレースが打ち出されることはなく、問題の先送りが繰り返された。
 これから政治状況は厳しさを増すだろう。
 資源小国の日本において、少なくとも現時点では捨てるべきでない重要な選択肢である原子力の未来が、「先送りの構造化」によって閉ざされようとしている。

 --ここまで--

 再生エネルギーなるものがあやふやな補助的なエネルギー源であるということを認識せよ。
 それを国民の反発を恐れ、次世代では再生エネルギーが中心だとか「夢のようなことを言っているのだ」。

 やはり、現時点で確実なエネルギー源は、原発なのだ---という点が重要だろう。
 だから。
 原発を建て直しつつ、再生エネルギーなるものが主流となる時まで、ひっぱっていかなければならないのだ—ということだ。

 原発の再稼働を急ぎ、また、原発の建替えを継続にし続けていこう。
 冒頭でふれた。
 日本にはまともなエネルギー源は存在しない。
 石油の出る可能性は低い。
 どこからエネルギーをもってくるか--は国家の命運を左右するほどのことだ--ということをもう一度噛み締めよう。