▲奇妙だと感じるのは、筆者の頭が古いからだろうなぁ。
どうも、日本の家電業界が大きな曲がり角に来ているということを如実に示したパナソニックの新規事業だと思える。
核心はなんだろう。
従前は、「こんな良いものを作った→買わないか」 てな話だってものが、「どこにお客がもとめる商品があるのか分からない。お客のなかでアレコレして売れる商品を探そう」てな感じとなったとでも解釈すれば、あたっているのか。
以下、新聞から抜粋。
インド発医療支援事業
パナソニックがインド発で医療支援事業を始める。病院を利用する習慣がない中低所得者層に。
スマートフォン(スマホ)のアプリを通じて病院を紹介する。
まずインドで事業展開し、将来は中東やアフリカなど新興国への拡大も視野に入れる。新興国ならではの課題やニーズを取り入れた新たな事業を現地で創出し、世界に広げるイノベーションの形をつくる。
パナソニックは今年度中にインド北部の10力所以上の病院と連携。
医師免許を持つ担当者が常駐するコールセンターを設けるとともに各病院に専属のスタッフを配置し、患者からの相談に応じたり、症状に応じて最適な病院を紹介する。
将来は患者や病院のデータを生かした、サービス創出につなげる。
拡大するインドの医療関連需要を取り込む。
サービスを開発したのは、インドのIT(情報技術)最大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズと共同運営する新規事業の創出拠点「インドイノベーションセンター。
現地のニ一ズにより密着した事業を迅速に生み出すことを目的に、2017年に発足させた。
これまでの製品やサービスは日本で開発し、海外に展開するモデルが多かった。
ただ今回、主な対象にするのは、インドの都市から離れた地域に住む中低所得者層。
廉価スマホの普及率が高い一方で、病院に通う習慣があまりないという。
医療環境が整った日本ではほとんどニーズがなく、現地開発だからこそ生み出せたサービスといえる。
今夏までにインド北部のウッタルプラデシュ州などで始め、早期にインド全土に広げる。
インドの全人口約13億人のうち、9億人程度がサービスの対象になると見込む。
インドと同じような商慣習や社会問題を抱える中東やアフリカなどの新興国にも商機が広がる。
患者はアプリ経由で来院すると治療費が通常の1~2割安くなる。
地方居住者の多くが利用する現地の小口融資の金融機関と提携し、アプリの利用を促す。
パナソニックも治療費の1割程度を手数料として病院から受け取る。
都市の外から患者を獲得したい病院側の要求にも応える。
インドは医療保険や戸籍制度の整備が遅れている。
パナソニックは集めた患者の通院歴などのデータを基に、将来は症状に合わせた医薬品の提案や、官公庁との協業といった新ビジネスの創出を目指す。
病院への販路も構築し、情報システムなどの販売なども視野に入れる。
新興国、技術革新の場にイノベーション(技術革新)を生む場は先進国だけでなくなってきている。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)がインドや中国向けに開発した持ち運びができる超音波診断装置が先進国でも受け入れられた例がよく知られる。
製品やサービスの開発を、需要やニーズのある新興国でする動きは日本企業にも広がっている。
いすず自動車はタイの開発拠点が主導し、新興国のニーズに合ったトラックの車体の開発に取り組んでいる。
三菱自動車も2015年に海外初のテストコースを開設したのはタイ中部チョンブリ県。タイから世界に輸出する車両の走行実験の拠点としている。
クボタも東南アジアでのニーズにあった農業機械を開発する目的で、約20億円を投じてタイに研究開発拠点を設けた。
村田製作所は交通情報を提供するサービスをアジアで始めるにあたって、夕イで実証実験を重ねた。
▲補足、感想など
なるほどなぁ、と思う。
最先端に立つということはこういうことなのだろうな。
一番前にでてしまえば、もう、目の前にはなにもないのだ。目標も先達もないしいない。
自分で「産みの苦しみ」を背負いつつ、新規事業を立ち上げなければならない—ということがよく分かる。
その産みの苦しみを「最も人口の多い地域」「医療という最も切実な領域」でする—というところに、パナソニックの賢明さが現れているのだろう。