2015年7月29日水曜日

中国、バブル崩壊 → 日本大接近。

いや、中国人は商売人ではある。
 形勢不利とみると、早速、方向転換してきた。

 なにかというと、中国のことだ。
 この数日前から、中国の新聞などの論調が変化してきた—と感じないか。

 なにか、日本へスリヨリ始めたのだ。中国のバブル崩壊を受けて。
 アイヤーナニスルヨ—てな話ではあるが、どうも、本気らしい。

 以下、新聞から抜粋。

 絶好調かに見えた中国経済が転換期を迎えている。
 「中国の株価に異常事態が起きたのは6月中旬。上海総合指数でみると、ピークは6月12日の5166ポイント。 7月には3500ポイントを切る事態になりました」)

 株価が3割以上の大下落。
 この間、3兆ドルの富が吹っ飛んだとも。
 「さらなる暴落を阻止すべく、中国政府は上場株の実に半分以上を取引停止に。また、上場している国有企業には自社株買いを要請。

 さらに"悪意ある空売り"を取り締まり。中国でも空売りは合法。それを"悪意"なんていうこと自体、めちゃくちゃな話です」

 一党独裁だからこそできる、こうした策を施しても、株価は今も3924ポイント(7月14日)と低迷したままだ。
 これは、「中国国内を揺るがしかねない事態」と、中国ウォッチャーにして評論家の宮崎正弘氏。

 「中国株の9割は個人投資家の所有、ほとんどは中国人。その数は2億人とも。
 しかも、約1年で株価が2.5倍になったものだから、株を始めた者が約4000万人にも」
その多くは低所得者層で、闇金業者の"まだ上がる!"の口車に乗せられ、借金してまで株を買っていると。

 「元手の5倍まで株を購入できる"信用取引"に手を出し、今回の暴落。借金を背負い、夜逃げや自殺者が出て来てもおかしくありません」

 事実、共産党中央宣伝部は、報道機関に"株式市場の問題が政治化するのを回避し、批判の矛先が共産党や政府に向かうのを防げ"と指示する通達まで出した。

 なぜ突然、中国株は暴落したのか?
 「中国政府は、不動産による好景気を推進。不動産バブルは崩壊寸前。今度は株にシフトした」

 金利引き下げを行い、資金を株式市場に誘導。かけ離れた株価の高騰が起きた。
 「株価上昇は政府の株価操作の賜物。いつか弾けます」

 ひとたび政府のコントロールが不能になれば、株も不動産も、バブルの大崩壊が起きる。
 「中国経済が壊滅せずに済んでいるのは、海外からの投資が減ってはいないから。
 当面は外資導入による経済発展を、当てにせざるをえません」

 しかし、2014年度のわが国の対中投資は約5000億円。
 「日中関係の悪化や人件費高騰により、同期比で、半減。これは中国にとって大きな懸念材料」

 こうした事態を受け、外交方針に、変化の兆しがあるという。
 「今月7日、人民日報の元編集主幹・馬立誠氏が論文を発表」

 馬氏といえば、02年、中国のオピニオン紙に『対日関係の新思考』と題する論文を発表し、
中国国内における狭隘な反日感情に疑問を投げかけ、波紋を呼んだ。

 「馬氏が公表した13年ぶりの続編は『中日和解は第2次大戦後70年の最良の記念である対日新思考を再び論ず』という表題。
 日中の和解には、中国の寛容さが不可欠と、対日姿勢を改めるよう促す内容です」
 さらに、宮崎氏は「実は株価暴落以前からも、中国は方針転換を図っていた」と。

 「AIIBに、日本にも参加してもらいたいという思惑あってのこと。日本が入ればAIIBの信用力が高まり、影響力も増しますから」
 それゆえ、日本へ大接近しているのだという。

 こうした変化は、外交の現場にも表れている。
 「安倍首相と習近平中国国家主席は、昨年11月のAPECと、今年4月のアジア・アフリカ会議中に首脳会談を行っていますが、態度の違いは歴然。

 APECのときの習主席は、苦虫を潰したような表情でしたが、アジア・アフリカ会議のときは笑顔で、安倍首相に握手を求めていました」
 拓殖大学教授の富坂聰氏は、中国の方針転換について、次のように背景を語る。

 「これには、中国が"脱露入米"という大転換が根底にある。
 それがハッキリしたのが、中国の李克強首相とウクライナのポロシェンコ大統領との会談。
 それまで、ロシアに配慮し、ウクライナに対する態度を鮮明にしていなかった中国ですが、初めて"ウクライナの主権と領土の保全を尊重する"と発言した」

 その結果、わが国への対応も改めたというわけだ。

 「加えて、中国人観光客の日本での"爆買い"が、中国内でも話題を呼びました。
 これにより、"国民は反日を唱えながらも、心は日本人を認めているのではないかとの見方が広がった。

 このことは外交宣伝、教育の失敗を意味している"と、中国のある外交官OBは、関係修復の動機を語ってくれました。
 中国の『抗日戦争勝利70周年記念行事』は政治色を弱めるのは間違いない」(富坂氏)


補足、感想など

 脱露入米—か。
 まぁ、ロシアのプーチンさんは、中国の習近平さんを馬鹿にしているからなぁ。
 その意味でも、相性が悪い。

 また、プーチンさんは、確かに愛国者で賢い人ではあるが、どうも資本主義というものへの理解が浅く、商売というものが分かっていない。
 この辺りを、中国人の元々もっている商売人の感性で見抜き、このままではどうにもならない、じゃ、というのでオバマさん(及び安倍さん)に近づこうとしている—というのが、「脱露入米」という意味ではあるまいか。

 中国人らしい才覚ではある。

 ただ。 
 アメリカからすれば、日本と中国が必要以上に接近することを防ぎたい—という思惑がある。
 一番、恐れているのは、日本プラス中国 で共通通貨を作られてしまうことだ。
 これで、下手をするとアメリカドルに代替する基軸通貨となってしまう可能性があるからだ。

 アメリカの強さの根本的な理由は、基軸通貨を押えているということだ。
 これがあるから、国という単体としてはどれだけ赤字であろうが、やっていけるのだ。

 1980年代、アメリカのキッシンジャーさんが、時の中国の江沢民さんへ「反日政策」を助言したのは、この「日本プラス中国による基軸通貨の出現」を恐れたためであろう。<いや、キッシンジャーさんの助言の部分は、まったくの筆者の推定だが--

 <ついでながら、このキッシンジャーさんの行動が、筆者の邪推の通りであるならば、改めてキッシンジャーというユダヤ人の頭の良さに敬服してしまう。あの天安門事件の後で、数十年先を見越し、巧みに江沢民さんの弱点を突き、中国に反日政策を取らせるなんぞ、並の頭でできることではないなぁ>

 だから。
 この中国の「脱露入米」という新トレンドは、アメリカがもっている「日本と中国を必要以上に近づけない」という思惑との「バランス」の中で行われる—ということに注意しなければなるまい。

 尖閣諸島を巡る「日中の角突」も、アメリカからみればどう見えるか—ということも頭の中で考えておくべきことだろうな。