2020年7月31日金曜日

中国の三峡ダム崩落危機をみて思う

中国の三峡ダムの危機を記事をみながら、日本の2011年の福島原発事故を思い出した。

 日本という国は、合理性・科学性というものを軽くみる国家ではない。

 それでも、福島原発の事故は起こった。

 直接の原因は、原発の冷却装置へ電気が行かなくなったことだ。

 原発内部の冷却装置への送電がストップした時、バックアップ装置として2つあった。

 一つが、ディーゼルによる自家発電だった。

 これは、外部にあった軽油タンクが津波により流され、ダメになった。

 二つめが、発電車であったが、ケーブル末端の取り付け金具が合わなかった。

 後から、なぜ、自家発電装置の軽油タンクを外に設置したんだ?という問に対して、設計したアメリカの会社は、そもそも津波なんて知らないし想定していないと答えた。

 当然だろう。

 また、原発の安全性を国民から疑われるような対応は、東電内部で厳しく拒否していたようだ。

 だから、原発内の修理ロボットの研究ような、東電内部で「安全を疑っていると勘ぐられる対応策」は最初から経営者は反対していたそうな。

 こういう「弱いところ」を狙ってというか、想定を超える規模の津波というものにより、施設に隠されてきた「弱点が露呈されて」事故につながった。

 中国人は、日本人よりはるかに、合理性・科学性・知的正直を「軽視」する国だ。

 その中国人が本来的にもつ「合理性・科学性・知的正直への軽視」という「弱点」が露呈したような三峡ダムの危機であろう。

 まず、記事をみよう。

  2020/07/30()

世界最大ダム崩壊危機…!武漢・上海の水没で3億人被災の可能性

中国・長江の水を堰()き止める世界最大の水力発電施設「三峡ダム」が、豪雨により決壊の危機に瀕している。

現地メディアの報道によれば、警戒水位を大幅に上回っているという。中国の地元紙幹部は本誌にこう語る。

「現在の三峡ダムは、普通のダムが決壊したときと同じレベルの量を放水しています。それでも追いつかず、水位は危険な状態のまま。しかも、毎秒㎥ずつ水を溜め込んでいる。水には土砂が混じっているので、ダムにかなりの負荷がかかっていると予測されます。近辺では微震が続いていますが、これはダムの地盤に重圧がかかっているからでしょう。まさに悲鳴を上げているんです」

いまインターネット上には’18年に撮影された三峡ダムの堤防が歪んでいる写真が拡散し、構造的な不具合や手抜き工事の可能性も指摘されている。さらに611日には、中国水利省の次官が、「ブラックスワン(予測不能な事態)が起こるかもしれない」と発言し、大きな波紋を呼んだ。

「かつて著名な学者が三峡ダムの脆弱性を指摘して年間の強制労働が課せられたことがあります。それもあって、現在もダムが決壊した場合の被害シミュレーションはタブーなんです。実際、ネットニュースでさえ実名で発言している識者は見当たりませんね」(前出・幹部)

もし三峡ダムが決壊すれば被害は想像を絶する。元住友商事総合研究所・中国専任シニアアナリストで、中央大学政策文化総合研究所客員研究員・中国観測家の北村豊氏はこう指摘する。

「他のダムも連鎖的に崩壊し、長江流域に住む億~億人が被災することになります。下流にある武漢、南京、上海にまで間違いなく水は流れ込み、都市機能はマヒします。流域のこのエリアは中国のGDPの約半分を占めており、経済的損失は計り知れず、また数十万規模の死者が出る可能性を否定できません。しかも三峡ダムは中国の年間消費電力の1割を発電しています。その点でも被害は甚大です。公開されている情報は少ないですが、『ブラックスワン発言』もあり、いまは楽観できる状況ではないということは、はっきり言えます」

7月半ばになっても中国全土で大雨は降り続いている。Xデーは来るのか――。

補足、感想など

 まだ、どうなるか分からない。

 ただ、この三峡ダムの建設にせよ、先の香港での国家安全法の制定にせよ、その決定の過程がいかにも杜撰(ずさん)で浅慮というか、まともに検討された気配がない。

 中国人の本来的にもつ民族性=合理性・科学性・知的正直の軽視 というものから、生まれたものであろう。

 合理性・科学性への軽視の反対にあるものは、お金さえあれば、お金さえばらまけば、情報なんぞ盗めば、ぱっくってしまえば、じゃまなヤツは脅せば、女をだかせれば、殺してしまえ---てな発想があるのだろう。

 長江の水は、脅しても、お金をばらまいても、殺すぞ---と脅しても、一向に効果はない。水の本来的にもつ物理法則に従って動くだけだ。

 そして。福島原発のバックアップ用の軽油のタンクは、想定外の規模の津波によって流されるのだ。

 人間からすれば、本来、弱点であるはずのないところが、潜在的に潜んでいた弱点として露呈してしまう。 

 技術者の端くれとして、三峡ダムの崩壊ということにならないように祈りたい。

 ただ、指摘しておきたい。

 この三峡ダムにせよ、香港の国家安全法の制定にせよ、中国人の本来的にもつ「合理性・科学性・知的正直の軽視」という性向がもたらしたものだということだ。

 中国人がもつ・中国人という民族が本来的にもつ「弱点」なのだ。

 その弱点を中国人は直視すべきだ。