2014年1月11日土曜日

尖閣諸島をあげたら—と英国人。じゃ、フォークランド諸島をあげたら。

英国人という民族は、黄色人種をどこか野蛮人扱いしているのだろうな。
 日本と中国の争いなども、極東の土人どうしで争っている—と見えるのだろう。
 尖閣諸島などという本当に使えるものかどうかも分からぬものを、劣等民族どうしで争って—と。

 まぁ、日本人なら、イギリス人のもつアジア人への優越感とか、上から目線の意味がよく分かる。
 それは19世紀後半、日本が明治維新というリセットを経て、坂の上の雲を目指しながら、坂を登っていた時(百年以上もあったのだ!)、いつも受けていた視線であるからだ。
 まぁ、2000年頃までの話ではある。

 ところが、中国人は英国の産業革命に200年も遅れて20世紀の後半、1980年代始めからトウ小平氏の改革開放政策を契機として、本格的に西欧化を目指した。
 トウ小平氏は言っていたそうだ。
 ”中国人なら日本人の数倍のスピードで発展できる”と。

 上の説明で分かることは、日本人は黄色人種の代表として矢面に立ち、百年以上もイギリス人から「蔑視」されていたということだ。
 対して、中国人は1980年代までは「人間として」見られていたかどうかも怪しい。
 しかし、1980年代以降、「日本人ができるのだから俺たちもできる筈」とか言って、低賃金労働に特化してここまでの発展を見せた。

 上で書いたように、西欧諸国からの露骨なアジア人への「蔑視」というものも、中国人では約20年くらいの期間であったということだ。

 <少なくとも、黄色人種に対する西欧諸国からの表面的な蔑視というものを跳ね除けるまでにできたのは、日本人の業績によろ。中国人からこの点、感謝されてしかるべきだと思う>

 で。
 中国人は、英国人のもつ黄色人種に対する「ものいいの皮肉ぽさ」をどうも理解できていないようだ。

 以下、新聞から抜粋。

 安倍首相の靖国参拝を受け、日中間の緊張が再度高まり始めた。
 1月に、英デイリー・テレグラフ紙で、劉暁明駐英中国大使が、 日本をヴォルデモート卿(「ハリー・ポッター」の悪役)に例えて批判。
 対して「中国もヴォルデモート卿になりえる」と、 林駐英日本大使が反撃。
 両者の舌戦は英BBCのテレビ番組へ持ち込まれた。

 【別々の部屋でのインタビューが条件】
 日中の駐英大使が出演したのは、BBCの「ニュースナイト」という生番組。
 通常は、パックスマン氏が ゲストたちを同じスタジオに一緒に迎え入れ、インタビューする番組だ。
 しかし、両大使は別々のスタジオでインタビューを受けた。
 BBCと日中の大使館が、安倍首相の靖国参拝と尖閣問題に対する大使らの議論がヒートアップすることを恐れたためだという。

 インタビューの内容は以下。
 まず、尖閣諸島について林大使は、 中国は尖閣の領有権を主張することで国際秩序を乱し、挑発と威圧で現状を変えようとしていると述べた。
 また、 日本の軍国主義化について、どの程度まで主権を守る用意があるのかと聞かれ、 「その質問は中国に向けるべきじゃないですか」と返した。

 中国の劉大使は、靖国参拝で中国国民は気分を害したと述べ、日本が尖閣諸島において 領土問題の存在を認めようとしないと主張した。
 また、チャーチルの「歴史から教訓を学ばぬものは、 過ちを繰り返して滅びる」という言葉を引用して、日本を批判した。

 劉大使は安倍首相の靖国参拝を批判し、 それが日本の軍国主義復活のシグナルだと主張した。
 尖閣問題に関しては、尖閣は古代から中国のもので、 尖閣問題は主権をめぐる道義上の問題であるとし、紛争には周辺海域の豊富な地下資源が絡むという考えを否定した。

 パックスマン氏は林大使に「尖閣を中国にあげれば?」、「地域全体、世界全体を危険に陥れるほどの価値が尖閣にあるの?」 と難問を浴びせたあと、「日本が軍国主義を復活させようとしているのか?」と付け加えた。
 それに対して林大使は、 日本の平和憲法と戦争放棄が核心である信条は変わらないと答えた。

 【日本は対話を求めているが、靖国参拝を擁護】
 フランスでは、小野寺防衛相と岸田外相が、安倍首相の靖国参拝を擁護する発言をしている。
 両大臣は、日本の目的はアジア太平洋地域の永続的平和構築だと述べた。

 小野寺防衛相は2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化したことで引き伸ばしとなっている、日中間のホットラインの設置を求めた。
 また岸田外相は、安倍首相は不快感を持たれた中国、韓国の方々に謝罪をしたと述べ、参拝は平和を祈るためだったと語った。


▲補足、感想など

 記事では、英国人のもつ「皮肉っぽさ」がよく出ている。
 --「尖閣を中国にあげれば?」、「地域全体、世界全体を危険に陥れるほどの価値が尖閣にあるの?」 --と。

 西欧諸国のエリート達の「黄色人種への視線」とはこのようなものだ。
 冒頭でふれたように、「極東の土人達が争って--」と見ていることがよく分かろう。
 日本人からすれば、「じゃ、フォークランド諸島」をアルゼンチンにあげたら—と反論する。
 あそこも、たしか地下に最近、海底油田が発見されたとか---

 まぁ、 
 イギリスという国家は、景気がいい訳ではない。
 それは階層社会というものが、一握りのエリート達と、考えることも学ぶことも期待されていない労働者層というものに区分されているからであろう。
 エリート達は、労働者へ向かって「俺たち考える人、あんた達は言われたことだけをやっていればいい人」と考えているのだ。

 でも。
 エリート達は特別優秀で考えることは得意でも、それだけでは、いい製品が生まれるわけはない。
 オレはこれだけ賢いのに、国全体ではうまくいかない—。

 で。
 皮肉っぽくなるし、日本のような階層の目立たない社会・国家に対して嫉妬に近い感情をもつ。<日本人と比較されると、西欧社会におけるエリート・上流社会の存在意義を疑問視されるのだろうな。だから、かれら西欧諸国におけるエリート達は、日本という国・民族の存在を認めることができないのだ>

 そのいい例が、このパックスマンとかいう人の「尖閣諸島をあげたら」--というものいいとなる。
 で。 
 日本人からは「じゃ、フォークランド諸島をあげたら」--となるのだ。

 中国人は、このイギリス人エリートからの黄色人種へ向けられた「皮肉っぽさ」が理解できまい。
 なんせ、1970年代末まで世界から「人間扱い」されておらす、人間扱いされ始めて、まだたった30年ではなか。