▲クルーグマン教授というユダヤ系の経済学者がアメリカにいる。
10年前くらいかなぁ。
なにか脂ぎっていて、ノーベル賞受賞ということを鼻にかけた傲岸不遜な?感じの学者だった。
ところが、5年ぐらい前からかなぁ。
その傲岸さが影をひそめ、なにか普通の学者風な印象となり、しゃべっている内容も、なにか自然体で表現するようになった。
肩の力が抜けた—といってもいいかな。
日本の経済を論じるときも、かっては上から目線でものを言っていたのだが、このところ、こう普通の横からの目線で物言いするようになった。
聞く側からしても、随分、聴きやすくなってきた。
そのクルーグマン教授が、日本経済について論じている。
言っていることも、傾聴に値するようだ。
以下、新聞から抜粋。
クルーグマン氏は答えた。
女性活用が遅れた日本にチャンス
私が昨年来日していたときに黒田日銀総裁は「物価安定の目標を早期に実現するため、できることは何でもやる」とデフレ克服に向けて決意を表明した。
今日本にとってもっとも必要なことはデフレマインドに戻らないことだが、企業が低価格戦略を打ち出さないことも重要である。
国民がインフレマインドにならない限り、消費は伸びない。
消費が伸びないかぎりデフレから完全に脱却することはない。
私が恐れているのは、「臆病の罠」状態だが、黒田氏はその罠に陥らないように「サプライズ追加緩和」を発表した。
女性活用については、黒田氏がインタビューで述べている。
「経済成長を高めるにはさらに3つの変革が必要だ」として、
「一つは民間セクターが資本投資(設備投資)をもっとする必要がある。
2つ目は労働力はもっと高齢者層と女性を参加させる必要がある。
3つ目は生産性を上げるために規制緩和と構造改革が必要である」
と言っている。
女性の活用については安倍首相も奨励しているが、日本で女性が労働力に参加するのが遅れていたという事実は、
むしろ近い将来女性がもっと参加することで潜在成長率がかなり伸びるチャンスがあるということである。
これは移民を受け入れることにも当てはまる。
アメリカでは女性はすでに重要な労働力になっているので、
もっと女性を労働力に入れると言っても景気はそれによってよくならない。
日本が欧米化するのは文化的に難しいと思うが、日本には最善の結果を期待している。
世界経済はこの先いったいどのような未来を描くのだろうか。
米国経済はかなり雇用を復活させて欧州経済と比べるとはるかに強い。
ガソリン価格が急速に下落しているので、その分消費者に余裕が出てきている。
昨年10月、FRBは米連邦公開市場委員会で、
QE3(量的金融緩和策)の終了を発表、これは米国経済の回復がはっきりしているということだ。
現在の焦点はFRBがいつ利上げに踏み切るかに集まっている。
今年半ばには踏み切るという観測も出ているが、これは米国経済が回復している証拠である。
昨年9月の失業率が5%台にまで改善したことも米国経済の復活の証拠である。
とはいえ、米国の労働者の賃金が上昇する前に利上げに動くと米国経済が失速する可能性が出てくる。
利上げのタイミングは米国経済にとって決定的に重要である。
▲補足、感想など
日本の女性、高齢者の活用は、移民を受け入れることに相当する—か。
その通りだな、と感じた。
今年の日本の経済は、当然、内需が主体であろうが、アメリカ経済の回復の度合いにも影響されるのだろうな。
アメリカ経済の回復にも助けられ、日本の景気回復もゆっくりでも上昇していくのだろう。