▲この流れ、かってのh2oグループの料理の名称の詐称とよく似ている。
阪急・阪神グループの末端の店舗で、「羊頭狗肉」をしていたという事件だ。
店舗の責任者が、アレコレ、ことを小さくしようと試みて、返って、阪急阪神グループ全体に対する不信感を植え付けてしまった。
結果、グループ企業に勤務している一サラリーマンまで、会合で、一言謝罪しなければならない—という状況に追い込まれた。
今回でも、ことを小さくしようとして、末端に対処を任せてしまうから、結局、「オレしらないよ」という対応に終始してしまうのだ。
最初から、学長が、部長・コーチから説明を受けて、学長が前面にでて謝罪し、部長・コーチを罷免する—とすれば、それで終わりなのだ。
組織なのだから、最後は学長が責任をとるしかないのだ。
おそらく、最初の時点で、学長が判断を誤っているのだ。
今まで、この類の事件で、末端で処理するものではない—ということが、上の阪急阪神グループの事件の顛末をみていても分かりそうなものだ。
はっきり言おう。
この事件の紛糾は、日本大学の学長の判断ミスだ。
以下、新聞から抜粋。
どうしてこうなってしまったのか。
5月6日に行われた日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボール定期戦で起きた危険タックルを巡る事件。
プレー時のビデオを見る限り、刑法上の傷害罪に該当しうる悪質な行為が本件に存在したことは確かでしょう。犯罪はもちろん悪いことです。
ただ、2017年の統計を見ると、国内で傷害事件は年間2万3286件発生しています。さらに重い犯罪である殺人罪ですら年間920件発生しています。にもかかわらず、本件の現在のメディアによる取り上げ方は、どの殺人事件よりも大きいといえます。
世間は真摯な会見を行った加害選手に同情的である一方、コーチ、前監督の会見における司会者(日大広報部職員)の驚くような対応もあって、日大に対しては厳しい目線が注がれています。
これは淡々と事実を追っていた第三者である私にとっては、予想を超えるような展開でした。
日大の関係者にしてみれば、まさかの展開だったのではないかと想像します。
日大はどこで判断を誤ったのでしょうか。
■ディフェンスラインを適正に敷けたか
※省略
■「何をしたのか?」「誰に責任があるのか?」
※省略
これは、当初は日大が「悪いことはしていない」と考えていたためでしょう。一般に、学生スポーツの反則が日本を揺るがすようなニュースになることは原則ありません。
日大としても、手を打たずとも解決できる、という見通しだったのかもしれません。
ビデオの存在は明らかで、世間からの追及も、翌日にはネットが炎上し、10日頃から大手メディアの記事にもなり始めていることを考えるとディフェンスラインとしては完全に誤っています。
■「悪いことはしていない」と高をくくっていた?
※省略
■加害選手は日大と利害を争う最大の存在に
※省略
加害選手が15日、日大によりスケープゴートにされることを拒んだ時点で、彼は「自分は監督・コーチの具体的な指示によって違反プレーを行った」とディフェンスラインを敷きます。
実は本件は「関学VS日大」ではなく、「加害選手VS日大」という内戦の様相を呈してきていることになります。
こうなると、「あっちに責任がある」ということを加害選手・日大が押し付けあうことになります。
加害選手のことをもっと考え、離反を防ぐことができていれば大学の言い分をある程度聞いてもらった上での口裏合わせもできたかもしれません。
■加害選手と前監督・コーチが抱えたリスク
※書略
加害選手の会見はリスキーなものでしたが、その賭けには勝ったように見えます。真摯に、反省の弁を述べつつ、事実関係としてキーになる部分では監督とコーチの「相手のクォーターバックとは知り合いなのか」「関学との定期戦がなくなってもいいだろう」「相手のクォーターバックがケガをして、秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう。これは本当にやらなくてはいけないぞ」「やらなきゃ意味ないよ」「『できませんでした』じゃすまされないぞ。わかってるな」といった具体的な発言を引用することで明確にしつつ、感情的な糾弾は行わなかった。
この質疑応答は、「視聴者に監督とコーチの責任を強く印象付けながら、それでいて監督やコーチを責めていない印象を与える」と視聴者には見えました。世間は加害選手に対してきわめて同情的になります。
■加害選手、前監督・コーチの会見の明暗
対して前監督・コーチによる記者会見はお粗末なものでした。視聴者がわずかに期待したのは前監督が具体的な責任を認め、謝罪する姿だったのですが、前監督は指示を認めていません。コーチが一部曖昧に責任を認めましたが、逆に事前から勘繰られていた前監督によるしっぽ切りのイメージだけを残しています。
※省略
■教職員や現役学生、卒業生をも巻き込んだ
広報部に所属する司会者がメディアに「あなたのせいで日大のブランドが落ちますよ」と言われ「落ちません!」と即答したとき、前監督・コーチと広報部は悪い意味で一体になっています。
日大という、全国に知れ渡った教育機関のブランド全体が毀損した瞬間です。大学の規模やこれまで積み重ねてきた歴史を考えると、この損失は極めて大きいと言わざるを得ません。
※省略
また、別の記事から。
2018/05/24(木)
日大、学生に「大学のイメージ下げる行動は慎んで」と通達
悪質タックル問題に揺れる日本大学。内田正人前監督や広報部の対応に批判が集まる中、学内では、学生に向けて”日大のイメージを下げるような行動は慎むように”という通達が出されたという。同大に通う男子学生は「大学側が自分たちでイメージを悪くしているのにおかしい」と憤る。
大学側からの連絡は、ゼミの教授を通して学生に伝えらえた。
その内容について男子学生は、「歩道で広がって歩いたり、信号を無視したりしてキャンパス近隣の住民に迷惑を掛けないように言われました」と話す。
マスコミからの取材依頼は無視するように指導
マスコミの取材も一切受けないようかん口令が敷かれている。
別の学生がツイッター経由で取材を申し込まれて教員に相談したところ、無視するように指示されたという。
今回の騒動で同大全体のイメージが悪化しているが、特に危機管理学部への風当たりが強まっている。橋下徹・元大阪都知事も5月23日、監督とコーチの記者会見に対し、
「危機管理対応の記者会見なのに、あの司会は何なんだ?ほんと日本大学の危機管理能力は全くないな。日本大学危機管理部は何してる!!」
とツイートしていた。前出の学生はこのツイートにも問題を感じているようだ。
「危機管理学部自体は今回の騒動と関係がありません。それなのに『危機管理ができてない』と叩かれて同学部の学生たちは肩身の狭い思いをしています。橋下さんのツイートは完全なトバッチリです」
内田正人前監督は23日夜の記者会見後に都内の病院に入院した。心労と不眠での入院と報じられているが、学生は逃げているだけではないかと推測する。
「周りから叩かれたり、報道陣の取材に答えたりするのを避けたいのでしょう。逃げだと思います。辛いのはタックルをさせられた選手の方じゃないですか」
▲補足、感想など
冒頭でふれた。
この事件、どうしても日大の学長が前面にでて、最後の「詰め」をするしかない。
学長が謝罪し、同じ様な事件を起こさないことを誓約し、担当していた部長・コーチは罷免するという形をとるしかあるまい。
罷免といっても、日大は巨大なグループであろうから、どこにもはめこむことができるではないか。
単に、個人、部長、コーチの責任にするのではなくて、日大として謝罪し、同じことは起こさないと誓約すれば、ことは納まるし、日大の名誉・ブランドも守ることができる。
なにより、日大のブランド・名誉を守れ。それが一番大事なことだ。