2018年5月11日金曜日

フランスが欲しがる日産


もう遥かな昔の話だ。
 1980年代だったか。
 フランスのある技術者が、日本人に対して、頭を下げて教えを乞うなんて、死んでもできない—とか言ったとか記事に出たことがある。
 黄色いサルに教えが乞えるか---ということだろうな。

 で。
 ルノーというフランスの半国営会社がある。
 ルノーの業績が芳しくないため、日産の支配を強めて、例えば、ルノーと合併させたい—てな思惑があるのだろう。
 まぁ、ハッキリ言えば、ルノーと日産が合併したら、日産は潰れるぞ。
 フランスのアホアホ技術者と組んで車なんぞ、造れるものか。

 まず、表題の記事から抜粋。

 カルロス・ゴーン氏が仏ルノーから派遣され、日産自動車の経営を担うようになって日本人の多くが覚えた英単語がコミットメントだった。
 日産は「必達目標」という訳語を当てたが、同書を読むと誤訳ではないかと思えてくる。
 フランス人にとってコミットメントは恐らく「奉仕」だ。
 奉仕とはなにか。文字通り、仕えること、貢献することだ。
 マクロン氏の場合は「フランスという国家や共和制という伝統的仕組みに自らの献身は向けられている」と言うが、同じ文脈で同氏が求めているのが「国民の国家への奉仕」 「企業の国家への奉仕」だ。

 日産は仏政府が15%出資するルノーに様々な形で奉仕した。
 例えば、配当だ。
 ルノーは1999年に日産の筆頭株主になって以降、同社から受け取った配当金が計6千億円を超えた。
 連結決算に計上した日産の利益も2兆5千億円以上(日産の純利益のうち出資比率分の累計)に上った。
 今後はもっと奉仕を求めたいということか。
 ここにきて仏政府と日産の問題が再びクローズアップされている。
 同政府はルノーに日産と合併ないし経営統合することを求め、日産への影響力を強めたい考えだと言われている。
 マクロン氏や政権関係者が公式に表明したわけではない。
 だが、現在ルノーのトップと日産の取締役会会長を務めるゴーン氏は4月に来日した際、「ステークホルダー(仏政府やルノー)にはああしたい、こうしたいという考えがあり、もうー方(日産)にはこうしてほしくないという不安や懸念がある」と語っていた。
 資本関係に関わる話が現実に持ち上がっており、今年から来年にかけて従来の関係に大きな変化が訪れる可能性がある、ということだ。

 最後は民間企業同士で決める話だ。
 だが問題点を指摘するとすれば、政府の関与だろう。
 仏政府は伝統的に主要企業の株を保有し、官僚出身者を送り込んで経営に影響力を行使してきた歴史がある。
 世界的に最も議論を呼んだのは2014年の「フロランジュ法」の成立だ。
 リーマン・ショツク後に相次いだ鉄鋼メーカーなどの工場閉鎖を食い止めようと編み出された法律で、株式を2年以上保有する株主の議決権を2倍に増やす、というものだった。

 議決権が2倍になれば、政府は企業の動きに介入しやすくなる。
 あるいは財政再建のため、保有株の半分を売却しても従来と変わらない議決権を維持できる。
 ルノーでも仏政府は保有比率を15%になるまで株を売却したが、議決権は30%と高いままだ。
 主導したのはオランド政権下で経済産業デジタル相だったマクロン氏だ。
 ルノーと日産の合併や経営統合は当時からくすぶっており今回はゴーン氏の引退か、任期延長かを巡る人事のタイミングで再び仏政府が動き出した格好だ。
 日産への関与を強めたい背景にはトランプ政権の米国第一主義や中国の国家資本主義が影響している可能性もある。
 だが、自国第一主義を強め、力ずくで合併や経営統合を迫るとしても、本当にフランスやルノーにとって長期的な利益をもたらすだろうか。
 ルノーと日産がこれまで目指したのは合併でも買収でもない第3の道。
 アライアンスと呼ぶ体制だ。
 日産にとってルノーは大株主だが、日産はルノーの言うことを何でも聞いたり、犠牲を強いられたりする関係ではなかった。

 ゴーン氏は両社のトップを兼務した05年以降、「ダブルハツト(2つの帽子)」という手法を採った。
 例えば、ルノーの会議では日産の情報を一切口にしない。
 パソコンやブリーフケースを分け、時間配分ち同じになるように秘書が時計で計った。
 それだけやって実現したのが「独立した企業同士ながら一社のようにシナジーを出す」アライアンスだったわけだ。
 もっとも、ルノーの株価は思ったほど上がらず、「合併でも買収でもない体制がわかりにくい」と批判する株主もいた。

 その一つが仏政府であり、ゴーン氏はここ数年、同国国会に何度も呼ばれている。
 ただ、議決権の扱いを見ても政府の関与が強すぎるのは、本来「1株1議決権」を旨とする資本王義の根幹を揺るがす問題だ。
 ルノーと日産の関係を見直すなら、「半国営」とのイメージが強いルノーと仏政府の関係を見直す好機でもあるだろう。
  一案としては、ルノーと日産が今後の出資関係を話し合う前提として、仏政府がルノーの持ち分を一度売却することかもしれない。
 あるいはフランスが国としてどうしても日産を傘下に置きたければ、ルノーを通じて新たな成長戦略を示し、TOB(株式公開買い付け)などで他の日産株主の判断を仰ぐことだろう。
 日産とルノーの問題は近く予定される安倍・マクロン会談の議題の一つになる可能性もあるという。
 だが、民間企業の交渉ごとは民間に任せ、両政府はできるだけ遠巻きに見守るのがいい。

補足、感想など

 そもそも、西欧諸国における階級社会の人間は、技術者に向かない。
 私、指図される人—という発想だからだ。そもそも、下流社会にいる人間は、考えることを他者から求められていない。
 そんな人間が技術者に適性があるわけがあるまい。

 最近のルノーの記事を見てみようか。

 --ここから--

2014/05/26()
【ルノー・日産アライアンス】 仏ルノーの赤字を日産が補填
 続投ゴーンCEOが敷く背水の陣
 カルロス・ゴーン・ルノーCEOの続投が決まった。だが、欧州危機が直撃した ルノーの業績は低迷している。
 近年は日産自動車への依存体質が抜けず、両社の均衡が崩れている。
 430日、仏ルノーが株主総会を開催し、カルロス・ゴーンCEO(最高経営責任者)の取締役再任が決まった。
 任期は4年。CEO職を兼務する日産自動車の中期経営計画の終了時(20173月)での 退任が予想されていることから、ルノーCEOとしての任期は今回で最後となる公算が大きい。

 ルノーが、経営危機にあった日産を救済するかたちで資本提携を締結したのは1999年のこと。
 それから15年。両社の立場は逆転した。ゴーンCEOの経営手腕で日産が復調した一方で、 欧州危機に見舞われたルノーの業績は低迷している。
 それに伴い、 近年ではルノーによる日産への依存体質が顕著になっている。
 まず、数字を見れば明らかだ。1312月期決算で、 ルノーは当期純利益820億円(58600万ユーロ)と最終黒字を確保した。
 だが、日産からの持分利益2097億円(149800万ユーロ)の貢献がなければ、最終赤字に転落していたところだ。
 詳しく見てみよう。ルノーの決算資料によれば、 通常、日本語では“営業利益”と訳す二つの勘定科目の金額に極端な差がある。
 Operation Profit1739億円の黒字、Operation Income48億円の赤字となっている。
 「一般的には、海外企業の場合、一時的な費用・損失であっても営業費用(販売費及び一般管理費) の一部と見なされて営業利益の増減に影響する。

 だが、ルノーのように例外的に、 それと切り離されることもある」(大津広一・米国公認会計士)という。
 ルノーの場合、「『一時的に発生する収入・費用』が13年は▲2042億円、 12年は▲839億円と2期共に巨額で、実質的には一時的費用ともいえない」(同)。
 ちなみに、イラン向け債権の貸倒引当金、構造改革費用などが含まれている。
 ともかくも、実質的な営業赤字48億円を日産の黒字で補填している状態なのだ。
 もっとも、今回の協業強化を疑問視する日産幹部は少なくない。
 「協業と言えば聞こえがいいが、要するに、日産の経営資源を利用して、 病み上がりのルノーを救済するスキームだ」(日産幹部)と断じる。

 また、別の幹部は、「日産からルノーへの救済支援を取り付けること。
 これが、ルノーの筆頭株主であるフランス政府が、 ゴーンCEOに突き付けた取締役再任の条件だった」とも言う。
 今後、協業を深化させる過程で問題になりそうなのが、 日産が強い事業・地域における衝突である。
 日産の“持ち出し”が多くなれば、 日産の成長戦略に狂いが生じるからだ。

 例えば、中国事業がそうだ。
 ルノーは日産に10年近くも遅れて中国へ参入する。
 日産の中国事業は 日系メーカーの中でシェア首位を堅持するほど順調そのもの。
 昨年進出したばかりのルノーが日産に、おんぶに抱っこの状態になることは目に見えている。
 もちろん、協業強化を担当する「アライアンス」プロジェクトには、 北米でキャリアを積んだ山口豪副社長が開発トップに就くなど、 エース級を配置しており、何でもかんでもルノー救済ありきという基準では進まない。
 だが、日産の最高意思決定機関・エグゼクティブ・コミッティメンバーの中で、 ゴーンCEOに進言できるのはアンディ・パーマー副社長くらい。
 グループ内競合で、エネルギーを浪費することにもなりかねない。

 何より、最も懸念されるのは、日産自身の成長戦略に 黄信号がともっていることだ。
 143月期決算では、世界シェア6.2%、 営業利益率は4.8%となった。
 ゴーンCEOは「投資が終わり刈り取りの時期に入る。
 世界シェア8%、営業利益率8%の目標を下げることはない」と息巻くが、 現実のハードルは高い。背水の陣を敷くゴーンCEOの悩みは深い。

2017/03/16()
 フランスの自動車大手ルノー(Renault)が25年以上にわたり、ディーゼル車とガソリン車の排ガス試験で不正行為を行っていたことが15日、AFPが入手した仏不正捜査当局の報告書で明らかになった。
 カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)最高経営責任者(CEO)を含む経営幹部もそれを認識していたとしている。
 ルノー側は不正を否定している。
 報告書は、ゴーン氏を含むルノーの経営陣全体が「詐欺的な戦略」に加担していると指摘している。
 この報告書に基づき、仏検察当局は1月に同社の捜査に着手している。

 ルノー側は疑惑を全面的に否定している。
 AFPの電話取材に応じたティエリー・ボロレ(Thierry Bollore)チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)は「ルノーは不正を働いていない」と述べ、ルノー車はすべて法定の基準に従っていると強調した。
 報告書はルノーの排ガス制御に関する決定に関して、ゴーン氏が承認を他の人物に任せた形跡がない以上、最終的には同氏の責任になると記している。
 報告書によると、試験中に有害物質の排出量を少なく見せる装置が「多くの車両」に搭載されていた。
 路上走行時の排出量は試験時に比べ最大で377%多かったという。
 報告書は最近発売された車を主な対象にしているが、ゴーン氏はルノーの元従業員の証言も踏まえて、こうした不正が1990年から行われていたとみている。

2017/09/29
 数年前、関越でいきなり止まったニッサン車にトラックが追突し、乗っていた家族が死亡した事件があったが、車がいきなり高速で止まるなんて、聞いたことが無かったので、注目していたが、なんの説明もなかった。
 その後、韓国製部品が多く使用されていた車種であることが分かった。
 ゴーンは韓国部品の採用で、品質及び信頼性ばかりか、ブランド力を下げてまでも、ルノーの為に日産を食い物にしている。
 また、フランスルノー工場を助け るため、インドのマイクラ(マーチ)工場を、生産性の悪いフランスに移し、ルノーの雇用を守るとは馬鹿げている。

2018/03/08
 日産自動車(7201.T)が、フランス政府保有のルノー(RENA.PA)株15%の大半を買い取る方向で協議していることが、関係筋の話で分かった。
 関係筋3人によると、日産会長のカルロス・ゴーン氏が示した提案を巡り、両社と政府当局者らが話し合っている。
 ただ、合意にはなお大きな障害があり、政府の承認もまだ得られていない。フランスと日本サイド双方の利益を均衡させる必要があるという。
 日産・ルノー連合の広報担当者は「メンバー各社の株式持ち合い比率を変更する計画はない」と話した。
 フランス財務省の当局者は、ルノー株を日産に売却する用意があるとの指摘を全面否定した。

 仏政府保有のルノー株、日産が買い取りに向け協議=関係筋© REUTERS 仏政府保有のルノー株、日産が買い取りに向け協議=関係筋 同筋によれば、統合推進に向けた準備段階として、オランダの暫定組織が日産、ルノーと三菱自動車(7211.T)の経営を監視する仕組みも提案した。
 ルノー株終値は約5.6%高の94.44ユーロ。
 日本側の市場ルールに基づくと、日産がルノーへの出資比率を現在の15%から25%以上に高めれば、ルノーは日産の議決権をすべて失うとされる。
 フランス政府がルノー株の大半かすべてを売却すれば、マクロン大統領にとって政治リスクとなる可能性もはらむ。
 同筋によると、同国政府は影響力を失うことに加え、統合グループの本社所在地によって、雇用や税収などに影響が及ぶとの懸念もなお抱いている。
 フランス政府が提案を受け入れるためには、雇用や投資、経営参加のほか、主要な戦略決定を巡る拒否権付きの「黄金株」などの分野で、強力な譲歩や保証が必要と、同筋は話している。

 --ここまで--
 
 記事を読めば、日産がルノーの尻拭いをしていることがよく分かる。
 冒頭でふれたように、階級社会の人間は、技術者に適性がない。なんせ、考えることを周囲から求められていないのだから。

 階級社会のフランスが、日産をこれ以上支配することは、日産を潰すことと同じだろう。
 どこかで、日産からの反発があるものを思える。