2016年10月25日火曜日

どうも、中国経済がきな臭い

もう、アブナイ信号が一杯でているようだ。
 うめき声がアチコチから聞こえてくる感じがする。

 えっと、社会主義的資本主義なる「ぬえ」のような構造が、資本主義が本来的に持つ「合理性」によって、傾いているということだろう。
 中国だけならば、どんな鵺(ぬえ)のような構造であろうとも、問題は発生しない。

 でも、アメリカを相手にし、日本を相手にし、ヨーロッパを相手にすると、計画経済ならごまかせるところが、資本主義が内在する合理性によって「中国のごまかし」を許さないのだ。
 こうして、中国経済が「きな臭く」なった。

 以下、新聞から抜粋。

 最近、ウォール・ストリート・ジャーナル紙といったメディアで中国経済の先行きを不安視する報道が相次ぐ。
 国際通貨基金(IMF)が中国の過剰債務問題について懸念を表明し、経済指標も冴えないことから、中国経済の先行きにつき警戒感を強めた。

IMFが再び警告、過剰債務問題で成長率の急減速を懸念
 IMF10月のリポートで、中国の信用の伸びは標準から見て「非常に速い」と指摘し、戦略を講じて債務問題に対処しなければ、金融危機を招き、GDP成長率が急減速するとの見方を示した。
 8月、中国経済に関する年次審査報告書でも、企業債務が拡大する問題に取り組むよう促すなど、IMFは過剰債務問題に対して繰り返し警鐘を鳴らした。

 しつこく警告している背景に、中国政府が問題に迅速に対応している様子がうかがえないこと、日本やタイなどで発生した金融危機との類似性に着目すると中国の状況は既に臨界点に達していることがあります。
 中国の企業債務残高は2015年末に国内総生産(GDP)の144%となり、150%程度だった日本のバブル期並みの水準に達し、現在では169%と日本のバブル期を追い越した模様で、2021年には210%へと膨らむことが予想。

 中国の銀行の9月の企業融資は12,200億元と、8月の9,487億元から拡大し、企業債務残高は膨らみ続ける。
 IMFは中国政府が行動した場合、2017年のGDP成長率は一時的に6.0%を下回るものの、中長期的には6.5%を回復できるとする。
 一方、対策を講じない場合、不良債権問題が成長の足かせとなり、5年でGDP成長率は5.0%程度まで低下すると予想。さらに、金融危機が発生したとき、3.0%以下へと急降下するとしています。

3年以内に金融危機が起こる恐れ
 IMFBISも同様な指摘をする。BIS9月に公表したリポートで、中国の過剰な与信の伸びが、3年以内に金融危機に陥るリスクを高めていると警告。
 BISのリポートによると、金融の過熱感を示す早期警戒指標となるGDPに対する総与信比率と長期トレンドとのギャップが30.1%ポイントとなり、「今後3年間で金融危機が起きる」シグナルとされる10%ポイントを上回る。

WSJは住宅バブルに警鐘
 10月のWSJでは、中国での住宅バブル、特に住宅購入者への安易な信用供与に警鐘を鳴らす。
 新規融資に占める住宅ローンの割合は7-9月期に60%へと上昇、4-6月期の47%、1-3月期の23%から急拡大、背景として銀行がほぼ無審査で住宅ローンを提供している実態が紹介。
 平均的な年収の家計が何年で住宅を購入できるかを計算してみると、深センで41年、北京で34年、上海で32年となっており、東京の23年、ニューヨークの15年などと比べて著しく長いことから、住宅ブームが過熱していることを示唆。

✦下げ足を速める人民元を注視
 数週間のマーケットの動きのなかで最も警戒が必要なのが人民元の動き。
 人民元は9月まで1ドル=6.6元台後半で推移、10月に入って下げ足を速め、1020日現在は6.7元台半ばと、20109月以来6年ぶりの安値圏にある。

 一方、9月の外貨準備高は31,660億ドルと前月比188億ドル減少した。
 減少は3カ月連続で、20115月以来54カ月ぶりの低水準。
 外貨準備高は20146月の約4兆ドルをピークに、2年で20%以上減少。人民元を支えるために介入を実施している模様ですが、10月に入り人民元安が加速していることから中国からの資金流出も拡大しているのではないかと不安視。

 ソシエテ・ジェネラルは、人民元が今後1年で1ドル=7.1元に向かうと予想し、ドイツ銀行が13日のリポートで2017年末に7.4元、2018年末には8.1元との見通しを明らかにし、人民元の先安観が広がる。
 ドイツ銀行は数カ月は資金流出の勢いが強まるとし、20171-3月期のGDP成長率は6.2%に低下すると予想。

GDPは安定しているが、輸出は振るわず内需にも不安
 中国のGDP成長率は7-9月期まで3四半期連続で6.7%と非常に安定。中国政府は今年3月、2016年から2020年までの5年間の成長目標を6.5%以上とすると発表、2016年についてはクリアすることが間違いなさそう。

 来年以降、過去の高度成長を支えてきた輸出が落ち込み、高い成長の維持を困難にする恐れがある
 9月の貿易収支は420億ドルの黒字と、予想を下回った。輸出が前年同月比10.0%減と、予想を下回ったほか、輸入も1.9%減と予想に反して減少し、外需と内需がともに弱かったことを示す。 
 1-9月の累計では輸出が前年同期比7.5%減、輸入が8.2%減となっています。

 人民元安を放置するのではないかとの見方もあるが、これは中国からの資金流出を加速する恐れがあり、もろ刃の剣。
 中国政府は住宅価格抑制への動きを本格化させ、住宅価格の上昇は早晩頭打ちになることが見込まれ、不動産投資も勢いを失う。
 小型車への優遇税制も年内に終了、駆け込み需要から年内の自動車販売は堅調が見込まれる一方で、年明け後は反動減が警戒されています。

 中国経済を支えてきた不動産投資や自動車販売の先行きが怪しくなり、来年以降の見通しには慎重さが求められるかも知れません。


補足、感想など

 追い詰められ、金不足に苦しんでいるのだが、人民元がsdr 入りしたことで、人民元がドル円なみに世界に流通するのではないかと望みをかけているようだ。

 --ここから--

2016/10/22()

✦人民元は形だけの国際通貨
 101日、人民元がIMFの定める準備通貨・SDRのひとつとして採用。
 これにより、人民元が「国際通貨」の仲間入りを果たす「お墨付き」を得たと報じるが、そう単純な話ではない。
 この話のウラに、中国経済が抱える「重大問題」が隠される。

 そのことを理解するには、人民元の動向は中国が主導するAIIBの動きとセットであるということを押さえておく必要がある。
 というのも、中国が目論むのは、AIIBを通じてアジア各国にインフラ投資の実績を残すこと。
 そして人民元をアジア各国に広め、国際金融市場で存在感を高めることで、人民元の国際通貨化を実現させようとしている。

 そんな鳴り物入りで15年にスタートしたAIIBだが、実績は4つの事業に対して融資額が5900万ドル(約500億円)。
 国際金融機関としては「少額」だ。

 この融資に留まっている原因は国の「信用力」にある。
 AIIBは、参加国から募った出資金と、国際金融市場で発行した債券で原資を調達し、貸し付けを行う。
 このとき最大の出資国である中国の信用力が反映され、それは日本などと比較すると低い。
 ために、AIIBの債券は国際金融機関としては異例の「格付けなし」の状態に陥っている。

 だから、AIIBの貸出レートは、日米が後ろ盾のADB(アジア開発銀行)の貸出レートより1%も「割高」。アジア経済を支援するために設立された金融機関が、逆に余計な「負担」を掛けている。
 そんなことで人民元をアジアに広げることすらままならない。

 しかも、仮にAIIBが軌道に乗っても、人民元が国際通貨になることは当面ないという点も強調したい。
 理由は、中国がいまだに「一党独裁体制」を取っているからだ。

✦「自由化」へのジレンマ
 そもそも国際通貨とは、国際取引や為替取引に使用される通貨のことで、ドル、ユーロ、ポンド、円などが国際通貨の扱いを受けてきた。
 国際通貨として機能を果たすためには、(1)経済大国であること(2)発達した為替・金融資本市場を持つこと(3)対外取引の自由・透明性が確保できていることが条件になる。

 人民元の場合、特に(2)為替・金融資本市場は未発達で、(3)対外取引自由には依然不透明な部分が残るなど、「経済的自由」に難がある。
 しかも、この自由を制限しているのは、中国政府そのもの。
 為替の自由化は資本取引の自由化と背中合わせ、これを進めるには、国有企業の抜本的な改革が必要だ。

 ただし、もし国有企業が民営化すれば、今度は政党選択という「政治的自由」を国民は求める。
 そうなれば、今の一党独裁体制が揺らぐ可能性があり、政府はこれ以上の自由化を渋る。
 そもそも中国がAIIBと人民元の国際通貨化を推し進めてきた背景には、中国の経済成長に停滞感が漂いはじめ、その打開策として外需を取り入れたい政府の目論見がある。
 経済面を考えれば自由化を進めたいが、そうもいかないのが中国の「実情」だ。

 --ここまで--

 いわば、自ら袋小路へ入り込んでいるといってよかろう。
 そうこうしている内に、金不足が顕在化してきて、様々なところに発現してきた。

 --ここから--

 20161023日、中国紙によると、中国政府は火力発電所30基の建設を中止することを発表。
 英紙フィナンシャル・タイムズによると、ロンドンに本部を置くエネルギー転換の顧問会社は、中国政府は2016年に入ってから発電量11400万キロワット分の火力発電所の建設計画を延期または棚上げしているとし、中国は火力発電をクリーンエネルギーへ転換することで大気汚染問題の解決を模索していると明かした。

 エネルギー専門家によると、計画の中止によって多くのビジネスチャンスが失われるなどの問題もあるが、過剰な発電所建設を中止させることで巨額の浪費が抑えられるという。
 建設が中止される30基の発電量は1700万キロワット。
 中国西部の別の30基も建設が中止される見通しだが、そのうちの10基はすでに建設に着手している。
 しかし、地方政府は時として政府中央の意向を無視することがあり、今回の措置もどうなるかは現段階では不透明だ。

 --ここまで--