2020年2月15日土曜日

世界は沈没し日本が躍動する 最強の日本繁栄論 日下公人、渡邉哲也著 2020年2月 株式会社ビジネス社刊 感想


ざっと読んで、日下公人さんの記憶力の良さを改めて感じた。
 昭和5年生まれだから1930年、もう90才ということなのだなぁ。
 それでも、これだけの記憶力を維持しているって、すごいな。

 日下公人さんと渡邉哲也さんの対談なのだが、志向の方向性がよく似ていて、違和感のない対談となぅている。

 筆者が感じたことは、一つだ。
 ちょうど150年前に日本は、幕藩体制を放棄して、明治維新という切り替えをやって、富国強兵を初めた。
 以後、150年という「坂の上のかかる雲」を眺めながら、坂道を登ってきた。
 で。
 坂の上にあったのは、150年前に捨て去った「江戸時代」だった—という感じ。

 150年という試行錯誤をして、また、江戸時代へ辿りついたというのも奇妙な感覚ではある。
 19世紀の後半だ。
 西欧、アメリカなどは、産業革命という巨大な機関車が轟々という轟音を響かせ、通りすぎていた時代だ。
 日本は、とにもかくにもこの産業革命の機関車に乗るために、「江戸時代」を捨てたのだ。
 振り返っても、致し方のないことだった。

 産業革命とはすなわち、エンジンだ。
 日本人は、以後、エンジンを造り続け、自動車などでは世界最強をうたわれるまでになった。

 この位置に立ち、また、行き過ぎたグローバリズムが逆行するタイミングがきた。
 日本も閉じこもるとは言わないまでも、近隣の悪辣・理不尽な諸国に関わり合う必要はない。
 江戸時代のように「日本人的美意識」を生かした生き方をするようになるだろう---と。

 筆者が考えていた「次なる150年」という日本の新レジームの「明確な姿」が見えてきた感じがした。

 日下公人さんは、以前、世界は日本人化するということを言われていた。
 日本人化した国だけが繁栄するという意味だと筆者は思った。