2020年2月19日水曜日

日本の厚生省のギリギリの判断だろう。クルーズ船の乗船者の下船を認める


完全に病気の拡散を防げるかどうかは分からないとしても、一応、潜伏期間を経過し、検査で保菌者でない者から下船することを認めた。各自、通常の電車・飛行機などで帰国を始めたようだ。
 筆者は、正しい判断だと思う。
 アメリカのように以後2週間は、入国を認めないという国もある。
 それは、それぞれの国が責任を負う覚悟の判断であろう。

 また、無症状の感染者についても2日の入院期間とした。
 厚生省としても、このコロナウイルスの「性質」のようなものを大凡、掴んだということだろう。

 症状の重い病人の入院を妨害するより、無症状の人間を外に出して、症状の重い病人を治療する機会を増加させることが大事だと判断したということだろう。
 これもまた、正しい判断だと思える。

 おそらく、サクラの咲く頃までには、ピークアウトがあって、収束へ向かうと見ているのだろうな。
 すると1月半~2月くらいをもっとも用心して、マスク手洗いをすればいいことになる。
 確実にそうなるという訳ではないが、そのあたりの見込みがそう外れているとは思えない。

 ます、クルーズ船からの乗客の下船が始まったという記事から抜粋。

 陰性の50019日に下船 クルーズ船、新たに88人感染
 横浜港で検疫中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」について、厚生労働省は18日、乗客の下船を19日午前から始めると明らかにした。
 乗客全員がウイルス検査の検体採取を終えており、陰性が確認された乗客は順次下船させる。  
 19日は約500人が下船予定で、対象者全員の下船完了は21日となる見込み。

 また同省は18日、同船で新たに乗客ら88人について、新型コロナウイルスの感染が確認されたと明らかにした。うち65人は症状がないという。
 同船の感染者はのべ542人。このうち254人が無症状で、約半数を占めている。
 加藤勝信厚労相は18日の閣議後の記者会見で、乗客の下船について「スムーズに自宅まで帰れる状況をつくりたい」と述べた。

 下船するのは船内で感染予防策が徹底された5日から数えて14日間の経過観察を終えた乗客。ウイルス検査でも陰性を確認しており、同省は「感染している恐れはない」と説明している。
 下船後、運航会社が用意したバスでターミナル駅などに搬送した後、公共交通機関で帰宅してもらう。
 外国人乗客の中には、すぐに下船せず、自国のチャーター機による帰国を希望する人もいるという。5日以降に船の同室者の感染が確認された乗客は、経過観察期間が延長されており、今回は下船できない。

 次に、無症状感染者についての取り扱いについて。

 厚労省、重大発表
 厚労省「無症状の感染者が他の人に感染させる可能性は低い」 隔離期間を12.5日→2日に短縮

1:2020/02/18()
無症状感染者の入院期間短縮 12.5日から2日に―厚労省
厚生労働省は18日、新型コロナウイルスの陽性反応が出た無症状の感染者の入院期間について、現在の12.5日から2日に短縮する運用を始めた。同省は無症状の感染者が他の人に感染させるリスクが低いと判断しており、今後感染者が増加する可能性を想定し、必要な病床数を確保するのが狙い。同日、全国の都道府県などに通知した。
新たな運用では、感染者は入院して48時間後にウイルス検査を実施。陰性が出たら12時間空けて2度目の検査を行い、2回とも陰性だと退院できる。陽性の場合は、改めて48時間後に検査する。

補足、感想など

 なにか、日本の医者でクルーズ船内部での感染防止対策がなされていない—とか告発している人がいた。
 言っていることを聞いて、奇妙に感じた。

 日本は単なる寄港地だ。
 船籍は英国、クルーズの業者はアメリカだ。
 日本の厚生省の立場とすれば、日本国内に感染者を下船させない---もっと端的に言えば、病気持ちに日本国内を「通過させない」ということでしかない。

 船内で感染防止云々は、それは船長の権限であろう。
 もっと言えば、英国の権限であろう。

 船の中で、感染者を隔離したり、交流するなとか—は、船長が判断することだ。
 そのあたりの「権限がどこにあるか?」という基本的なことを理解していない人の「言い方」だなと思った。

 いや、話がどこかに行った。

 厚生省の立場は、上でふれたように「病気持ちに日本国内を通過させない」という立場でしかない。
 だから。
 1.潜伏期間を越した 2.検査してウイルスをもっていない という2つの条件を満たせばいいことだ。
 後は、それぞれの国が責任を負うことだ。
 アメリカは、以後2週間の入国を禁止した。他の国もそれぞれ、同様のことで対応するだろう。

※追記
 上掲の感染予防ができていないと告発した医師に対し、クルーズ船内部の責任者が語っている。それをみよう。

 -ここから-

はしもとがく(橋本岳)
なお昨日、私の預かり知らぬところで、ある医師が検疫中の船内に立ち入られるという事案がありました。事後に拝見したご本人の動画によると、ご本人の希望によりあちこち頼ったあげくに厚生労働省の者が適当な理由をつけて許したとの由ですが、現場責任者としての私は承知しておりませんでした。

お見掛けした際に私からご挨拶をし、ご用向きを伺ったものの明確なご返事がなく、よって丁寧に船舶からご退去をいただきました。多少表情は冷たかったかもしれません。専門家ともあろう方が、そのようなルートで検疫中の船舶に侵入されるというのは、正直驚きを禁じ得ません。

ただの感染症蔓延地域ではないのです。本件は厚生労働省本省に伝え、なぜこのような事案が発生したか確認を求めています。

現在厚生労働省は、閉鎖船内における新しいウイルスによる感染症の発生という事態の中で、多くの専門家のお力を船舶内外からいただき、臨船検疫を行っています。ただ実際に職員の感染が判明してしまった状況の中で、完全なコントロールができていると申し上げることはできません。

限られた空間、限られた人員資源の中で、しかし今なお臨船検疫中の乗客や乗員の方々、あるいは多数の地域や医療機関や組織のご協力により、改善を重ねながら一人でも多くの方の感染を防ぎ、また感染や発症した方を病院に搬送する業務を続けています。

厚生労働副大臣。

岩田氏がクルーズ船に入った経緯(一部抜粋)
中の方からいくつかメッセージをいただいて「怖い」と、「感染が広がっていくんじゃないか」という事で私に助けを求めてきたので、いろんな筋を通じて何とか入れないかという風に打診してたんですね。そうしたら昨日2月17日に厚労省で働いている某氏から電話がきて「入ってもいいよ」と、「やり方を考えましょう」ということでした。

最初、環境感染学会の人として入るという話だったんですけれども、環境感染学会はもう中に人を入れないという決まりを作ったので、岩田一人を例外にできないということでお断りをされて、結局DMAT(Disaster Medical Assistance Team 災害派遣医療チーム)、災害対策のDMATのメンバーとして入ってはどうかというご提案を厚労省の方からいただいたので、わかりましたということで18日朝に新神戸から新横浜に向かったわけです。

 -ここまで-