▲弱り目にたたり目—とかいう言葉があった。
苦しい時に、更に追い打ちを掛けるようなことが次々と発生するという意味だ。
人間でも企業でも同じだな。
こういう苦しい時をどう乗り越えるか—が人生とか企業が生き残れるかどうか—の勝負どころなのだ。
自分の・自社の能力を信じて、頑張るしかない。
世間様からの評判が悪い—となればもう凄まじいまでの先輩がいる。
三菱自動車だ。
社内が隠蔽体質で、都合の悪いことはすべて隠していた。歴代の社長は、社長たる器でない人間ばかりが出揃い、隠蔽?そんなことは知らないよ—というばかり。
もう株価も100円くらいになったのかな。
そこに救世主のごとく、電気自動車部門が出現し、からくも生き残り、現在は、「経営危機? そんなことって、あったっけ」てな顔をしている。
さぁ、シャープは生き残れるかな。
三菱自動車はどうこういっても大三菱フループの一角だ。
シャープにはこれといってバックアップしてくれる企業群もない。
昭和40年代始め、白物家電の品質が悪く、倒産がウワサされていた時とそっくりだな。
この最悪の時、シャープは「電卓」というものに勝負をかけ、電卓 → 液晶 と約40年という期間を繁栄してきた。
さて、この危機に「新電卓」にぶちあたるかどうか—が企業としての生存の鍵だろうな。
以下、新聞から抜粋。
存亡の危機に瀕しているシャープ。
台湾・鴻海精密工業からの出資問題は、結論が9月に持ち越された。
「国内メーカーから 助け船がないのは、シャープの奢った態度に問題があるからだ」という声も聞こえる。
ある関係者は「シャープとは二度と取引したくない」と話す。
設備を納めたが、シャープが全額負担すべきであるにもかかわらず、この取引者の別会社を利用し、費用を全額負担させた。
「売って終わりの設備ではなく、その設備が稼動し続ければうちは利益が出るので、足元を見られた。工場の減産で投資が回収できるか見えなくなった」と。
シャープの取引業者泣かせは、有名だという。
大阪・堺工場の投資にあわせ、取引業者に複写機購入を迫ったこともあった。
“ギブアンドテイク”はよくある話だが、通常は、現場が営業努力しながら、交渉する。
シャープの場合、上から圧力をかけるばかり。
「複写機は、いまは単体で売ることが少なく、ネットワークソリューションで売る製品。ユーザーがいま使用している機器や仕組みを把握し、更新時期に適切な提案するのが当たり前なのに、上からの圧力ばかりだったと聞いている」
液晶パネルの売り先からの評判もよくなかった。
パネル供給が不足していたとき、自社テレビ向けを優先し、外販分についてはたびたび納期遅れを起こしたが、悪びれもせず、「売ってやっている」という態度だったと。
マスコミからも「性質の悪い企業」という声が聞こえる。
「液晶パネル価格が下落している状況を取材したいと何度も申し込んだが、なしのつぶて。『かわりに電子辞書の取材はどうですか?』と返されたときには笑ってしまった」(全国紙記者)という。
昨年秋、パナソニックが兵庫・尼崎工場の一部休止を発表したときには、シャープの町田勝彦会長(現相談役)は、大阪商工会議所で、「うちは、常にコスト削減に努めているので大丈夫」とミスリードした。
シャープの社員も、「あのとき大変な状況だったのに、危機意識を社員に伝えず問題を先送りした」と。
また、当時から、片山幹雄社長(現会長)と町田氏との仲の悪さも知られている。
最近、町田氏は、巨額赤字は自分の責任ではないという態度だという。
「堺工場の巨額投資を決めたのは片山社長、といわんばかり」らしい。
こうした中、4月に就任した奥田隆司社長は、火中の栗を拾った人である。
当初は同情する向きが多かったが、新社長の評判もいまいち。
就任直後、各社にあいさつ回りに行った奥田社長は、「本社の社員がダメだから、こんなことになった」とまくし立てたというから驚く。
「巨額を投じた堺工場の決断に自分は関与していなかった」という思いがあるのだろうが、その後の評判もよくない。
8月上旬、切り売りする事業について、コメントを求めるために殺到した記者に対し、「あ、そ」と言ってまともに応えなかった。
業績悪化とともに、悪い部分ばかりが言われるようになったシャープ。
もっとも、 技術力の高さについては、交渉中の鴻海も高く評価している。
▲補足、感想など
どうも記事が長文で、ぶつ切りとなった。ご容赦願いたい。
なんというか、個人でも企業でも四面楚歌となれば、こんなものだ。
冒頭で、三菱自動車を例示した。
この会社で電気自動車を研究していた技術者は、命令違反というか隠れてやっていたのだったかな。
三菱自動車の存亡の危機の時、この技術者がでてきた。
なんというかな。
危機に陥ったとき、基本に帰る—ということだ。
自社に売れる商品はないのか、個人ならば、自分に「売れる技術とかモノ」はないのか—と自問自答することから始まる。
三菱自動車には、「電気自動車」というものがあり、温暖化対策という時代の波に乗れた。
では、シャープには売れる・売れそうな商品はないのか。
今こそ、首脳は上の問いに真剣になって答えなければなるまい。
それこそが、「シャープ再生の鍵」だ。