▲この映画、一応事件が発生し、その謎解きとなっているのだが、それに味付けする感じで、映画のアチコチの百人一首が散りばめられ、アクセントになっている。
なぜ、百人一首がちりばめられたような映画が興行成績首位となるのだろうか。
筆者が子どもの頃、そうだな、昭和30年代(1955年頃)に想像していた「日本の未来型の姿」と半世紀後の現実が微妙にずれているというか異なっているような気がする。
どうも、筆者の日本の未来型のイメージは、手塚さんの書いたマンガに負うところが大きいのだな。
以来、約半世紀以上を経過してみると、日本はガラパゴス化しつつあるようだ。
結局、核心はなんだろう。
日本の2千年になんなんとする「歴史」というものが、日本人を捉えて離さないのだろう。
いや、それを嫌がっているのではない。
そうではなくて、日本人は改めて、「日本という国の2千年近くもの歴史の蓄積の価値」を発見した—とでもいうタイミングを迎えているのではあるまいか。
上のコナンで出てきた百人一首をご紹介しよう。
--ここから--
瀬を早(はや)み 岩にせかるる 滝川(たきがは)の
われても末(すゑ)に 逢はむとぞ思ふ
崇徳院
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現代語訳
川の瀬の流れが速く、岩にせき止められた急流が2つに分かれる。しかしまた1つになるように、愛しいあの人と今は分かれても、いつかはきっと再会しようと思っている。
--ここまで--
どうして、こんな千年も前の歌が、今もって、日本人の心を打つのか。
それが不思議だな。
以下、新聞から抜粋。
2017年邦画興行収入の作品を発表し、『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』が興収68億9,000万円という数字を出し、邦画の中で最も高い最終興収を記録した(文中の数字は一部推定)。
アニメ作品はベストテン圏内(今年は11作品)に6本ランクインするなど、強さは相変わらずだった。
1996年からアニメ版が放送され、1997年からは劇場版がスタート。
2017年公開の『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』は21作目となる。
20年の歴史を持つ劇場版『名探偵コナン』シリーズだが、特に近年の同シリーズの躍進は驚くべきものがあり、2013年公開の『名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)』からは5年連続で、シリーズ歴代最高興収を更新。最新作『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』は最終興収68億9,000万円となり、2017年邦画ナンバーワン作品となった。
東宝の人気シリーズ『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』は2位にランクイン。
こちらは、前作『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』(最終興収41億2,000万円)の成績を超え、2年連続で最高興収を更新している。
さらにピカチュウとサトシの出会いのエピソードを描いた『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』、アニメと実写のハイブリッド描写が話題を集めた『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』が興収30億円を突破するなど、定番アニメの安定した強さも特色。
その他、『メアリと魔女の花』、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』なども今年印象に残った作品だった。
一方、実写作品に目を向けてみると、3位の『銀魂』、5位の『君の膵臓をたべたい』が興収30億円を上回った。さらに『忍びの国』『関ヶ原』という時代劇映画も健闘。
今年は全体的に突出した作品は少なかった。興収30億円を突破した作品は、昨年の9本に比べ、今年は7本。東宝の1月~11月の累計興収はおよそ580億円。
歴代最高を記録した昨年と比べると、74.2%という成績に落ちついた。
2018年は細田守監督の最新作『未来のミライ』や、大ヒット作『銀魂』の続編、人気コミックの実写化作品『BLEACH』などが公開予定。2018年はどのような作品がチャートをにぎわすか、楽しみだ。
【2017年日本映画作品別興収 上位10本】(最終興収の数字は一部推定)
1『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』68億9,000万円
2『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』44億3,000万円
3『銀魂』39億円
4『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』35億5,000万円
5『君の膵臓をたべたい』35億2,000万円
6『メアリと魔女の花』32億9,000万円
7『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』32億6,000万円
8『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』25億2,000万円
9『忍びの国』25億1,000万円
10『関ヶ原』24億円
10『22年目の告白-私が殺人犯です-』24億円
▲補足、感想など
日本の歴史からの束縛と書くと、なにかマイナスのイメージであるが、伝統という表現をすれば、プラスに感ずるのかなぁ。
このあたり、アメリカ人からみてもそう感ずるようだ。
アメリカ人の日本人のイメージの調査があって、その結果が記事となっていた。
--ここから--
外務省が2017年12月に発表した「米国における対日世論調査」(※)の結果から確認する。
日本に対するイメージとして、米国の一般人はどのような姿を頭に描いているのだろうか。
主要選択肢を用意し、それに同意できるか否かで答えてもらった結果が次のグラフ。
「豊かな伝統と文化を持つ国」が9割超え、それ以外に「経済力・技術力が高い」「自然が美しい」「戦後一貫して平和国家の道を歩んできた」の3項目が8割以上に達している。
--ここまで--
冒頭でふれた。
筆者が、昭和30年代に手塚治虫さんの書いたマンガに触発されて抱いていた「日本の未来のイメージ」というものと、現実の「姿」が異なると書いた。
それは、昭和30年代のイメージでは、畳 → 絨毯 となるという未来型であったのが、現実には 畳 →化学繊維の畳 を利用しているという「違い」だ。
日本的な「姿」を残したまま、中身のみが変化するといえばいいのかな。
伝統的な美人画が、美少女フィギュアになるという感じか。
そういえば、木桶の職人が造ったモダンな形の木桶というものが、記事となっていた。
和魂洋才という言葉があったが、和魂洋造とでも言えばいいのかな。
筆者は、表題の通り、団塊の世代だ。
丁度、20年前、団塊の世代が50代に突入する年の正月に、ニューフィフティーズなる題目の下に、50代となったばかりの女性ハイカーの写真が掲示されていた。
それが、丁度20年を経過して、ニューセブンティーズとなったようだ。
上で触れたように、和魂ニューセブンティーズというものでありたいと思う。