▲様々な情報が流れ、錯綜したとしても、表題の通り、最終的な判断者、実行者は「相撲協会」なのだ。
その核心の部分を間違えないようにしよう。
以下、貴乃花親方の記事から抜粋。
貴乃花親方(45)は目下、深い悩みのただなかにある。
これまで、親方が求めてきたのは、元横綱日馬富士による貴ノ岩への暴行事件の背景を「外部」の力によって解明すること。
「外部」とは警察や検察のことで、真相究明のためには相撲協会と全面戦争になるのも厭わない。
今回の事件の背景を探っていくと、1つの事実に行き当たる。
2017年の初場所中、横綱白鵬の側近が貴ノ岩に電話をかけていた、という事実に――。
その日は13日目が終わったところで、1敗で単独首位の稀勢の里を2敗の白鵬が追う展開となっていた。
そして、その白鵬の翌日の対戦相手こそ、貴ノ岩。
しかもその日、稀勢の里が勝利し、白鵬が貴ノ岩に敗れると、稀勢の里の幕内初優勝が決まってしまう。
その前日に白鵬の側近が貴ノ岩に電話してきたわけだが、“どうせ翌日の星の話だろう”と直感した貴ノ岩が電話に出ることはなかった。
そして、白鵬は貴ノ岩に屈辱の惨敗を喫するのだ。
暴行事件の背景には、生々しい話がある。
無論、相撲協会がタブーに踏み込むことはあり得ず、だからこそ貴乃花親方は警察・検察の捜査に委ねた。しかし日馬富士は略式起訴された上で罰金刑となり、法廷での公判は行われないことに。かくして、真相解明を求める貴乃花親方の望みは絶たれた。
残る手段は民事裁判のみ。日馬富士を訴えるか、貴乃花親方の理事としての地位確認訴訟を起こすか、だが、
「訴訟をすれば騒ぎになり、貴ノ岩に迷惑がかかる。貴ノ岩が協会に楯突くことは、会社員が会社とケンカするようなもので、今後、相撲で身を立てていけなくなることを意味する。
親方は、貴ノ岩には相撲を続けて欲しいので、ここは我慢すべきなのだろうかと悩んだ」
そう明かすのは、貴乃花親方のタニマチだ。
「“貴ノ岩は異国から来たのに、こんなことではいたたまれない”と。ともかく、親方の周囲が、しばらく静かにしていた方が良いのではないか、と親方を諭しているのが現状。
2年間の任期の間はおとなしくして力を蓄えてから反旗を翻せばいい、という考えですね」
1月4日、相撲協会の臨時評議員会が行われ、貴乃花親方の理事解任が正式に決まった。
その際、評議員会の池坊保子議長(75)は、貴乃花親方が理事選に出て当選した場合について、次のように語った。
「その時は評議員会で真摯に厳粛に粛々と決めさせていただく」
評議員会は理事を「承認」する権限を持つ。
池坊議長は、仮に貴乃花親方が当選したとしても、理事として承認しない可能性に含みを持たせた。
「貴乃花親方は元々、理事解任よりも重い処分を下されたら“裁判をやる”と言っていた。
ですので、理事として承認されないなどという事態になった時は当然、裁判をやることになるでしょう」
戦争継続か、それとも休戦か――。
揺れている貴乃花親方だが、ここで改めて、理事解任に至るまでの経緯を振り返っておきたい。
1/16(火)デイリー新潮
「玉鷲を脱臼させた」
相撲協会が貴乃花親方に対する事情聴取を行ったのは昨年12月25日。場所は帝国ホテル、貴乃花親方側は親方本人と親方の弁護士。
協会側からは高野利雄・危機管理委員長と、危機管理委員の弁護士が出席。
貴乃花親方はこの日の様子について、タニマチにこう「激白」した。
〈聴取が始まると、危機管理委員の弁護士が私を攻めたてた。取調べのように「暴行事件のことを当日から知っていたんだろ」「日にちをかせいで、コトを大きくしたかったんだろ」と言ってくる。
私は「事件のことは当初は知らなかった」と答えたが、弁護士は「そんなのはおかしい」と決めつけてくる〉
その弁護士の不遜な態度に、貴乃花親方が“なぜそんなに高圧的に言われなくてはいけないのか”と苦言を呈する場面もあったという。
〈弁護士は私に「巡業部長としての落ち度は認めるのか」とも言ってきた。
私は「どんな落ち度があるのか」と返したが、弁護士は「いや、あったでしょう」と決めてかかる。
私はその態度に呆れ、言い返すのを止めた。ただ、私は自分の落ち度を認めるような発言はしていない〉
その後、弁護士に代わって質問を始めたのは高野委員長。
彼が取った戦術は「老獪」なものだった。
〈高野氏は「今となってはいろいろと思うでしょう」とか「あの時、こうすれば良かった、といった思いがあるでしょう」などと聞いてくる。
私が「いえ、私は別に悪いことはしていません」と返すと、「そうではなくて、あの時はこうだったな、と思うところもあるでしょう」と言ってくる。つまり私に「こうするべきでした」と言わせたかったのでしょう。私はそれには一切応じませんでした〉
相撲協会の臨時理事会が開かれたのは、貴乃花親方への聴取の3日後の12月28日。
ほとんどの新聞は、理事解任という貴乃花親方への処分案が「全会一致」で決議された、と報じたが、
「理事会では、貴乃花親方の解任についてではなく、解任するための評議員会を開催することについて、八角理事長が“みなさん、よろしいですね”と声掛けをしただけ。これに誰も何も言わなかったから了承されたに過ぎず、採決を受けての全会一致とは言えない」
と、貴乃花親方の支援者は指摘する。
「そもそも理事会では、高野危機管理委員長が“貴乃花親方の責任について”という報告書を読み上げただけで、親方の処分について全く議論されていない。参加者の1人からそれを指摘する声が出たのに、協会側は全く取り合わなかった」
貴乃花親方はこの臨時理事会について、タニマチにこう話した。
〈私は協会側に対して、処分理由の説明を求めた。
しかし、周囲の理事から「今更そんなことを聞いてどうする」「なんでそんなことを聞く必要があるんだ」と横やりが入った。そんな状況に呆れてしまい、「もういいです」と言った〉
そして迎えた今年1月4日の評議員会。そこでは協会側が作成した「貴乃花親方の責任について」という報告書だけではなく、貴乃花親方が作成した報告書についても一部、読み上げられたという。その評議員会の様子を紹介する前に、新たに分かった「貴乃花報告書」の中身について触れておきたい。
「貴乃花報告書の中には、(暴行事件の際)白鵬が照ノ富士を土下座させた、という記述があるのです。白鵬は照ノ富士に対して、“お前が謝れ!”と怒鳴ってもいたそうです」と、貴乃花親方のタニマチは明かす。
「親方は、“白鵬は以前、玉鷲を脱臼させたこともある”と言っていた。飲み会などの席でやられたようです。玉鷲は貴ノ岩と同じくガチンコで知られるモンゴル力士なので、“狙われた”のかもしれません」
評議員会に話を戻す。そこでは、議事が進められ、貴乃花親方の理事解任が決まったかのように報じた新聞記事が多かったが、実は、八角理事長が激高する場面があったという。
「協会側の報告書と貴乃花親方側の報告書の読み上げが終わった後、評議員が順番に意見を求められた。最初に意見を述べたのは貴乃花一門に所属する大嶽親方。
貴乃花親方は貴ノ岩の冬巡業休場について、それ以前に役員室で執行部とやり取りし、『マスコミがいて、貴ノ岩は部屋から出ることが出来ない。診断書なしで冬巡業は休ませて欲しい』と伝えたとしているが、これは事実なのかと彼は質問しました」(貴乃花親方の支援者)
すると、それまで黙っていた八角理事長が突然口を開いた。
「そんなことあるわけないだろう!と声を張り上げた。マスコミが邪魔だというなら、救急車でも何でも呼べばいいじゃないか!とも怒鳴っていました。
大嶽親方が指摘したことが事実だからこそ八角理事長はそこまで動揺したのでしょう。
しかし、八角理事長に怒鳴られた大嶽親方はそれ以上、何も言えなくなってしまった」
貴乃花親方のタニマチ(前出)が言う。
「評議員会の翌日にも電話で話をしたのですが、親方はこう言っていた。“いろいろあって昨日から精神的に参っていました。これからは法的に少しずつやろうと思っています”と」
孤高の親方が珍しく吐いた弱音。その行く末に待っているのは「玉砕」か、それとも――。
「週刊新潮」2018年1月18日号
▲補足、感想など
様々な情報が錯綜する。
しかしながら、最終的に判断・実行するのは相撲協会なのだ。
そして、判断基準は、相撲というものが日本人から支持され、愛されつづけるためにはどうすべきか—だ。
その判断基準さえ、間違えない限り、相撲は大丈夫だ。