▲まぁ、当然であろうな。
この一連の流れの核心ってなんだろう。
妙な例え方だけど、いくら自分の子どもが可愛くても、鉄格子の中で育てることは出来ない—という話ではあるまいか。
つまり、リスクを避けようという発想は正しいが、それでもこれ以上考えても無駄という限界というものがある—とでも言えばいいのかな。
特に、火山活動のリスクをあれだけ高く見るという根拠はどこにあるのだろう。
阿蘇山から100キロ以上も離れて、火砕流が襲ってくる可能性があるという見方は、上でのべた「鉄格子の中」に相当しないか。
また、原発というものの耐用年数は長くて50年程度であろう。
対して、火山活動での巨大な火砕流を伴うような大規模な爆発なんて、数千年に一度というものではあるまいか。人間が作った工作物の耐用年数は、地学的世界での「年数」とは、一桁二桁違おう。そういうものを同列に考えていないか。
以下、新聞から抜粋。
2017年12月21日
四国電力は、伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じた13日の広島高裁の仮処分決定を不服として、決定の取り消しを求める保全異議と、決定の執行停止を同高裁に申し立てた。
同高裁の野々上友之裁判長は伊方原発について「阿蘇カルデラ(阿蘇山、熊本県)が破局的噴火をした場合、火砕流が原発に到達する可能性がないとは言えない」として、高裁レベルで初の運転差し止めを命じた。
四電は保全異議の申し立てで、阿蘇山のマグマの活動状況などから「原発の運転期間中(原則40年)に巨大噴火が起きる可能性は低く、決定には明らかな事実誤認がある」と主張。
執行停止については「差し止めで火力燃料費が増加し、1日1億円の損害が発生する」と、その理由を訴えている。
▲補足、感想など
前回の判決を見てみよう。
--ここから--
2017/12/17(日)
高裁段階で初めて原発の運転差し止めを命じた四国電力伊方原発をめぐる広島高裁の判断。
火山の「破局的噴火」といった、発生頻度は低いが影響ははかりしれない甚大災害をどう評価するかで、
原発の新規制基準に照らし、従来とは異なる司法判断を導いた。
電力業界からは困惑の声が上がった。
伊方原発の敷地に、過去に阿蘇噴火による火砕流が到達していないと判断するのは困難――。 こう指摘し、広島高裁は同原発の運転を禁じる仮処分決定をした。
従来、原発をめぐる訴訟の最大の争点は地震・津波のリスクだった。
しかし今回、決定が問題視したのは、約130キロ離れた阿蘇山の噴火リスクだ。
原子力規制委員会は審査内規「火山影響評価ガイド」で、原発から160キロ以内の火山を検討対象としている。
過去の判断との大きな違いは、1万年に1度しか起こらないような自然災害であっても、
規制委の基準に沿い、原発立地の適否を厳格に判断すべきだ、との姿勢だった。
火山リスクをめぐっては九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、
福岡高裁宮崎支部は2016年4月、原則40年の原発の運転期間中に噴火が発生する「相応の根拠が示されない限り、
安全性に欠けるとはいえない」として、住民の差し止め請求を退けている。
この決定は、大規模噴火の発生確率は低頻度で、無視し得るものとして容認するのが「社会通念」と言及し、
そのリスクを考慮するかどうかは政策判断だとした。
今回の広島高裁決定に先立つ広島地裁決定も、
こうした「社会通念」を考慮する考え方を引き継いだ。
広島高裁決定も、噴火のように、甚大な被害は及ぼすが頻度の低い自然災害に対して、
目立った国民の不安や疑問もないとし、「社会通念」への理解は示している。
--ここまで--
元技術者の端くれとしては、冒頭でふれたように、地学的現象の発生する頻度と、人間の造った構造物の耐用年数を比較すると、「鉄格子の中で子どもは育てられない」と感じる。
つまり、火山活動について過剰にリスクを考えていると思う。
なお、この火山活動のリスクについては、相当昔に指摘があった。それを転記しておこう。
--ここから--
2013/02/13(水)
地震大国の日本は、火山大国でもある。怖いのは地震だけではない。
福島第一原発は地震による津波で大事故を起こしたが、噴火による火砕流でも影響がありそうだ。
東京大学地震研究所火山噴火予知研究センターの中田節也教授が警告するのは、
泊原発(北海道)、伊方原発(愛媛)、玄海原発(佐賀)、川内原発(鹿児島)の4つ。
原発が火砕流に襲われるとどのような事態になるのか。
日本の原子力政策に深くかかわっていた“原子カムラ”のある重鎮に話しを聞いた。
「原発が火山から直接の被害を受けるという想定は聞いたことがないな」。
最初は首をひねっていたが、火砕流の説明をすると、こう話した。
「原発と火山災害について、これまで本格的に論じられたことはないと思います。
しかし、その破壊力を考えると、火砕流を想定して対策を考えるのは不可能。
完全にお手上げですよ。火砕流が届く恐れがある場所には、原発を建てるなということに尽きますね」。
原発が火砕流に襲われるとどのような事態になるのか。この重鎮が続ける。
「火砕流で原子炉建屋が壊されると、燃料プール内の核燃料が燃えながらまき散らされます。
仮に建屋が大丈夫だとしても、周囲が壊滅してインフラが止まり、人が近づけなくなれば、
冷却できなくなった炉心と、燃料プールの核燃料が燃えだして建屋は崩壊する。
いずれにしても大量の放射能を放出することになる。仮に、泊原発が火砕流に巻き込まれれば、
泊原発から70キロしか離れていない札幌は、全市民が避難しなければいけなくなるでしょう」。
まるでパニック映画のワンシーンのようだが、日本にあるいくつかの原発では、起こりえる場面だ。
その原発とは、泊原発(北海道)、伊方原発(愛媛)、玄海原発(佐賀)、川内原発(鹿児島)の4つ。
東京大学地震研究所火山噴火予知研究センターの中田節也教授がこう警告する。
「4つとも、過去に超巨大噴火の影響を受けたと考えられる場所にあります。火砕流が過去に到達したと
思われる場所に建っているのです」
1989年に営業運転を始めた泊原発は、北海道西部の積丹半島の付け根にある。
南東に目を移すと、
2008年にサミットが開かれた洞爺湖がある。
この風光明媚な湖こそが、超巨大噴火を起こしてできた
洞爺カルデラだ。
約11万年前の噴火で、洞爺カルデラからは、東京ドーム約12万個分にあたる150立方キロの噴出物が
出た。
このときの火砕流は、60キロ離れた泊原発まで届いたと考えられる。
熊本県の阿蘇カルデラは、東西18キロ、南北25キロと世界でも屈指の大きさを誇る。
このカルデラを
つくったのは、9万年前の超巨大噴火だ。
当時、火砕流は九州の半分以上を覆い、九州北西の
玄海原発だけでなく、四国西端の伊方原発がある場所まで到達したと考えられている。
--ここまで--
火砕流が発生して、原発に襲来すれば、記事の通りであろう。
しかし、阿蘇山で火砕流を伴うような噴火が発生するのは、数千年に一度という可能性であろう。
また、火砕流が豊後水道を渡ってくるという場合を想定するのがなかなか難しい。
最後に上掲の記事に対する日本人の感想を転記しておきたい。
--ここから--
・火山が一番ヤバい存在だと思う。最高裁に行っても差し止めは続く。
・伊方原発が有るのは四国の愛媛だよ。熊本県の阿蘇山からは160kmも離れた場所。
その間に豊後水道が有る。高裁の決定って、「もはや大分県は住むところじゃない」って事か?
だって火砕流が伊方に到達するには自ずと大分県と海を通過して行く事になるワケでしょ?
この決定、最高裁でひっくり返るね
・地裁レベルでのちょっとした妨害だろ。最高裁での主張がほぼ逆転に持って行くと思う。
・裁判長は、今月で退官らしい多くの裁判官は定年後、弁護士に転職する。
なので引退間近の裁判官たちは、報道の目を惹くようなインパクトのある大胆な判決を下す傾向が強い。知名度を上げるためにね・・・そうすれば転職後のお客さんも集まりやすいってカラクリ。
今回のTomoyuki
Tanoueの判決に関しても、「結局はソレか・・・」って囁かれてるよ。
・裁判長は「阿蘇の過去の噴火で火砕流が到達した可能性は十分小さいと評価できず、原発の立地は認められない」と判断し、来年9月末まで運転差し止めを命じた。
この世はどんどんヘンな感じになって行ってる、裁判長さんは、ちゃんと調べた上でこの判決を下したのかな?活火山の近くにある原発?こんなとんでも判決で日本を自殺に追い込むつもりなの?
2.
あそこまで届くのが発生したら、原発どころじゃないだろ。
5.阿蘇の火砕流って。火砕流で原発が危険になるころには西日本で千万人単位で死者が出てるだろ。広島高裁は県民情緒法でもあるのか?
9万年前に噴火した火山が理由になるの?
9.
山や海を越えて100kmも先に火砕流が到達するような噴火があったらもうそれどころじゃないと思うの
--ここまで--