2017年12月20日水曜日

日本ペイント買収断念の記事を読んで

なにか、危ない話ではなかったかな—と感じる。
 かってあった安宅産業の話に似ていないか。
 胡散臭い外国の会社をどうする、こうするというのは、余程の用心が必要だ。

 キリンとか、ゆうちょとかも失敗している。
 日本ペイントが買収の検討を始めると株価が下がった。
 当然だと思う。

 まぁ、結局のところ、日本ペイントは買収を断念した。正しい判断だと思える。

 以下、新聞から抜粋。

 市場の評価はネガティブだった。
 国内塗料トップ、世界5位の日本ペイントホールディングス(日本ペイントHD)が米のアクサルタ(世界6位)に買収提案をしていると報じられた1122日、日本ペイントHD株は4%超と大幅な下落となった。

 理由は財務悪化懸念。
 アクサルタには世界トップ、アクゾ・ノーベルが合併を提案し株価が高騰、時価総額は1兆円を超えていた。
 完全子会社化には総資産(9124億円)並みの借入金が必要。
 財務改善のために増資をすれば、株式が希薄化する。
 買収価格の問題ではなかった
 株価はその後もジリ安となったが、121日に日本ペイントHDが買収断念を発表すると反発、8%超も上昇している。

 常識外れのMAの背景にあるのは、日本ペイントHDの「買収される恐怖」だと見る向きがある。確かに、近年塗料業界は、大手によるMA案件が尽きない。
 だが、日本ペイントHDはアジア事業の合弁先が4割弱の株式を持つため、敵対的TOB(株式公開買い付け)が極めて難しい会社だ。
 巨大化して買収者に対抗する必要はない。
 日本ペイントHDはそろばんをはじいて買いにいったのだ。

 そもそも、始まりはアクゾの提案の前。
 日本ペイントHDの幹部によれば、夏ごろから企画担当者同士が協業に向けて検討開始、ワーキンググループもできていた。
 守秘義務契約を結んでデューデリジェンス(資産査定)に入ったのが11月初旬。
 アクサルタは両社をてんびんにかけて、日本ペイントHDに絞ったというのが買収断念までの流れだ。

 また、断念の理由も価格が折り合わなかったからではない。
 理由は2つあり、1つは工場に関する情報の不足。土壌、大気汚染など工場に関する情報は、十分過ぎることはない。ただ、デューデリとはいえ競合にさらす情報には限度がある。「今回は買収に進むには足りなかった」(日本ペイントHD幹部)。
 もう1つは競争法上の問題。
 地域、製品で重複は少ないと見ていたが、実際には何カ国かでシェアが問題になるおそれが出てきた。
 時間をかけて調べれば対策は立てられたが、アクゾとの交渉を完全に打ち切ったわけではないアクサルタは、11月末の期限順守を求めた。

 「これらに目をつぶって跳ぶという判断もあったが、取締役会でやはり譲れない、となった」(日本ペイントHD幹部)。断りを入れたのは日本ペイントHDである。
 これでよかったのではないか。アクサルタは総資産の6割に当たる3700億円の有利子負債があるため、利払いが多く201612月期の純益は約50億円。
 仮に1兆円で買収すると、日本ペイントHDの有利子負債は14000億円を超える。
 以前に比べアクサルタの収益力が高まっているとはいえ、“賭け金”が高すぎる印象だ。

 引き続き、日本ペイントHDはグローバル・ペイント・メジャーを目指す。
 強みのあるアジアを盤石にしつつ、大手同士の統合で競争法上、分離される欧米の事業を買収するのが基本だ。
 もちろん、アジアを強化する案件があれば、そちらを優先することになるだろう。グッド・パートナーは意外と近くにいるかもしれない。

補足、感想など

 細かいところは分からない。
 でも。
 タイムリミットがあって、それまでに充分なデューデリができない。
 仮に目を瞑って跳んで、1兆円を支払って、純利益が50億円の会社を買うというのは、いかにもリスクが高すぎよう。

 買収に踏み切るべきではないというのは、正しい判断だと思える。