2018年2月17日土曜日

日本は退屈な国だと外国人、その通りだろうな。でも、イギリス・フランスはもっと退屈な国だ


他者を知るって、そう簡単ではない。
 表面をさっとなでただけになるのはいたしかたあるまい。

 日本に来た外国人の調査で、日本は退屈だと言われたようだ。
 当然だと思う。
 日本人がフランスとかイギリスへいっても「退屈」だと思うもの。
 その退屈さというか「他者に向かっての売り物のなさ」は、欧米諸国では日本以上であろう。

 以下、新聞から抜粋。長文なので、筆者が大幅に抜粋。

 2月、観光庁と日本政府観光局(JNTO)がキャンペーンとして、日本の観光資源を世界にアピールするプロモーション動画を公開。
 2017年の訪日外国人観光客は過去最高の2869万人と報じられ、この「日本人気」はベトナム、中国、台湾、韓国というアジア限定。欧米などのエリアからの訪日外国人観光客となると300万人程度で、これは「中国やタイにも負けている」。

 日本がタイや中国よりも観光先として選ばれないのは、シンプルに「退屈」というイメージが強いことが大きい。
 観光庁が、ドイツ、英国、フランス、米国、カナダ、オーストラリアの6ヵ国を対象に、海外旅行に関する調査を実施し、「日本には『富士山』『桜』『寺』があるくらいで、長期間滞在する旅行先としては退屈だと思われていること」が判明。
 そこで、観光庁は現実を受け止め、改めてアジア以外の国をターゲットにして「退屈ではない」と訴求しようとなった。

  アジア圏以外の観光客は長期滞在の傾向があり、より多くのお金を落とすとされる。
  この層が増えれば、観光収入も増え、観光が「基幹産業」となっていく道筋も見える。
  移民を受け入れられぬこの国で、観光産業は、地方が生き残るための重要な切り札でもあるからだ。
 では、どうやって日本の「退屈」イメージを払拭していくのか。

 「Enjoy my japan」というサイトを訪れると、「どのような伝統体験をしたいですか」と質問が出てきて、興味関心に合わせて、日本の観光スポットや体験できることを紹介した「パーソナライズムービー」が流れる。
 これらはいずれも、日本の美しい風景や観光スポットを欧米人の方たちが旅しているイメージビデオで、たとえば、神社をお参りしたり、お寺でお坊さんの話を聞いたりしているほか、機織り体験や座禅体験、欧米人の家族連れが畑で大根を抜いて調理するなど、「日本の田舎体験」なんかをしている映像もある。

 筆者は、キモである「退屈イメージの払拭」という点では不十分に思えた。
 動画にケチをつけているわけではない。
 ただ、「日本ってのは面白い国なんですよ」というアピール面では、やや弱い。
 動画の欧米人旅行者たちは、神社仏閣をめぐって、温泉につかって、雄大な自然をハイキングする。さらに、鉄板焼き料理を楽しんだり、沖縄で三線を奏でたり、座禅に挑戦するなど「体験型観光」も行う。つまり、「Enjoy my japan」の映像は、日本の観光情報サイトが、イチオシとされるスポットや体験ツアーを紹介している。
 自分が「外国人旅行者」として、異なる国のプロモーション映像を見たと想像してほしい。
 それだけで、遠い異国へ旅立ってみようという決断になるだろうか。難しい、と筆者は考える。

 この国に行けば、経験ができるか、異文化体験ができるか、というポイントを訴求しないことには、「行ってみたい」という「動機」にならないのではないか。
 そのあたりを押さえているのが、タイのプロモーション映像だ。

 「Open to the New Shades」と銘打たれたタイ国政府観光庁のビデオは、観光客のニーズに応えられるよう、多様なスポット、アクティビティをイメージビデオ的に流している。が、それだけではなく、「タイって面白い国なんですよ」というアピールを、ストーリー仕立てで行っているのだ。
 こちらの動画では、若い女性と年配の男性、2人の旅行客のドラマを描いている。バッグパックを背負った若い女性の旅行者の場合、ムエタイの練習場の前を通りかかり、やがて自分も練習に参加。試合にまで出場して、母国の家族に「もう少し羽を伸ばすことにするわ」と手紙を書くストーリーだ。

 また、年配男性はタイの高級リゾートホテルに宿泊し、運転手付きの高級車で小さな町の横を通りかかる。彼はそこで車を止めて、その小さな町の食堂に入り、手づかみで食事をする。そこで口にした果実に興味を持ち、タイの普通の人たちとも触れ合う。そして、帰国してから会社の同僚と思しき人たちの前で「タイには多様性がある」とスピーチをするという流れだ。

 このように、タイで「お金では買えない経験」「素晴らしい異文化体験ができるでしょう」というメッセージを訴求していくという構成だ。
 タイも日本も、予備知識がないという外国人が、この映像と「enjoy my japan」の映像を見たら、おそらくタイの方に興味を抱くのではないかと思う。

 タイの方が「この国へ行ったら何か面白い異文化体験ができるかも」という期待を抱かせるからだ。
 特に観光プロモーション映像というものは、美しければいいというものではない。
 ターゲットに「面白い」と感じてもらわないことには、見向きもしてもらえないというのが、観光プロモーション動画の現実だ。

 動画に登場する欧米人旅行者は、日本の観光業者が考える定番スポット、定番体験ばかりを行っている。これは言い換えれば、我々日本人側が「こういう風に日本を楽しんでくれたらいいな」と思うような「模範的な欧米人観光客」の行動を映像化したものともいえる。
 日本の観光サービス業は、供給者側の都合に「客」を合わせさせることが圧倒的に多い。

 日本の観光業者側の「欧米人はこういのが好きなんでしょう」という思想がちりばめられているように見える。そのあたりこそが、「退屈」というイメージをつくってしまっているのではないか、と考えている。
 いまの方針では「日本って綺麗なとこでしょ」という「ゴリ推し」で終わってしまう。
 映像は、要素を詰め込みすぎても結局、何が言いたいのかよく分からないことになってしまう。
まずは、日本という国が、多種多様な異文化体験ができる、滞在体験ができる、というシンプルなメッセージに絞って、とにかくまずは「退屈さ」と無縁の「刺激的でおもしろい映像」をつくったらどうだろう。

 お手本にすべきタイの政府観光庁は、以下のような秀逸なメッセージを発信している。
「心をオープンにして多彩でユニークなライフスタイルを満喫しましょう」

補足、感想など

 まぁ、長い文章ではある。
 ざっと読んで、この記者が書いているほど、タイと日本の観光促進動画に「差」があるとも筆者には思えない。

 表題でもふれた。
 日本が退屈だという外国人の曰くを嘘だとは思わない。そうでしょうね—と納得する。
 逆に、筆者のような日本人が、イギリスとかフランス、タイとかへ行けば、「日本よりもっと退屈だ」と感じる。

 要するに、外国って、皆、退屈なものなのだ。
 ただ、それでも、日本は他国より「売り物」が多いと感じる。
 富士山、サクラ、寺院 もあるが、日本料理のバリエーションの豊富さなんて、他国に比較すれば、充分に魅力的なものだ。

 他に日本酒の酒蔵とか、盆栽、錦鯉とか---様々あるじゃないか。
 そんなものを動画として発信していく外あるまいと感じる。

 冒頭でふれた。
 外国は、皆、退屈なもの。それをちょいとでも面白いと感じさせる「様々な日本の売り物」を、外国人に見せ続ければいいことだと思える。

 なにごとも、一朝一夕にうまくいく訳がない。
 地道な「日本の売り」をアピールし続けようではないか。