2013年5月2日木曜日

パッシング・チャイナ。


▲どうやら、中国が大きな転換点を迎えているようだ。
 もしかしたら、共産党独裁というシステムが崩壊するのかもしれない。
 おそらく。
 現習近平国家主席が「最後」の共産党独裁体制での国家主席となるだろう。

 その後はどうなるかって。
 さぁ、まったく不透明だ。

 以下、新聞から抜粋。

 熊谷亮丸 大和総研 チーフエコノミスト(2013年4月30日)

 かねてより、中国に対して日本は「パッシング」、すなわちもう「通過」「素通り」してもいいという主張をしている。
 日本の近くに、タイ、インド、インドネシア、ミャンマー、ベトナムの国々「南アジア」という潜在市場がある。
 彼らは、アジアから初めて先進国の仲間入りを果たした日本人に対して、憧れを持っている。
 「親日的」な国が多い。

 今後、日本企業にとっては、「チャイナ・プラス・ワン」、中国以外にもうひとつ海外拠点を作ることこそが喫緊の課題になる。
 筆者の見解に対し、「中国経済を素通りして、大丈夫なのか」と疑問を呈する向きもあるだろう。
 日中関係の悪化が、わが国の実体経済に及ぼす影響として、3つのルートが考えられる。
 日本からの対中輸出の減少、中国にある現地法人の売上高の落ち込み、そして日本を訪れる中国人観光客の減少である。

 筆者の試算では、日中関係の悪化は、2013年度の日本の国内総生産を0.2%押し下げる程度の影響しかない。
 まさに、「蚊が刺した」程度の影響だ。

 他方、金融・為替市場を通じた悪影響には一定の警戒が必要だ。
 中国にはリスク要因が山積している。
 中国における「バブル崩壊」は、信用不安を引き起こし、円高圧力を再燃させることが懸念される。
 こうしたリスクを勘案すると、今後、日本企業は戦略的な取り組みを強化する必要がある。

<2015年中国バブル崩壊説「5つの根拠」>
 中国経済の「バブル」は15年前後から、いつ崩壊してもおかしくない。
 根拠として以下の5つが考えられる。

 第一に、1979年から採用された「一人っ子政策」による少子高齢化の進展が懸念。
 税収の低迷などを通じて、財政赤字拡大を招きかねない。

 第二に、中国の「政治リスク」も深刻だ。中国では政治指導者が交代する5年毎に混乱が起きる傾向があり、 中国共産党による一党独裁制が崩れる懸念が強まる。

 第三に、「不動産バブル」の崩壊も心配。経済成長モデルは、不動産価格の上昇による「錬金術」を中核に据えている。
 地方政府の収入の6割程度が、不動産関連収入に依存している。

 第四に、中国では設備の過剰感が強まる。GDPに占める設備投資の割合は個人消費を上回っており、 個人消費がGDPに占める割合は米国で7割超、日本でも6割程度だが、中国では35%に過ぎない。
 特にここ数年、資本や設備の過剰が積み、経済の効率が悪くなっている。
 12年点で経済成長率が11―12%に達するという前提の下で設備投資の行われているのだ。
 実際の経済成長率の実力は7-8%程度なので、日本のバブルに匹敵する設備の過剰感がある。
 この先、3―5年のスパンでみると、15年以降に設備バブルが崩壊する可能性が高まる。

 第五の問題点は、賃金インフレの進行。中国にとってインフレは「天敵」だ。
 インフレが進行すると、低所得階層の不満が爆発し、社会的混乱を伴いながら、経済が「ハードランディング」に至るケースが多い。

<「チャイナ・プラス・ワン」の推進がカギ>
 日本企業は「技術で勝って、商売で負ける」と言われる。
 マーケティング力が弱いというのが日本企業の致命的な欠陥である。
 野球のピッチャーに例えれば「技術力」の高さは速い球を投げる能力だ。
 日本企業は時速150キロ台の剛速球を投げる能力を持っている。

 しかし、韓国企業という、球速は時速130―140キロ台だが、 絶妙のコントロールを有するピッチャーに苦戦しているのだ。
 今後の日本企業の戦略としては、剛速球に一層の磨きをかける(最先端の「技術力」を磨く)ことと、 コントロールを良くする(「マーケティング力」を高める)ことの双方に、バランス良く取り組む必要があるだろう。

 同時に、日本企業は中国への依存度を下げていくべき。
 我々は、「パッシング・チャイナ」という新たな選択を迫られている。
 日本企業は、中国における「バブル崩壊」のリスクを認識した上で、「チャイナ・プラス・ワン」を積極的に推進すべきなのだ。

▲補足、感想など
 ここまで、本当のことを言って大丈夫かな。
 あぁ、チャイナプラス☓☓ と一応、中国の顔も立てているのか。
 脱中国と、あけすけに言っているわけではないのだな。

 記事ではバブル崩壊の5つの根拠が挙げられている。
 筆者は、それらの大元の問題点を指摘したい。

 それは。
 中国は、自分達がもっている性質「知的正直への軽視」というものに今、まさに逆襲されているのだ。しっぺがえしをくらっているのだ。

 知的正直という言葉がややこしかったら、「合理性への軽視」でもいい。
 つまり、事実を直視しないで、自分達のうぬぼれ、こうありたい—などという誤魔化し、ウソ、はったりで、事実を糊塗してしまうのだ。
 そして、そういう数字とか根拠に基いて、なにかを決断・実行してしまう。
 結果として、現実にそぐわぬ状況をつくりだしてしまうのだ。まぁ、当たり前ではある。

 さて、パッシング・チャイナのキッカケは、昨年夏の反日騒動であろう。
 現習近平国家主席が安易に決断・実行したものだろう。
 その根拠たるや、「少々痛めつけても日本企業は中国から逃げ出しはしない」とかいうデタラメな報告書を判断材料にしているのだろう。

 デタラメな報告書を安易に信じて、軽率に判断・実行する → 結果として、地すべり的な「脱中国現象」を引き起こした。

 それを見て、慌てて日本をアレコレ攻撃しつつ、日本企業が逃げ出さないように手を打つ—というまさに曲芸的な手を打ちづづけているというのが現状であろう。

 安倍さんは、もう、中国へ工場などを出したのは、その経営者の経営判断であり、その経営者の責任だ--と切り捨てるつもりであろう。
 中国で経営できるなら、そうすればいいし—と。
 
 パッシング・チャイナとは。
 中国人が自らの性向によって招いた現実であり、自らが刈り取るしかない。