▲変な表題かなぁ。
でも、本当にそう思うのだ。
人間にも企業にも、「良き勝ち方、悪しき勝ち方」というものがあって、それがそのまま「良き負け方、悪しき負け方」というものに連動しているのだな--と思う。
シャープという企業を見ていて、現状を見れば見るほど、この会社、「悪しき勝ち方」であったのだな—と納得する。
得意悠然、失意泰然—とかいう言葉がある。
シャープという会社、「得意悠然」ではなく、「得意・思いっきりふんぞりかえる」ということであったのだろう。
だから、負けた時、撤退する時、手を差し伸べるところすらないのだ。
そして、苦しくて苦しくてたまらず、いよいよ最後につかんだ”ワラ”が、サムスンか。
なにより、シャープの技術者が可哀想だな。
サムスンで仕事をしたなんて経歴では、日本の企業がもう怖がって、受け入れてはくれまい。
それほど、日本の技術系の企業ではサムスンという会社は評判が悪いのだ。
以下、新聞から抜粋。
シャープが韓国サムスン電子との提携強化に乗り出す。
2013~15年度の中期経営計画に、液晶事業以外にも協業分野を
広げることを盛り込む。
世界的な販売網を持つサムスンとの提携強化で収益基盤を固め、
経営再建を加速させる。
サムスンからの出資拡大も検討している。
新たな協業は、複写機事業などが候補に挙がっている。
複写機はシャープにとって安定
した収益を見込める優良事業で、サムスンも事業拡大の柱として世界展開を目指している。
シャープは経営合理化で海外の販売網が縮小しており、サムスンとのOEM契約により、世界市場での販売を増やしたい考えだ。
▲補足、感想など
冒頭でふれた。
悪しき勝ち方の向こうには、「悪しき負け方」があるのだ—と。
そして、その勝ち方・負け方を招きよせたのは、やはり、歴代の経営者であろう。
こういう撤退戦というか負け戦の先輩では、エルピーダの坂本社長がいろ。
破綻しながらも、アメリカ企業の小会社となり、先日、黒字に転換したというニュースが流れた。
撤退戦で苦しくても、次に繋がる-そういう「負け方」であった。
良き負け方—と言っていい。そして、それは坂本さんという人の優秀さを物語っている。
負け戦はつらい。個人でも、企業でも。
でも、その一番苦しい時こそ、その個人なり・その企業なりの「本当の智慧・能力」が問われているのだ。
上でふれたエルピーダの坂本さんは、一番苦しいときに、未来につながる選択・決断をしている。それが、「黒字転換」という形で花開いたものであろう。(坂本さんは、破綻した段階で、責任をとりエルピーダを退社している--このあたり進退も実に潔い)
対して、シャープは一番苦しい時の選択が、「サムスンとの提携」である。
サムスンという会社が、日本の技術者からどれだけ嫌われているかしらないのか。
また、韓国人のもつ「不合理性」「情緒主義」というものが、日本の「知的正直」を大事にする思想と合わない。
”ウチの爺さんが、1+1=3 だと言っていましたから、答えは 3 です”—なんていう人間と、日本人技術者が技術的な話をすると思うか。
こんな状況の下では。
シャープの若い技術者がボロボロ になる。
また、優秀な人間は、どんどん抜けていくだろう。
だから。
シャープの終わりの終わり--なのだ。
そして、それを招き寄せたのは、「悪しき勝ち方」を選択したシャープの歴代の経営者であろう。