▲いま、ヨーロッパ諸国は、2008年のリーマン・ショックを契機とした「失われた☓☓年」の真っ最中にいる。
確かに、経済が低迷したときはしんどい。
2008年のリーマン・ショックを受け、2009年の春、日本の大手企業は数千億円の「赤字」を計上した。
同時期、西欧諸国の企業で赤字を計上したなどという話を聞いたこともない。当然、赤字だった筈。
だから、隠して黒字とし、株主に配当を払ったということだ。
そんなことをしているうちに、西欧諸国の企業は「体力を失った」。
いや、その前に。
西欧諸国の「階級社会」というものは、下流社会に当たる人間の「頭脳を働かせるということを拒否している」「下流社会層の人間の工夫する・創造することを拒否している」社会だということだろう。
つまり、頭を使うのは「上流社会層のみ」「下流社会に生きる人間は考える必要がない、言われたことにそのまま従え」という社会だということだ。
だから、「社会に活性がない」。
上でふれた大企業が不景気ならば、自分で「新しく会社をつくればいいじゃないか」--という資本主義の「常識」が働かない。
経済が低迷した時、西欧社会のもつ「階層社会の弱点」が露呈する。
以下、記事より抜粋。
スウェーデンの大学で学んだLinnea
Borjarsさん(25)は、卒業からいまだに職に就けず過ごしている。
卒業後、Borjarsさんは非営利団体で、働き始めた。
当時は経験が正規雇用につながると期待していた。
しかし、幸運に恵まれることはなかった。
以後、職探しに奔走し優秀な学業成績やインターンの経験も効果はなかった。
「私は役立たずだと感じるようになった」。Borjarsさんは肩を落とす。
その暴動でも就職難に抗議の声が上がった。
Borjarsさんの状況は、欧州経済危機がもたらした影響の深さを物語る。
欧州連合(EU)域内では失業だけでなく、フルタイムの職を望みながらパートタイムで働く状態を意味する不完全雇用が問題となっている。
EUが発表する失業統計には、ハンバーガーショップで働く大卒者や、より長時間の勤務を希望するパートタイマーは含まれていない。
ただ、不完全雇用の労働者人口の増加が著しく、これが潜在的に大きな経済損失になっている。
不完全雇用がどこに組み込まれているのかを理解するには、EUの統計がどのように構成されているかを見る必要がある。
昨年12月の統計によると、労働人口2億4000万人のうち2500万人が求職活動中の失業者とされ、失業率は11%となった。
それに含まれない1100万人は、失業中ではあるものの、すぐに働き始めることができないとされ、失業者とみなされなかった。
この1100万人を含めれば、失業率は15%に跳ね上がっていた。
一方、より長時間の勤務を望みながらも機会がなくパートタイムで働いている900万人超は就業者とされた。
仕事が必要としている以上の学歴や経験がある労働者についての数字はないが、経済協力開発機構(OECD)の推計では、EU域内の総労働人口の4分の1以上に当たる6500万人に上るとされている。
希望に反してパートタイムで勤務する労働者については、オランダやベルギー、オーストリアなど、ジョブ・シェアリングの伝統がある国でも、そういったシステムが一般的ではない南欧や北欧でも増加傾向にある。
現在、EUの労働人口に占めるパートタイマーは10年前の16%から20%に増加している。
<ダブルパンチ>
「スペインの状況は最悪だ。私の働くスターバックスでは、週10時間勤務の従業員を募集している」。
こう嘆くのは、マドリードの大学で化学を学んだラウラ・イグエラスさん(24)。
「エンジニアや化学者として働いている。スペインでは、スターバックスで働けるだけでラッキーだ」と皮肉を込めた。
欧州議会のシュルツ議長はインタビューで、第2次世界大戦後これほど高学歴者の多い世代は初めてだと指摘。
その上で「親は子の教育に多額の資金を投じてきた。その子どもが働く年齢になって、社会から『居場所はない』と突き付けられている。ロストジェネレーションだ」と述べた。
英国では、公共部門をはじめとして賃金が凍結された結果、時短で働く50歳以上の労働者が減少。
若い労働者は労働時間を奪われる格好となり痛みを伴った。
米ダートマス大学の教授は、「今ではこの2つのグループに大きな格差がある。経済危機の前は平等だった」と説明。
「若者はダブルパンチを受けている。職に就けず、就いても十分な労働時間が確保できない」
<生活保護>
スウェーデン・ヨーテボリ大学の教授は、不完全雇用の労働者が「低賃金、低い生活水準によって貧困になり、収入を生活保護などに頼ることになる」と警告する。
欧州では大卒者の増加に伴い、企業側は求職者に対し、より実地経験を求めるようになった。
このことで、理論的な大学プログラムと労働市場のミスマッチが深まり、自分が持つ学歴を必要としない職を受け入れたり、勉学を他の場所で続けたりする大卒者が増えた。
ストックホルムでは、Borjarsさんが大学院の願書を提出した。
ただ、その効果については疑問を抱いたままだ。
「ジレンマを感じている。大学の単位が増えても、就職しやすくなるとは限らない」と。
クロアチア出身のGoran
Majlatさん(26)は、米ミネソタ大学でビジネスを専攻し2011年に帰国。
Majlatさんでも就職難に直面し、7カ月間失業状態が続いた。
クロアチアの若年層失業率は35%だ。
「うつになり、家から出ることもできなかった。車を運転するにもコーヒーを飲むにもお金が必要だ。
最悪だった」と失業期間を振り返るMajlatさん。
結局、地元ホテルのベルボーイとして働き始めたが間もなく解雇された。
Majlatさんは、再び9カ月間の失業期間を経て、販売員として仕事を再開し、その傍らでヨット会社で観光客の対応をする仕事にも就いている。
後者の仕事について「魅力はないが簡単だ」と話すMajlatさんは、「仕事があればラッキーだ。どんな仕事でも」と前を向いた。
▲補足、感想など
この記事ってなんだろうなぁ。
ヨーロッパ諸国での学歴と仕事のミスマッチということなのかな。
自分はエリートだが、そのエリートにそぐう仕事がない—という不満をいっているのか。
このあたりだな。
ヨーロッパ諸国を旅行しても、なにか活性がない、停滞した社会だという印象を受ける。
どんな社会にでも、なんらかの「ニーズ」というものがあるはず。
それをうまく捉えることが出来れば、それが「仕事」になるだろう。
上の例でいえば。
じゃ、日本のような「タイヤキ」を作って売ろうか—という気にならないかな。
お客がアンコに慣れないだろうから、カスタードにするとかすれば売れるかもしれない。
冒頭でもふれたように、西欧の階層社会というものは、例示したような「創意工夫」というものの「出現」をエリート達が妨げてきた—そんな社会なのだろうな。
対して。
日本という国は、バブル崩壊から失われた10年だとか20年だとかいわれる。
しかし、日本は西欧におけるエリートに相当する人が沢山、存在している社会だ。
いや、なんせ沢山いるから、エリートがエリートとして扱われないだけだ。
そういう社会だから、失われた☓☓年といわれても、いろんな仕事が生まれてくる。
例えば、フィギュアをつくる「造形師」なんて仕事はどうだ。
あれなど、まさしく日本の失われた☓☓年の真っ最中に生まれた仕事だ。
社会の活性というか経済の活性はこうして生まれるのだ。
西欧諸国における現在の失われた☓☓年とは、旧弊依然とした「階級社会」を打ち壊すいいタイミングなのだ。
自分の学歴に仕事の質が合わないと思う人間は、様々に工夫して創業せよ。
それが階級社会に風穴をあけることになるのだ。