▲なにか、個人でも組織でも、調子が悪くなると、アレが悪い、これが悪かったのだ—とかグチがでる。
これはもう致し方あるまい。
表題では内ゲバとなっているが、「うまくいかなくなれば誰でもそんなもの」
このブログでなんどもふれた。
今、日本の家電では、いわば「技術の踊り場状態」に陥っている。
つまり、誰もが買いたいと思うような「新製品」がないのだ。
振り返れば、こんな「踊り場状態」を見たことがある。
1980年前後の話だ。
オイルショックの後くらいだったかな。
1970年代半ばまでに、冷蔵庫、テレビ、洗濯機など、一応出尽くした感があった。
で。
次に売るものはなんだ? 上でふれたように、「新製品」のない状態が続いた。
さて。
何年ぐらい続いたろう。
5年? もっとだったかもしれない。
昭和でいえば、52年ぐらいからかな。
ビデオが出始めたのは。
そこから、ソニーと松下が規格競争で猛烈に争った。
つまり、ビデオの出現が、踊り場状態、停滞感をいうものを打ち破ったと記憶する。
現在に置き直してみると。
ビデオに相当する「新製品の出現待ち」ということと思える。
何年まてば、「新製品」がでてくるのかは分からない。
5年か、10年か-----。
そこまでは、じっと耐えるしかないのだ。
いわば、今、家電メーカーの経営者達は、その「我慢」を要求されているのだろうな。
以下、新聞から抜粋。
過去数年の悲惨な状況に比べれば、今年は少し上向きのムードが漂う。日本の大手家電メーカー。
ところが、経営の様子は
どこもドタバタ続きだ。
日本のメーカーの混乱状況について、大前研一氏が解説。
2013年3月期決算は、円安や株高で業績が上向いた企業が続出した。
表向きは上昇ムードだが、その陰で多くの日本企業が経営者の人事に問題を抱えている。
たとえば、大手家電メーカーは、経営陣の“内ゲバ”が起きている。
シャープは
経営再建に向けた提携戦略で、まず町田勝彦相談役が世界最大のEMSである台湾の鴻海精密工業との資本・業務提携をまとめた。
それが暗礁に乗り上げると、次は片山幹雄会長が米半導体大手のクアルコム、韓国のサムスン電子と
交渉した。
奥田隆司社長は町田相談役と片山会長の動きを見守るだけで、シャープの経営は迷走を
続けた。
結局、片山会長が退任して奥田社長も会長に退き、高橋興三副社長が社長に昇格して経営
体制を一新することになった。
パナソニックも、津賀一宏社長が中村邦夫元社長、大坪文雄前社長らが
敷いた路線との決別を宣言。
「事業部制」を
復活させ、組織体制も大幅に刷新した。
さらには東芝も、富士通も、NECも、同じように経営陣が内輪もめして経営が混迷を深めている。
なぜか? 外の敵が強すぎると内部抗争が激しくなるからだ。
日本の家電メーカーも、海外勢が強くなりすぎたため、外部と戦う気力が失せ、内ゲバに走るようになってしまったのである。
この内輪もめ現象を私は“日本企業のアラブの春”と呼んでいる。
「アラブの春」は北アフリカ・中東諸国で起きた民主化運動で、独裁政権や長期政権を崩壊させたが、その後は国家を動かしていく人材も仕掛けも
なくなって各国で内戦や内乱が泥沼化し、どこも統治を失ったまま混乱の極みと
なっている。
結局、リーダーがいなくなると、権力の空白が生まれ、
下から昇進してきた人材では組織のマネジメントができなくなってしまうのである。
今、日本企業の場合、経営陣がドングリの背比べで社長以外の役員も社内で力を持っているため、
とりあえず選んだ社長にはリーダーシップも統治力もない。
だから、“アラブの春”の後のような
混迷期に陥る企業が続出しているのだ。
▲補足、感想など
アラブの春ねぇ。
例えとして、適切ではないような気がするなぁ。
アラブの春というのは、日本の「明治維新」のようなものであろう。
独裁者というか一個人が政治の中心であった状態 → 民主主義 へ移行しようという運動であろう。
日本でも、明治維新から20年後くらいに、やっと議会制へ移行している。
つまり、独裁者を倒した → すぐ、民主主義に移行 ということはできない—ということ。
日本の例のごとく、20-30年という「移行期間」が必要ということだ。
だから。
記事にある「アラブの状況」は、その移行期間でありがちなことと捉える方が真っ当であろう。
対して。
日本の家電メーカーについては、「新製品が見つからないことによる踊り場状態」からの混迷ということであろう。
冒頭でもふれたように、「うまくいかない時」はどうしてもお前が悪い、いやお前の方が—というこになる。
だから。
指導者を替え、仕組みを変化させて、次にくるであろう「新製品の出現」をじっと待つしか方法はないのだ。
いつまでも、「踊り場状態ではない」、誰もが欲しがる「新製品」が必ず出現する。