▲複合要因か。
その通りだろうな。
ただ、と思う。
筆者は、技術系の人間だが、なんというか、アブナイところに家が建っているなぁ、と思う。
こんなアブナイところに家を建てさせるなよ。
ないしは、基礎の部分、斜面地の防護策をもっと強化せよ。
宅地を造成するときに、市が作成している「開発指導要綱」というものがある。
この技術的な対災害の防護策が脆弱すぎるのではあるまいか。
花崗岩の風化した土を「まさ土」という。
中国地方には多い地質構造だ。山陽側だけでなく山陰側にも。
まさ土が、水に弱い—ということは、技術者なら常識であろう。
確かに、今度の広島市の降雨量などが想定外であったのだろうが----。
地球の温暖化というものに伴い、「気象が過激に振れる」ということは数十年前から言われていたことだ。
要するに。
上でふれた「開発指導要綱」というものが、「過激に振れる気象」というものをうまくとりこんでいなかった—ということではあるまいか。
確かに、土木・建設技術者から、「気象がとうこう」言っても、周囲から理解されまい。
こういう実際に多くの方が亡くなって、始めて、その意味・大切さが分かるのだな。
また、行政の長というものに、広い教養がなければならない—ということでもあろう。
以下、新聞から抜粋。
広島市の土砂災害は、過去最大級の人的被害になった。
未明の発生、避難勧告の遅れ、土砂災害が起きやすい地域での宅地開発、
水路整備の不十分さ…。
専門家の分析からは、複合的な要因で被害が拡大したことが浮かぶ。
◆大気不安定な時間
犠牲者の多かった過去の土砂災害でも、住民が寝静まった夜に発生したケースが多い。
上空の雲が熱を放射して冷え、大気の状態が不安定になるため、
豪雨になる可能性が高まる。
平成23年9月の紀伊半島豪雨や昨年10月の東京・伊豆大島豪雨では、
雨脚が強まった深夜から未明に川の氾濫や土石流が相次ぎ、甚大な被害が出た。
避難勧告など住民に防災情報を伝えるのが遅れたことも響いた。
広島市では20日午前3時以降、土砂崩れや生き埋めの通報が相次いだが、
市が避難勧告を出したのは午前4時15分以降で、対応は後手に回った。
降雨が局所的だったことなどから、避難勧告まで出すか躊躇したという。
松井市長は「出ていれば住民が安全なところへ行けた可能性がある」と述べ、基準を見直す意向を示した。
避難勧告の遅れ以前に、激しい雷や土石流が防災行政無線の音をかき消したり、
スピーカーを破壊したりしていたという事実もあった。
そもそも、全住民に勧告が届かないという根本的な問題も浮上している。
牛山教授は「防災情報は災害前に出さなければ意味がない。避難勧告の発令基準を満たしていなくても、発令の可能性が出てきた段階で、早めに住民に注意喚起することはできる」と指摘。
◆何度も土石流発生
被害が出た安佐南区は、昭和40年代から大規模な宅地造成の対象となり、山肌にへばりつくように家が立ち並んでいた。
広島県の山地は花崗岩が
風化してできた「まさ土」と呼ばれるもろい地質。
土砂災害危険箇所は全国最多の約3万2千カ所に上る。
今回の土砂崩れが起きた地域について、
大塚教授は航空写真や地形図から、
何度も土石流が発生し、崩れた土砂が堆積してできた「扇状地」だと分析する。
「扇状地は土石流が発生しやすいため、都市計画の段階で排水ができる川などを確保すべきだ」と指摘。
だが、流路を狭くしたため、地域内には普通の雨量を想定した水路が多く、
「行き場を失った土石流があふれ、流される家屋が多かったのではないか」とみる。
大塚教授は「土石流を経験していない住民にとっては、
危機意識が高まらないのかもしれない。
危険性を把握している行政が、適切な対応をすべきだった」と。
▲補足、感想など
なにもかも、市などの行政庁へ責任を押し付けることもできまい。
冒頭でふれた。
炭酸ガスが大気中に多くなると「過激に気象というものが振れるようになる」ということが、顕在化したのはやはり平成になってからであろう。
昭和40年代、50年代に宅地が造成され、建物が建築されていれば、指導要綱などに遡及効がある訳ではないから、どうしようもない。
う~ん、と思う。
結局、普通の住民が、「まさ土の脆弱性・危険性」というものを常識としてもっていたかどうか—にかかってくるのだな。
人間が、普通に安全・平和に暮らしていくためには、どれだけ多くの知識をもっていなければならないか—が分かる。
今回の災害の多くの犠牲は、上でふれた「まさ土の脆弱性・危険性」というものを、日本人の常識としてもってもらうためのものであろう。
今回の広島土砂災害で亡くなった多くの方々に、深甚より哀悼の意を表します。