2013年5月27日月曜日

橋下発言への批判  その1。

橋下さんの発言に対する批判がさまさまある。
 どこを批判しているのだろうか.

 それを見てみよう。

 以下、新聞から抜粋。

 世界の中の日本 
 政治家の情けない従軍慰安婦発言 一流国政治家の心得~初心忘るべからず 伊東 乾

●「顔」のない是認論は国際感覚欠如の証し

 一連の「慰安婦是認?」関連の情報が流れた際、ツイッターなどで私にも「セカンドベストとしての公娼制度」などを問う方がありました。
 また、管理売春が合法化されている国や地域も存在します。

 が、オランダのような国が結果的にそうした制度を導入しなければならなくなった背景には様々に深刻な現実があり、 もろ手を挙げて合法売春産業の活用を!というような代物でない。
 思うに「性風俗産業を事実上認めよう」という主張には、「顔」がない。

 そこでそうした仕事、つまり「醜業」に従事する人の顔や名前、個人の存在がない。
 例えば「自分の娘を」「妻を」さらには「母親を」「姉妹を」好んで そのような場所で働かせたいと公言する政治家がどこにいるでしょうか?
 自分の身内であれば嫌なことでも、 では顔の見えない「誰か」であればオーケーと言うのでしょうか?

 典型的な「人権意識が低い、モラルの欠如した」状態、 現在のグローバル社会でごくごく当たり前とされる国際的なヒューマンライトの感覚の欠損を示しています。
 「醜業」の現実を、 細部に至るまで直視したうえで、国内外社会に「是認論」を公言する政治家がいるなら、見てみたいものです。
 たぶんそういう人が公職に再選されることは少ないでしょう。

 今回は日本の歴史、 先達の努力に鑑みるにもあまりに恥ずかしく、どうしても触れずにはいられませんでした。
 実を言いますと1891年に在ワシントン州日本人の大半が売春婦で残りは女衒・博徒という報告書を送った領事館の外交官、藤田書記生という人は、 私の母の父の父、曽祖父に当たります。

 藤田はこの後ブラジル移民政策などで多くの仕事に従事しますが、 醜業対策を筆頭に、世界各地で日本人が活躍できる環境を文化的にも衛生的にも高い状況に保つべく、彼なりに力を尽くしました。

 明治以来の約150年、日本が世界をリードする文明国たるよう、努力を積み重ねて得てきた今日があるのに、 それが素人のたわごとで汚されていくのは何とも耐えがたく、お話しさせて頂きました。
 明治以来「外交の初心」は「醜業対策」以外にもいろいろなものがあります。


▲補足、感想など

 この人の批判の核心はなんだろうか。

 売春婦は醜業—だと言っているのか。
 それはまぁ、おおっぴらに言うことではないかもしれないが、醜業と言い切るのはいかがかな。
 少なくもと、日本では昭和30年ごろまでは「仕事」として、「職業」として認められていたのだ。

 明治の頃、アメリカ・ワシントン州にいる日本人のほとんど売春婦であったというのは、象徴的だ。
 女性として働く場所がないとか、技術がなければ、そういう職業を選択した人も多かったろう。
 てっとりばやく稼げる—ということもあったのかもしれない。

 このブログでなんどもふれた。
 いわゆる、従軍慰安婦として残っている写真を見てみてほしい。
 南方の強い日差しのもとで、明るく笑っているものも多い。
 それは確かに売春婦という職業を選択するまでには、曲折とか、なにか抜き差しならない事情があったのだろう。
 でも、そういうものを考えた上でも、彼女たちは明るく自分に与えられた仕事をしていたのだ。

 また、日本人は性欲を含む本能というものを肯定的に考えると書いた。
 それは、おそらく、日本に来て緩くなり、肉食妻帯すらも僧侶に認めるまでに「日本化」されてしまった仏教というものに根源的な理由があろう。
 筆者はそれが間違っているとは思わない。
 それが、日本人としての自然体の「宗教」との係わり合い方であったのであろう。

 で。
 この伊東さんの批判はなんだって。
 橋下さんが、米軍へ風俗を利用したら—というところに批判が集中しているのか。
 それで、それが—素人のたわごとで汚されていく・政治家の情けない従軍慰安婦発言 --となるのか。

 それだったら。
 戦闘をする男性達は、自らの「性欲」を抑制できるはず—とか考えるのか。
 筆者には分からない。この伊東という人の理屈が。

 素人ねぇ。じゃ、玄人は、上で書いたように「戦闘集団は性欲が抑制できるはず」と考えるのか。
 橋下さんの発言が「情けない」のか。

 上でふれたように、日本人は性欲も含めて本能というものを肯定的にとらえるのだ。
 米軍にみるように、「戦闘集団は性欲が抑制できるはず」などという理屈より、はるかに合理的ではないか
 声高にいうほとの批判の内容か。