2016年6月10日金曜日

日本のアニメ・マンガに対する外国人の誤解

誤解?
 違うかなぁ。

 筆者は昭和29年が小学1年生だった。
 昭和30年代、手塚治虫という天才のマンガを読みながら育った。

 今、60代の後半にいる訳だが、手塚という人の「天才ぶり」について、今も敬意を抱いている。
 そういう人間からすると、外国人の日本のアニメに対する知識というものがピントが外れているような気がする。
 そうじゃないのだ—と声を上げたい部分が一杯あるということだ。

 以下、海外の掲示板から外国人の日本のアニメ、マンガについての書き込みを転記しよう。

1,
アメリカだけじゃなくて、日本以外でアニメはそこまで人気ないだろ?

2,
↑ 日本ほどではないけど中国とか、韓国はそこそこアニメ産業に力を入れているんじゃないか?

3,
↑ 俺たちが思ってるほどアニメってのは一般に広まっていないんだよ。アニメ業界は一握りのハードコアなファンによって支えられているのさ。
 日本人でもアニメを見ている大人は全体の1パーセントにも満たないんじゃないか?

4,
↑ マジかよ!? 100人中1人もまどマギやシュタゲを見たことがないのか。

5,
↑ そこまで驚くことじゃないと思うけどな。
 ほとんどのアニメがいわゆるアニメオタクっていうニッチな層に向けて作られていて、彼らは社会的に見下されているらしいよ。

6,
↑ でもほとんどの人が日本ではアニメは大衆に受け入られている、と思っていると思うぞ。

7,
↑ それはほかの産業といろいろコラボしているからだろうな。アニメのキャラクターが描かれた新幹線とか、宣伝広告にアニメのキャラを入れたりとかさ。
 こういうのを見ると日本ではアニメが莫大な人気を誇っていると誤解しても無理はないと思うね。

8,
↑ そのアニメに全く関係ない商品なのに、宣伝のために使われているキャラとかも多いもんね。

9,
 でもワンピースとか国民的アニメの人気はすさまじいよね。あれはどうしてだろう?

10,
↑ ワンピースやドラえもんといったアニメ界でビッグ5に入るアニメは子供たちからの支持がすごいんだろうな。

11,
 ふつうは年をとるにつれて、アニメを見なくなっていくものだよ。だから、もし多くの大人がはまるようなアニメが作られれば商業的に成立していくだろうな。

12,
 なんで日本のアニメ業界はもっと海外に目を向けてくれないんだ?
 日本のアニメファンが外国にはたくさんいるのに...
 日本のアニメオタクが少ないなら、なおさら海外に目を向けて利益を上げていくべきじゃないのか?

13,
↑ 日本人ファンをメインターゲットにしたほうが商売が楽なんだと思うよ。
 外国に商品を輸出したりするのはいろいろめんどくさいだろ。

14,
↑ それにニッチ層向けだといっても、彼ら一人一人が多くの商品を買ってくれれば十分利益を出せるんだと思うよ。
 これはアメリカのコミック市場でも同じことがいえるよね。
 彼らも一般層をフォーカスするのはやめて、ニッチなファンをメインターゲットにしていくようになってきたよね。
 おそらくそのほうが安定した利益が出せるんだろうな。

15,
社会現象まで引きこしたエヴァでさえそこまで売れなかったようだからな。

16,
↑ でも劇場版ラブライブは200万枚のチケットを売り上げたって聞いたけど。

17,
 日本のアニメって日本人の中ではそんなに評価が低いのか?
 だったら人気声優がツイッターで多くのフォロワーを集めているのはどうしてなんだ?

18,
↑ ツイッターに関してはここではあまり関係ないだろう...

19,
 もしアメリカで大人向けのアニメ作られたら面白そうだな。日本ではすでにアニメ化されているのにアメリカでは作られていないジャンルがまだまだたくさんあるからね。
 アメリカ人のユーモアを取り入れた作品をぜひ見てみたいよ!

補足、感想など

 どのあたりから。
 まず、ジブリの宮崎駿さんの言葉から。
 曰く、自分が作品をつくる時、顧客として想定しているのは、日本人だけだ。外国人が見てくれるのは有り難いが、想定している対象は日本人のみ。

 つまり、アメリカ人向けのアニメなんてものは作らない—ということだ。
 なぜって、作品の本当に深いところまで理解してくれるのは日本人しかいないから--という意味だろうな。

 普通の日本人にとって、マンガもアニメも小説も等価なのだ。どれが上でどれが下ってものじゃない。
 また、子ども向けアニメと大人向けアニメとか区分されていない。
 だから。
 アニメの価値というか真価というものをよく日本人は理解しているのだ。
 表現方法、ツールの違いとしか見ていない。

 だから。
 教科書の中をマンガ風にするとか、様々なバリエーションがあるのだ。
 日本の歴史をマンガにするとか、歴史上の英雄達をマンガで特集するとかの企画が昔から一杯あった。

 どうも、掲示板の書き込みをみていると、外国人って、アニメ・マンガというツールのもつポテンシャルの高さを理解していない。
 子供向けのどうたら---マンガ・アニメという表現方法のもつ可能性を矮小化してしまっているのだ。

 その部分こそが、日本人と掲示板を書き込んだ外国人との「認識の差」であり、日本人からすれば、もったいないな—と感じるポイントだろう。

 マンガで、アメリカの西部開拓史18世紀-19世紀とかやったら、面白いぞ。なんなら、太平洋戦争をマンガで作戦毎に書いたらどうだ?