▲だから、アメリカの大リーグの記録と直接比較はできない。
そのとおりだ。
でも。
それなりの記録だ—ということだ。
それで充分ではないか。
イエロー新聞のゲンダイのエベンキ族記者が、斜め上からの皮肉ぽい調子で記事を書いている。
ご紹介したい。
「メジャーで3000本ものヒットを打とうかという選手です。投手の質やレベルも、守っている野手の肩の強さも、球場の広さも日本とアメリカでは条件が異なるわけです。
それを日米通算としてひとくくりにしてしまうのはどうかとも思います」
漫画家の矢口高雄氏がこう言う。
13日のパドレス戦で3安打を放った米マーリンズのイチロー(42)を報じる日本のマスコミのスタンスに関してだ。
テレビもスポーツ紙も一斉に「日米通算4256安打まであと1本」と大騒ぎ。
14日敵地でのパドレス戦に代打で出場したものの、
1塁ゴロに倒れ、ピート・ローズ氏の持つ歴代最多安打到達はお預けとなったが、矢口氏が指摘するように日本とメジャーでは条件が異なる。
イチローが日米両球界で4000本を超す安打を量産したこと自体は確かに偉業だろう。
しかし、海を渡った時点で日本での1278安打は自動的にストップ、そこから先はあくまでメジャーでの記録であって、
それを一緒くたにして「ピート・ローズに並ぶ」とか「これで世界一」と騒ぐことがナンセンスではないのか。
米国メディアの扱い方はどうか。
「米国には日米通算という概念がない。トッププロベースボールの参考記録として報じるメディアも中にはありますけど、こういった記録もあるよといった程度の扱いがほとんどです。
例えばベーブ・ルースのシーズン本塁打記録を破ったロジャー・マリスには脅迫状が、通算本塁打記録を抜いたハンク・アーロンのもとにはカミソリ入りの封筒が送り付けられました。
そこへいくとピート・ローズは永久追放処分になった問題児ということもあって、そもそもファンやメディアは通算安打記録へのこだわりがあまりない。
そういった事情を差し引いても、イチローがローズの記録を抜くと真顔で報じるメディアはありません。
リプケンの連続試合出場をマイナーと合わせて報じることはあっても、あくまでもトリビアとしてです」(鈴村裕輔氏)
▲補足、感想など
えらく皮肉ぽいなぁ。
まぁ、ご勝手に。
だから。
イチローはイチローだ。
日米通算で、安打の記録を塗り替えた—という新基準でみればいいこと。
その新基準がアメリカ人に通用しなくても別に構いはしない。アメリカ人の見方などどうでもいい。
イチローは日本では傑出した偉大な打者なのだ。
彼が数十年という歳月をかけ、少しづつ積み上げてきた「もの」が、ここまで大きくなった—ということだ。
その成果は、それなりに賞賛に値するし、それなに評価するに値するものだということ。
それで充分ではないか。