▲「エネルギー革命」なんぞという仰々しい言葉が、記事にあってなんだろうな—と思った。
記事を読んでみると、太陽光とか風力などによる電気の量が増えてきた—てなことを言っているようだ。
はて、これがエネルギー革命ねぇ。
エネルギー革命というなら、原発に代替するだけのエネルギー発生源が見つかったら—という話だろうな。
どこに核心があるかというと。
「電気は蓄積できない」のだ。
いや、電池とかあるからそれを—という人もいるかもしれない。
大容量となるとそれは無理。
だから。
太陽光とか風力とか水力とかは、コンスタントなエネルギー発生源ではないため、「二次的・副次的」なものとならざるをえない。
以下、新聞から抜粋。
「われわれの既存電力は再生可能エネルギーのバックアップのためにある」。
ドイツの電力会社幹部は言い放つ。
欧州、中国、中東さえ、世界は変わり始めている。ためらう日本を置き去りに。
昨年ドイツでは、総発電量に占める再生可能エネルギー(水力を含む)の割合が30%に到達。
二位の褐炭火力は24%。風力、特に洋上風力の増設が目立つ。
日本では12・6%(二〇一四年度)。うち8・2%が水力だ。
ドイツは二二年までの原発廃止をめざし、再生エネの割合を80%以上にすると目標を掲げる。
ことし、ドイツ最大手の電力会社「エーオン」が、売り上げの大半を占める石炭火力部門などを「ユニパー」という新会社をつくって切り離し、再生エネ中心の会社に生まれ変わった。
エネルギーの未来を見据えたこの大胆な改革は“エーオン・ショック”と呼ばれている。
ドイツは特別な国なのか。
自然エネルギー財団(東京)によると、今年第一・四半期の米国の再生エネ導入量は、化石燃料の七十倍以上も増加した。
中国の研究機関は昨年、二〇五〇年までに電力の85%を再生エネで賄うビジョンを公表。
産油国のドバイでさえ、太陽光による電気の売値が、一年半で半分に値下がり。それだけ増えたということ。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、今後十年で太陽光の発電コストは59%、洋上風力は35%、削減可能と予想する。
一方、原発の建設コストは3・11以降、安全対策の必要性から高騰を余儀なくされている。
膨大な廃炉コストも経営の重荷になる。
英南西部で二五年の稼働をめざすヒンクリー・ポイント原発は、当初約二兆円と
見込んだ事業費がすでに一・五倍に膨らんだ。「原発は割に合わない」。
もはや世界の常識だ。
膨らむ再生エネ市場には、毎年三十兆円の資金が流れ込んでいる。
ドイツの狙いはそこにもある。
3・11や温暖化対策だけではない。
コストと投資。資金の流れがエネルギー社会の基盤を根底から変えつつある。
原発事故に膨大なコストを費やしながら、ウランや化石燃料への依存から逃れられない日本こそ、特別な国とは言えないか。
風向きではなく、時代が大きく変わる。乗り遅れてはならない。
▲補足、感想など
この記事、なにか奇妙だな。
冒頭でふれた。
電気は蓄積できない—という欠点をどうクリアしているのだ。
再生可能エネルギーの欠点は、風が吹かなければ風力発電にならないし、雨の日は太陽光発電にはなるまい。
つまり、不規則なのだ。
エネルギーを供給する立場ならば、そこらの山谷をなだらかにする必要がある。
その部分こそ、原発の「強み」だったのだ。
ドイツの再生可能エネルギーについての記事があったので、ご紹介したい。
--ここから--
★:2013/12/02(月)
「脱原発」を先駆けて実施した国がある。
原子力17基を所有、電力の約2割を依存していたドイツは、法案で
2022年12月までに原発の完全廃止を決定。
首相のリーダーシップによって導かれたドイツの脱原発だが、
同時に国民への痛みも強いている。
まず、電気代。
再生可能エネルギー促進のために上乗せされる税金「賦課金」は2000年度の26倍に。
標準家庭の年間電気代は昨年比で約1万2400円上がり、
年間の総負担額は約13万7000円になる。
高額なため、電気代を払えない12万世帯が、電気を一斉に止められる事態になったことも。
一般家庭を悩ませる原因となっている。
もうひとつの“痛み”が、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の問題。
ドイツでも処分場は決まっていない。
1970年代にゴアレーベンという候補地が決またが、地元住民や環境団体の反対にあい、白紙撤回された。
ドイツは1931年までに最終処分場を決めるべく、格的な作業を開始。
ドイツ在住のジャーナリストの熊谷徹さんが言う。
「しかし、意識が高いだけに、核のゴミを自分たちの町で引き取りたくないというジレンマがあります。建設地が決まった場合、反対運動が起こるでしょう。」
日本も状況は同じ。10年以上最終処分場が見つかっていない、即脱原発するべきだと。
即刻脱原発を決めなければ、最終処分場の問題は先送りされ、廃棄物は増え続ける一方。
原発容認派は、処分場のめどがついて脱原発論議を進めていくべきと訴えるが、はたしてそうか。
ドイツ政府が脱原発に踏み切ったのは、「問題を先送りできない」という意志があったからこそ。
先送りにすることは、子供たちへの負の遺産を積み上げることにほかならない。
「原子力と化石燃料からの脱却をめざすドイツのエネルギー革命は、
エコロジーというイデオロギーに基づくもので、経済的な理由ではありません」
現在、ドイツの再生可能エネルギーは、発電総生産量の2割を占める。
1950年までには8割まで上げるのが国の指針だ。
2016/06/09(木)
ドイツ、再生エネルギーの固定価格買取制度を来年から廃止へ
ドイツ政府は、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が高い価格で買い取る
「固定価格買取制度」について、「時代に合った制度に見直す」と来年から廃止を決めた。
ドイツ政府は、閣議を開き、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が20年間にわたって発電コストよりも高い価格で買い取るなどとする「固定価格買取制度」について、原則、来年から廃止する方針。
「固定価格買取制度」は再生可能エネルギーの普及を促そうと、日本でも導入された制度で、
ドイツでは発電に占める再生可能エネルギーの割合が、およそ3分の1に達しています。
一方で、電力の買い取りにかかる費用が電気料金に上乗せされて料金が高騰し
送電線の整備が遅れ、天候しだいで大量の電力が余ってしまうことが課題となっています。
ドイツの経済・エネルギー相は「時代に合った制度に見直す必要」と述べ、
来年以降、新たに作られる発電設備の電力については、市場価格に近い価格で買い取るとしています。
ドイツ政府は従来の施設については残りの期間、固定価格での買い取りを続けるとしていますが、小規模の電力事業者が発電設備を造れなくなる、といった懸念も上がっています。
--ここまで--
個人の年間の電気代が14万円近くって。
これではやってはいけまい。
冒頭でふれた筆者の疑問とか、再生可能エネルギーを時価での買い取りとを併せて考えると、ドイツは、「褐炭による火力発電を主にした発電方式に移行する」という意味であろう。
えっ、これがエネルギー革命とやらか---。
どこに核心があるのかな。
脱原発を唱うのは簡単だ。
しかし、原発ほど、コンパクトで効率のいいエネルギー発生装置というものはないのだ。
これに代替するだけの「新エネルギー発生源」が実用化するまでには、もう数十年の歳月が必要だ。
事故予防のために高額となったとしても、「原発」に頼るという歳月が、もう数十年継続すると覚悟すべきだ。